よし坊のあっちこっち

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Fabricator ロクティでっち上げ騒動

2016年08月21日 | アメリカ通信
リオ五輪に参加のアメリカの水泳メダリストのライアン・ロクティが仲間3人とパーティから帰る途中に、強盗被害にあったと、NBC記者に語ったニュースはアッと言う間に世界を駆け巡った。銃を突き付けられ金を奪われた、と”生々しく”語っていた。その前にも英国チームが被害に遭っており、開催前の「リオは治安が悪い」と言う前評判が裏付けされていると受け取った視聴者は多いはずだ。これが事実なら、開催国ブラジルの、そしてリオのイメージは更に悪くなる。

ロクティのインタビューで”事件”が発覚し、警察が事情聴取をしようとしたが、張本人のロクティは既にアメリカへ帰っていた。幸か不幸か、残りの選手が正に帰国するところを、飛行機から降ろし、参考人として事情聴取、五輪中継のNBCを出し抜いてABCが”でっち上げ”らしいことをすっぱ抜いた。

真相の骨格は、選手4人が選手村に帰る途中、尿意を催しガソリンスタンドに立ち寄ったが、トイレが無く建屋の裏で立ションをした際、ロクティが近くに括りつけてあった看板を乱暴に引っ剥がした。それを見つけたセキュリティ・ガード二人が銃を片手に咎め、ロクティがそれに盾突いたらしい。そこに英語とポルトガル語の出来る店のお客が仲裁を買って出て、不行跡代として何がしかを払えば許す、と言う事に落ち着いたのではないか。

たいした不行跡ではないとはいえ、立ションと器物損壊は事実である。又、セキュリティ・ガード側も、銃を片手に威嚇したとも受け取れなくもないが、弁償代としての要求は一応筋が通る(このお金が店側に渡ったか、彼らの懐に入ったかは定かではないが)。

リオ当局が最初に疑問を持ったのは、被害届が出ていない事。被害に遭った英国チームは被害届を出していた。本当に強盗被害にあったのなら、普通なら被害届を出すはず、と考えた。更に選手村に帰った選手たちの振る舞いに、微塵も被害ストレスが感じられない、とモニターテープから分析されている。

本来ならば、公表するのも憚る、恥ずかしい行為なのに、何故ロクテは”自慢気”にNBCのインタビューにでっち上げ話をしたのか。著名な性格分析官の話は興味深い。

社会に名を成した、立派な人物と思われていた人が、後で嘘と分かることを何故でっち上げてしまうのか理解できない部分ではあるが、先天的なのか後天的なのかは別とした、そう言う性向と言うか性癖を持つ人がいるらしい。日ごろから物事をオーバーに言う人がそれにあたり、それが講じると事実関係に嘘を散りばめる。このタイプに共通するのは(1)常に自分をヒーローの位置に置いて脚光を浴びることに腐心し(2)そのためのネタを絶えず求め(3)ネタに遭遇したらでっち上げで脚光を浴び、満足感に浸る、と言うもの。

この話で思い出すのが、三大ネットワークのひとつ、NBCの顔としてニュースアンカーを務めていたブライアン・ウィリアムズが自らをヒーロー視したでっち上げ報道でその座を追われた騒動。イラク戦争勃発には一番乗りしたと言う話も、その時には別の場所にいたし、取材に乗っていた空軍の戦闘機が銃撃を受け、危うく命を落とすところだった、という報道も、その事実は無かった。戦争状態の最前線で命がけで取材するヒーローをでっち上げ、それで評判を取っていたのだ。

そう言う癖が始まると止まらないらしいから、ロクティも過去同様なでっち上げがあっちこっちに散ばっているかもしれない。人間、自慢話をして”凄い”と言われると快感に違いない。しかし、度を越すとアッと言う間にFabricatorの烙印を押され転落の道を辿る。社会に埋もれていても正直者とかバカ正直がやはり良い。


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