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女は帯も謎もとく 小泉喜美子

ミステリー好きの築地の若い芸者さんが一人称で語る連作ミステリー。その芸者さんが身の回りで起きる大小様々な事件を語るのだが、探偵役になって謎を解くというベタな話ではなく、被害者と最後に言葉をかわした証言者になったり被害者の第一発見者になったりしつつ、担当の刑事さんに解決のヒントを与えたりトンチンカンな推理をしてしまったりと、そのバラエティさが意表をつく内容。ミステリーとして面白いというよりもその語り口や築地あたりの風情を感じる描写がたまらなく面白い。本書が書かれたのは40年以上前のいわゆる本格もミステリーといったパズル的なミステリーが生まれる前のことだが、自分には妙に肌に合うような一冊だった。(「女は帯も謎もとく」 小泉喜美子、光文社文庫)
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