真珠子学園

真珠子主催の活動公式公開日記。
https://www.youtube.com/user/Shinjukohime

ズルすぎる都、金沢。

2009-02-20 04:40:44 | つぶやき




夫と1泊4日の旅に出た。

いつものごとく「出発は、じゃあ、明日ね」って感じの急遽強行軍の

旅の始まり。

行き先は、これもまたいつものごとくぎりぎりまで教えてくれず、

金沢だとわかったのは、出発の数時間前だった。

刺繍教室が終わってから、準備!

ロケーションを予測しながら、色、色、色で悩む・・・

あああ、黄八丈みたいな紬、買っておいて良かった。

それに、母から譲り受けた総絞りの赤い羽織着ていこう。

でもどうしても刺繍した般若帯締めたい・・・

けど、配色がうまくいかない・・・

この時、これから乗るのは寝台列車だ、と言うことを思い出す。

そうだ、この刺繍しかけの蝙蝠柄の帯を電車の中で刺繍しながら

行けばいいんだ。

(↑この時は、まだ自分がこれから帯締めを持っていくのを忘れ、

最初の撮影は泣く泣く文庫結びになり、刺繍もなにも物質的に

後ろ姿を見せられなくなることになろうことなど

微塵も気が付いていない、幸せな妄想の中にいるのであった!)



出発の3分前、寝台列車、「北陸」前、到着。

ちらほらと、てっちゃんカメコ(鉄道ファンのカメラ小僧)達。

その中で、一人でっかいカメラを構える夫を見ていたら、

お弁当持って、早朝、上野駅に通っていたという中学生坊主の夫に

出会ったようだった。

私には到底わからない世界ですが、アイドルとか、大仏様の

顔を拝みに来る感覚でしょうか?

しかし、凍り付いた上に雪の積もった電車の顔を一緒に見ていたら

「おおお、さぞや、寒かったことでしょうね、がんばったね。」

という、気持ちになっているではないですか!!!!

難なく垣根を乗り越えて、電車を擬人化している自分に

気が付いて唖然。

ここにも、てつこ誕生か?





寝台列車、最初は、トルコで、アンカラエクスプレスに

乗った。次は、初めての青森旅行の帰路で・・・

恐山の帰り、私は、その旅の中盤からずっと悩まされていた

原因不明の首の瘤の激痛に泣きながら乗ったという

悲しい思い出しかなかったのだけど、

今回は一番充実していた。

好きになった。

刺繍しながら、揺られていると

「中国の民族の列車の中みたい。」って

言われた。よし!

寝たり起きたりしながら4時間くらいがんばったんだけど、

・・・できあがらなかったの!

でもまあいいや。無理に仕上げたら、徒労感だけの作品になる。

楽しみはとっておく!

(↑というか、あなた・・・羽織着るんでしょ!? )

深夜、あきこさんhttp://aramahoshi.com/に携帯からメールする!

以前、金沢に行って、すっごく楽しかったと聞いていたので・・・

しっかりとおすすめのお店を教えてもらう!

というか、その後も、旅のほぼ同時案内をしてもらうことになった!

あきこさん、ほんとうにありがとうね!

顔を洗ったりしてぼんやりしていたら、金沢、到着。

あわてて、バックから着物引っ張り出す。

着付け3分で完了。最短記録達成。

初めて金沢に降り立つ!

寒い!

シャツ2枚と、ミニスカートで歩いてる女の子を見て

目玉が飛び出るかと思った。

わたしは、お袖を普通のダウンコートの中に入れ込むという

荒技も習得した。

周遊バスに乗って、まずは、ひがし茶屋方面へ・・・

雪!





まぶしかった。

梅の橋を渡る。

煙突から煙が出ていて、いいにおいがした。

お散歩タイムの犬たちはみんな跳ねていてとっても元気だった。

茶屋街・・・ただものじゃない街という感じ・・・

こんなところが京都以外にもあったんですかー!

「志摩」という、昔のお茶屋さんの中を見学する。

ここさ・・・わたし、JRのポスターで見てすっごく

憧れていたところじゃないかーーーー!!!

感動した。夫のたまたまの思いつきの場所に

単なる偶然じゃないものを感じた。

「呼ばれた」んだねー。

お茶屋さんは、こじんまりしていて、優美だった。

ここで、初めて金沢のお菓子を食べる。

金沢は、どこもお庭が凄く綺麗。

雪がね、まるでふるいを振ってる人が上にいるかのように

きれいに振ってくるの。

この間、歌舞伎で観た桜田門外の変みたいだった。







その後、またバスに乗って、兼六園、前田家のおひな様を見た。

おひな様の顔は、まん丸くて、引目かぎ鼻で、

現代の漫画の絵みたいで、当時の人たちに親近感が湧いた。

あああ、それから、大河ドラマさながらの謁見の間に圧巻!

こんなところに座られたら、さぞ恐れ入るだろうなぁ~

前田家に秀吉から贈られたというペルシャ絨毯を触った。

当時の人たちもこの触感を知っていたんだね・・・

広い畳の上で、足が冷たくなって攣り始めたのでおいとましました。

畳って冷たい!

