よし坊のあっちこっち

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民族の祭典の陰で - 閉会式当日の気になった風景

2016年08月22日 | アメリカ通信
リオ五輪最終日を飾る男子マラソンを観た。先頭集団が3人に絞られ、35キロ地点で優勝したケニアの選手が仕掛け独走態勢になった。二位エチオピア、三位アメリカと続いた。

ゴールの前からケニアの選手は勝利の喜びを身体で表しゴールした。続いて銀メダルのエチオピア選手。彼はゴール前で両腕を上にクロスに上げてゴールした。その時はきっと何か宗教的な所作なのだろうと思っていた。そういう喜び方もあるのかと。しかし、ゴールしたあとも嬉しそうな表情はみせなかった。ゴールドではなかったからか。そうも思った。

夜の閉会式。恒例のマラソンの表彰式が行われた。この時も彼の顔に嬉しさは感じられなかった。3人が記者の注文に応じてメダルを口に咥える仕草でも、他の二人はにこやかだが、彼だけ目が笑っていないこの異様な風景はなんだろう。誰もがゴールドを狙い、負けた時は大いに悔しがり、泣くが、表彰台ではそれを吹っ切って晴れやかな表情となるのに。

今日、CNNの記事を見てその訳が分かった。以前から国連は、エチオピア政府の反体制派に対する非人道的措置(不当な拷問・投獄、処刑)の是正勧告を行っている。その為か今までにもアメリカ国内で行われたスポーツ競技会後に亡命する事件も起きている。エチオピア政府が弾圧しているオモロ族は、国際社会でアピール出来るチャンスがあれば、両腕をクロスに掲げることで抗議のメッセージを送り続けていると言う。彼もオモロ出身者で、彼の親戚は今でも牢獄に繋がれているという。

彼は、帰国したら、投獄か処刑のどちらかだろう、だから母国には帰らない、とインタビューに答えている。亡命宣言である。家族親戚を国に残しての孤独な闘いを始めようとしているのだ。

アフリカの大地でオリンピックが開かれるのは、まだまだ遠い話に思える。


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