祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声(注1)
諸行無常の響きあり
娑羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色
盛者必衰(じょうじゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす
おごれる人も久しからず(注2)
唯(ただ)春の夜の夢のごとし
たけき者も遂にはほろびぬ
偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ
(少年少女古典文学館『平家物語/上巻』より)
国語の授業で平家物語を習ったのは、中学校の頃だったか。
ひたすら暗記した覚えがある。
さて、これは平家物語の冒頭の有名な部分であるが、これにはもう少し続きがある。
遠く異朝をとぶらへば、
秦の趙高・漢の王莽・梁の周伊・唐の禄山、是等は皆旧主先皇の政にも従はず、
楽みをきはめ、諌をも思ひいれず、天下の乱れむ事をさとらずして、
民間の愁る所を知らざッしかば、久しからずして、亡じにし者ども也。
近く本朝をうかがふに、
承平の将門・天慶の純友・康和の義親・平治の信頼、
此等は奢れる心もたけき事も、皆とりどりにこそありしかども、
まぢかくは六波羅の入道前太政大臣平朝臣清盛公と申し人のありさま、
伝えうけ給はるこそ、心も詞も及ばれね。
意訳すると、
遠い異国でも、
秦(しん)の趙高(ちょうこう)、漢の王莽(おうもう)、
梁(りょう)の周伊(しゅい)、唐の禄山(ろくざん)、
などの逆臣たちは、
かつての主人の命もきかずに、自分達の楽しみにうつつをぬかし、
周囲の諫める言葉にも耳を貸さず、
国内が乱れることにも、人々の苦しみにも気付かず、
たちまちのうちに滅びてしまった。
我が国のことに目をやれば、
承平の乱の平将門(たいらのまさかど)、天慶の乱の藤原純友(すみとも)、
康和の義親(よしちか)、平治の信頼(のぶより)、などがいた。
この者達の驕り高ぶりはそれぞれであった(が、結局は滅んでしまった)。
最近のできごとでは、
六波羅の入道という、前の太政大臣にもなった平清盛という人物がいるが、
この人について伝え聞く内容は、想像もつかぬ、言葉にもできないものである。
・・・という感じかな。
まぁ、歴史は繰り返す、ということか。
衆議院選挙も終わった。
どうやらまた政権が替わりそうだ。
さて、お手並み拝見といこうじゃないか。
わたしは、日々、目の前の、やるべきことを、粛々とこなしていくだけだ。
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ひまわり注(12/25)
注1:鐘の声 は、鐘のこえ、と訳している本が多いけれど、
鐘のおと、という訳もあって、わたしは「おと」という読みの方が好き。
注2:おごれる人 も、書物で紹介されている多くは「人」なのだけれど、
中学校の頃は「おごれる者」と習った記憶が・・・。でもこの原文記載は少ない。
「おごれる者も久しからず」という言い回しの方が、わたしは好み。