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少年時代 深水黎一郎

音楽の蘊蓄満載の初期作品からユーモアミステリーと着実に作風を変えたり拡げてきた著者の新しい短編集。著者には、ペダンチックな文章の重い内容の作品からユーモアミステリーに進化しつつも、一貫してトリッキィな仕掛け、終盤のどんでん返しを重視しているというイメージがある。「少年時代」という題名もそうだし、最初の1編もそうなのだが、どうもこれまでの著者の作品内容やイメージとは少し違う作品のような気がしながら読み進めた。本作品では、予想通りそうしたペダンチックな内容と文章とユーモアはほぼなりを潜め、著者らしさは最後のエピローグで明かされる大きな仕掛けのみとなる。次の作品がどのような作品なのか、著者の今後がますます楽しみに感じられた。(「少年時代」 深水黎一郎、ハルキ文庫)

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