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やなりいなり 畠中恵

ずっと文庫で読み続けている本シリーズ。本屋さんで見つけて入手したのは随分前のことで、それからなかなか読む気分にならなかったのは、やはりシリーズとしてマンネリ化していると感じているせいかもしれない。内容としては、主人公の成長と大きな柱があって、読者を飽きさせない工夫が随所に見られるのだが、それでもそう感じるのは、この「世界観」そのものに自分が飽き始めているのではないかと思う。そう思って、読まないままにしていたら、本屋さんで次の作品が文庫化されているのを発見。これはいけないと思い、ようやく読むことにした。また、1つの作品から次の作品までの間隔が、このシリーズは少し長すぎるような気がする。あまり長く待たされると、思い出すのも億劫、読み始めるのも億劫ということになってしまいがちだ。先日読んだばかりの本の感想のところでも書いたが、読んでも読まなくても大きな違いがなかったりするような作品の場合は特にそのあたりが大切だと思う。内容は、永年の読者を飽きさせない工夫なのだろうが、個別の話をつなぐ横糸として全ての話が「料理」を題材にしたものになっている。この工夫がうまくいっているかどうかについてだが、自分としては、江戸時代の料理にわくわくしないせいかもしれないが、さほどその部分に魅力を感じなかった。(「やなりいなり」 畠中恵、新潮文庫)

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