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7人目の子(上・下) エーリク・ヴァレア

何か日本のある作品を彷彿とさせる題名と寸評を読んで面白そうだったのと、読み応えがありそうなので、読んでみることにした。なお、本書のように上下巻に別れている作品は、読み始めるタイミングが難しい。出先で上巻を読み終えた時のために下巻を持っていく必要があるのだが、もし上巻を読み終えられなかったら持っていくのが無駄になるので、どうしようか迷ってしまう。読むスピードは本の面白さや内容にも影響されるので、事前に読み終えられるかどうか予想がつかないこともある。上下巻に分けてくれるのは、持ち運びに便利で、有難いと思うことの方が多いのだが、本書はなかなかそういう感じで読みだすタイミングが難しかった。ということで結局読んだのはこの5連休の後半ということになってしまった。「7人目の子」とは誰なのか?、そもそも舞台となった養護院に隠された秘密とは何なのか?ある時期に養護院の同じ部屋に暮らしていた7人の子どもたちの半生が次から次へと暴かれていくのだが、モザイクのように錯綜としていて全体像が中々つかめない。そうしている間にも次から次へと関係者が死んでいく。真相究明はほとんど不可能かと思いながらも、細い糸を手繰って真相らしきものにたどり着く。その糸の細さがこの小説のもっとも大きな特徴だとさえ思えてくる。作品を読み終えて解説を読んでいたら「まえがきとエピローグを読むとある秘密が判る」と書いてあるのだが、それが何だか判らず、後味の悪い読後となってしまったのが残念。(「7人目の子(上・下)」 エーリク・ヴァレア、ハヤカワ文庫)

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