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せいめいのはなし 福岡伸一

著者と4名の著名人との対談集で、それぞれの対話は、著者が色々な著書の中で披露している「動的均衡」という概念を軸に進められる。「動的均衡」を人間の経済活動になぞらえた考察あり、文学的な創作活動との類似性の比較ありでなんとも楽しい。しかも最後に著者自身のまとめ等もあり、安易に対談をまとめただけの対談集とは一味もふた味も違う読み物になっている。著者の誠意をいたるところで感じることのできる1冊だ。ひとつ難を言えば、何故本の題名が全部ひらがななのだろうか。センスが感じられないし、バカにされているような気にさえなってしまう。著者の思い入れのある本に対するオマージュというようなことが書かれているが、この題名のせいで本書を手に取らない人がかなりいるのではないかと思うと残念だ。(「せいめいのはなし」 福岡伸一、新潮文庫)

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