僕と猫のブルーズ

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この世界の片隅に

2009年06月24日 | Art・本・映画
こうの史代さんの「この世界の片隅に」を読終えた。
感想を書いてみようと思ったが上手くまとまらない。
「夕凪の街 桜の国」と同じく普通の生活の視点から「戦争」を描いている。
主人公すずは何処にでもいるフツーの絵が好きなとろい女の子。
お見合いで呉に嫁いで、ダンナ様や両親にもそれなりに気に入られている。

しつこいくらいにフツーの暮らしが描かれる。
空襲警報が鳴ったときには何をすべきか?とか丸で戦時中のマニュアル本みたい。
コミックスは全3巻だけど中巻の終盤まで直接的に「戦争」が描かれることは無い。

正直・・・物足りなく感じて・・そんな自分に気付いてゾッとした。
残酷なシーン、悲惨な物語を期待している自分に。

でも・・・実は「フツーの暮らし」は確実に脅かされている。
作中に登場する人物が・・・何時の間にか・・・消えている。
昨日までそこにいた筈のヒトが・・・風景が・・・確実に亡くなってる。

すずはそんな中でもあくまで天然、周囲もそのまま。
そして・・・誰も「戦争反対」なんて云わない。きっと思ってもいなかったのだろう。
戦後産まれのボクは「戦時中」のヒトが「実は戦争を嫌がってたのでは?」
と考えるが・・・本当にそうだろうか?
フツーのこととして受容れていたのかも知れない。

最終巻になって急に風景が変わる。空襲、爆発。
すずは大切なものを幾つか失う。姪と・・・絵を描くための「右手」を。

でも・・・そんな中でもフツーの暮らしが相変わらず淡々と描かれる。
最後まで。

最後、微かな「希望」を示して物語は閉じる・・・。
ただ・・・・ラストシーンを見た後「夕凪の街 桜の国」のあのセリフを想い出した。
・・・・・このお話は・・・まだ終わりません・・・

 あの後、すみちゃんはどうなったのか?彼女は被爆してるのでは?
 鬼兄ちゃんを描いたあの挿話は一体何の意味があるのか?
 右手を失ったすずは本当にこの後、幸福に暮らしたのか?

かんがえるほどワカラナイ。こうのさんは何を描きたかったんだろう?
ここまで丁寧に、かつ素晴らしい絵を以って何を伝えようとしたんだろう?

「戦争の恐ろしさ」?「平和の尊さ」・・・ホントウにそうか?
単にハッピーエンド、希望を示して終わっているのか?
それで読者であるオレは満足して安心して・・・忘れてイイのか? 

「夕凪の街ー」以上に怖い作品でした。感動したけど・・・怖い。

でも・・・この作品を読んで・・・想った。
「ヒロシマ」「長崎」・・・そして「ひめゆり」・・・いつか行こう。
読むだけでなく、映像を見るだけでなく・・・自分の足で、目で・・・
いつか・・・・チャンと向かい合おう。

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