ひとみさんのおうちごはん 「よろしゅうおあがり」

自然の恵みをいただいて、こころとからだが心地いい暮らし

「おばんざい」は、こそばい。

2011年05月23日 | おばんざいつれづれ
京都出身で、料理の仕事をしてる・・・というと、「おばんざいとか?」ってよく言われます。
即座に「いや、ちがう、普通のごはん、おうちごはんって今、流行ってるでしょ。私のは、ひじき煮たりとか、和え物とか、野菜とか乾物使って・・・」みたいに答えていた私。
「ふーん・・・」と、なんとなく腑に落ちないって顔。
・・・それが関東での反応です。

でも、「おばんざい」って、京都の普通の家で使わないです。(よね?)
一般的には「お番菜」という字が使われて、京都の家庭で普段食べられているおかず・・・とか言われています。
でも、「うちのおばんざいは」とか「今日のおばんざいは」とか、って言わないと思います。
少なくともうちはそうだったし、この前京都から遊びに来た友だちに聞いてみたけど、やっぱりそうでした。
たぶん、ふつうに「おかず」とかっていうんじゃないでしょうか。

ちまたで「おばんざい」という言葉が使われるほど、京都の人はますます使わないんじゃないかとも思うし、私も自分の作るご飯をそう呼ぶまい・・・と思ってきました。


ところがです。
4月にご縁があって、「春野菜もりもり!!おばんざいランチ」という企画のお手伝いをさせていただきました。
被災地応援のために売り上げの半分を寄付しようという試みで、地元のボランティア料理人が集まってやろうよ!というこの趣旨に共感し、「野菜を切るだけでも何でもいいからお手伝いしたい」と名乗りを上げました。

すると、「メニューの考案から企画してくれないか」とのお声がかかり、いくつか提案させていただいた中で候補にあがったのが和食メニュー。
それを、「おばんざいランチ」としてワンプレートで出すとのこと。

「おばんざい・・・ですか」・・・(汗)

でも、まあやってみようかとさらに検討を重ね、粛々と準備をし、当日を迎えました。

地場野菜を提供していただけるとのことでいくつか使う野菜と、ボリュームを出すために鶏肉を使うことが決まっていたけれど、あとは好きに考えさせてもらい、楽しかったです。
おからとかひじきとか千切りとか、そういうのばっかりも出せないだろうし、「おばんざい」ベースに私のオリジナルも加え、出来上がった野菜いっぱいのランチはなかなか好評だったようで、ほぼ1時間で70食が完売しました。


そのとき思いました、おそるべし「おばんざい」!!
おそるべし、京都ブランド、です!!


もちろん、被災地応援ということで、「何かしたい」と思っていた人が集まってくれたり、主催の「みんなのキッチン」さんの広報力のすばらしさもあって、たくさんの方がきてくださったのだと思います。
でも、「おばんざい」という言葉に惹かれて足を運んでくださった方も多いと思います。


終わってみて、それならそれでいいんじゃないかと思いました。
その言葉に惹かれて、私が大好きなおかずを食べてくれる人がいて、また教えてほしい・・・というならば、きっかけを開くことになるんじゃないかなと。


家庭料理は刻々と様変わりしてきています。
煮物や常備菜、和え物などを作らない人、難しいとかめんどくさいと感じる人が増えていると思います。
でも、要領さえわかれば、難しくもないし、体にもよい、おいしいものが簡単にできます。
それは、私たちの親、おばあちゃんたちが食べてきたもの、作ってくれたもの。
私は自分が母に作ってもらい育ててもらったもの、教えてもらったものを伝えていきたい、それが私にとって「おばんざい」であり、おうちごはんです。


京都の人はきっとこんな私を見て「へーっ、おばんざいねー。ふーん。・・・。」(あとは何もいわない)と思うに違いありません。
自己紹介でも使ってますが、今でもちょっと居心地悪くて、こそばい(=こそばゆい)感じがします。
でも、今はこのスタンスでいろいろやってみたいと思います。

何より、私、京都が好きです。
今は遠く横浜に暮らしていても、生まれ育った京都を感じていたいし、誇りに思いたい、そんな気持ちがあるからよけいに「伝えたい」し、「こんなにおいしいねん!!」と言いたいのかもしれません。


関東の「おばんざい」事情はちょっとおもしろいです。
よく見かけるのは、居酒屋が昼メニューとして出している「おばんざいランチ」。
煮物がちょこっとついたしょうが焼き定食なんかが、「おばんざい」と称してデーンと鎮座ましたりしています。
そのうち、こんなこともレポートしたいと思っています。






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