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汚れた赤を恋と呼ぶんだ 河野裕

シリーズ第3弾。独特の世界の特徴が際立っているので、間隔をおいて読んでも、すんなりその世界に入っていける気がする。本書の場合、主人公は同じでも、話は全く違う世界なのだが、それでも明らかに同じ世界だと感じる。これはシリーズものの作品にとっては、大変重要なことだと思う。本屋さんでシリーズ本の新しい続巻を見つけた時、「ああ、あの世界の話だったな」と思い出せるかどうかが、そのシリーズを読み続けるかどうかに大きな影響を与えるだろう。その点本書は、細かいストーリーや話の進展をしっかり覚えていなくても、「その世界」がしっかり記憶に残っているので、安心して読むことができるのだ。但し、この甘ったるい題名は何とかならないか。最初の「いなくなれ、群青」は、題名の勝利といっても良いくらいに秀逸な題名だったと思う。少なくとも私は題名に惹かれて読んだくちだ。その次の2作目の「その白さえ嘘だとしても」は、後から考えると相当甘ったるい題名だが、読む前の段階では何を言っているのかよく判らないので、それほど気にならずに手にすることができた。しかし、3作目の今回の題名は、中年男性が本屋さんでレジに持っていくのがかなり恥ずかしい。この題名のせいで、読まない買わないという人もかなり多いのではないか思ってしまう。シャレた題名だし、内容からして固い題名は変なのだろうが、少なくとも本の題名というのは普通の読者が普通にレジに持って行って恥ずかしくないものにしてほしい。(「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」 河野裕、新潮文庫)

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