その後、能楽堂へ・・・

資料館だと思って尋ねたら、本堂だった。

閉まってたんだけど、なぜか、係の方が中に入れてくださり、

親切に解説してくださった。

一対一だったから、気兼ねなく次々に質問。

そうか、あのバックの松の絵は写し出された松だったのですね・・・

言われて見ると、ちゃんとした構図なのに何かがぼやけている。

そこなのかー。

21世紀美術館で種類豊富なバイキングのランチを

食べて、能の資料館へ。

能に爪が生えて、クマになる。

香林坊方面へ・・・

あきこさんに教えてもらった109の裏にある

「純喫茶ローレンス」へ・・・






まるで、デヴィット・ハミルトンが撮った映画の中にでてきそうなとこだった。

サロン・・・。女主人も妖艶でした。営業して43年だそうです。

こんな時間が止まった場所、東京ではよくなくなっちゃうでしょ、

だから、とても貴重です。

ここにいると魔女になれそうなき気がしてくる。

あったかくてものすごくおいしいジンジャーミルクチャイを

飲みながら、

「日本っていいね。」

と、つぶやいたら

「大きく出たね。」

と、夫に言われた。

女主人に教えてもらった呉服店で、帯締めをゲット。

これで明日は、姐さん風に着付けられる。



湯涌温泉に泊まる。






大女将さんらしき人が、お部屋までご挨拶に来てくださって、

わざわざ浴衣のサイズを実際体に当てて測ってくれた。

こんな世話の焼けることずーーーっとやってきたんだろうなぁ~

こうやって、どんなお客さんか見てるんだろうなぁ~

大好物の蟹料理を食べながら、明日の計画・・・

九谷焼や、漆塗り、それから金箔塗りで

お料理が運ばれてくる。

まず、明日は、絶対に九谷焼見たいでしょ、それから加賀友禅、

そして、和菓子も押さえておかないと・・・

この時点で、なんかズルいと思った。

今日見た能などのさまざまな文化も思い出した。

すべて、もう、すべてを網羅なの?

こじんまりしたこの中でこれほどの文化が息づいていて

金沢は、嫉妬するほどズルい都だと思った。




外にある檜のお風呂につかった。

目の前の斜面に切り立っている丸い石は、

みんな白い帽子をかぶっていてかさこじぞうみたい。

顔もうすぼんやりと見えてきた。

湯気が天に立ち上っていくのを眺めていたら、

「永遠」って目指したいけど、やっかいなことだな、と思った。

この言葉、信じたいけど、信じた時点で情熱の怠惰が始まる。

そんなことを夢二もたしか言っていたっけ、と思いながら、

3軒先の夢二美術館に行った。






夢二・・・17歳の頃は、神で、絶対崇拝していたけれど、

夢二に対する思いは年々変わっていく。

それが年を重ねることのまた面白いところ。

17歳のお誕生日に文通していた中学校の校長先生からプレゼントしてもらった

夢二の写真集、「女」。夢二の人生の中で特に彼に影響を

与えたとされる3人の女を撮っている。

穴が空くほど眺めたあの廊下で腰掛けて最愛の彦乃と撮った写真は、

ここ湯涌だったのか・・・と、また偶然じゃない何かを感じて、

鳥肌が立った。



「涙」という漢字について考えた。

汗かいたり、泣いたりしたら、「戻る」ってことなのかなぁ。

戻るって、いいなぁ。




茅葺き屋根のおうちへ・・・







中で、囲炉裏に火を付けているおじさんが居た。

「家は火をつけんといかんのです。」

と言っていた。

中に、3分も居られなかった。煙たすぎて。

昔の人は、アレルギーとか、ほんとになかったんだろうなぁ。

武家屋敷を歩いていたら、ちょうどクランクになってるところに

提灯が出ていた。









九谷焼のギャラリー兼、カフェだった。

ちいさなちいさなおひな様と、醤油さしを買った。

友禅ギャラリーを見つける・・・

本当は5分前に終了していたけど、少し見せてくださった。

狐の嫁入り・・・美しい。

たまたま読みかけの本に、

加賀友禅を作った宮崎友禅斎さんの話が書いてあって、

帰ってきてから読んでわかったのだけど、

あれは、激しい恋の色だったんだ。



帰り、かぶら寿司というものを食べた。

発酵好きになっている今の私の味覚には

たまらないものがあった。

白魚のにぎりの上には、金箔が乗っていた。




行きも帰りも電車の顔を飽きずに何枚もシャッターを切ります。

そして上野でも金沢でもカメコが居なかった事がなかった。

こうやって小さい頃からの好きなことを職業にした人って

世の中にいったい何人いるんだろうって思えてくる。

15歳の中(学生)坊の夫から、45歳の中(年)坊の夫までが

一気に垣間見えた。

そんな夫の本が、今月発売されたらしい。

http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/bookdisp.asp?code=1860541400

わたしも初めてモデルとして起用された。

今回のこの旅行は、この本があって生まれたようなものなので、

その旅行中に、この本について凄腕カメラマンの方々から

熱い支持のメッセージを頂いたときは、思わず涙が出た。

ありがたいことです。

夫婦って不思議ですね。

一昨日で、結婚して7年目になる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 刺繍寝台列車 | トップ | 丸眼鏡、放蕩娘、江戸小紋体... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

つぶやき」カテゴリの最新記事