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虚像の道化師 東野圭吾

ガリレオ探偵シリーズの最新作で、いつもの湯川・草薙コンビの登場する短編が4つ収録されている。だんだん探偵が「物理学者」であるという要素が薄くなってきているようで、4編のうち少なくとも2編はほとんど普通の探偵と変わらない感じだし、関係のある2編もどちらかと言えば物理学者というよりも理科系技術者の範疇である気がする。それから湯川探偵の人物像も、何だか随分普通の人になってきたような印象がある。色々な事件に関与して社会の色々な表と裏を見ているうちに角が取れてきてしまったのだろうか。そんな感じで全体としてやや薄味な作品だが、さすがに事件の謎と真相にはいずれも一工夫があって楽しめた。(「虚像の道化師」 東野圭吾、文芸春秋)

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