ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

曙光

2015年03月11日 | 東日本大震災
 
 
朝起きると、青い空がさわやかだった。

今日もわたしは、いつもと変わらずに赤ちゃんや子どもたちを診察した。

数日前から震災の特集がさかんだ。

でもわたしたちの毎日は同じようにくり返し過ぎていく。

 忘れてはいけない。
 風化させるな。

それはその通り。あたたかいお心遣いに感謝いたします。

だけど。

あんまりあんまりそう連呼されると、なんだかせつなくなる。

わたしたちって、そんなにかわいそう?

そうだよ。かわいそうだよ。だって被災したんだもの。

だけど。だけどね。

たとえば、やけどかケガをして、頬にキズが残ったとする。
それは生きていくにはなんの支障もない。
お化粧すれば全然わからないぐらい。
でも、キズは残っている。人が気づかなくても、自分は知っている。

そのキズを、

ああ、これね、あの時の。
ここに残っちゃったのね。これ、消えないのよね。
大変だったのね。お気の毒に。
でも大丈夫。心配しないで。
わたしたちあなたが受けたキズのことを忘れないから。

・・・こんな風に言われているように感じてしまうわたしは、
このわずか4年の間に心がひねくれてしまったのかな。

遠くにいるみなさん、いっそのこと、きれいさっぱり忘れてください。
なにごともなかったようにしていて下さい。
記憶にとどめているのは、わたしたちだけでいいんです。

そう叫んでしまいたくなる時がある。

もちろん、本当に感謝してるんです。本当に。

あと1年で丸5年になる。
5年の区切りには今よりももっといろいろなことが明らかになるだろう。
それまでの辛抱だ。

本当の被災地の方々へのエールと、
亡くなられた方々への追悼をこめて、
今日も静かに過ごそう。


 写真は、ケヤキの枝と青い空。
 両手を空に向かって広げるように伸びるケヤキは、福島県の樹だ。