よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

白人にとっての「不都合な真実」

2018年02月16日 | アメリカ通信

アメリカほど”差別”が日常的に噴出する国はない。それは様々な形で社会に顔を覗かせる。最近の出来事では、その地位を利用して女優達に性的ハラスメントを行ってきたハリウッドの高名プロデューサー、ハーヴィ・ワインスティンのスキャンダルがあった。これなどは男性としての差別意識が女性達への性的ハラスメントに向かわせた典型的な例であり、今までこの部分は闇に葬られてきた。しかし、最も過酷で厳しい戦いを強いられてきたのは、やはり人種差別、特に肌の色の違いからくる差別との闘いである。白人 vs 非白人 或いはWhite American vs African Americanという構図だ。今、この構図を拠り所としていた白人と称する人々に予期せぬ事実が突き付けられている。

DNA解析技術のおかげで100ドル出せば「あなたのルーツは世界のどこから来たのか」が分かるという。その結果、今まで自分は白人だと思っていた人達が実はPure Whiteではなく、肌の色は白いが、African Americanであることを知らされて愕然としているのである。

23andMeというバイオテクノロジーの会社が約15万人の自称白人のDNAを調べた結果、3.5%の人にアフリカ系の痕跡が認められたと報告している。又
ペンシルベニアのWest Chester 大学での調査では、自分はヨーロッパ系白人の血筋だと思っている約3000人を対象に調べたら、その80%がアフリカ系の血が入っていたという。

”一滴たりともアフリカ系の血が入っていれば、外見がどんなに白人でも、最早白人ではない”という有名な言葉を拠り所に優越感に浸っていた自称”白人”がDNAテストで非白人を突き付けられた時の衝撃は大変なものであろう。もっと大変なのは、白人至上主義を謳う人たちの中で非白人の烙印を押された者たちだ。自己否定を強いられて右往左往している。

「不都合な真実」に対する受け取り方は世代性別で大きく分かれているという。若い世代と女性は真実を前向きに捉える傾向が強いが、男性は”自分は白人である”ことをどのように正当化しようかと腐心する傾向が強いようである。益々多様化するアメリカ社会でピュア・ホワイトが何の意味を持つのだろうか。自らのアイデンティティを否定することほど惨めなものはない。