山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

西沢渓谷を散策 令和1年9月29日

2019年10月02日 | 渓谷
 西沢渓谷は紅葉にはまだ早い。紅葉のハイシーズンに訪れるほうが見どころいっぱいなのであるが、その時期の週末は混雑が著しくまともに写真を撮りながら歩くのは難しくなり、さらにはシダの宝庫であるこの渓谷でシダを探しながら歩くのは困難になってしまう。そのためハイシーズンを避け、かつ天気予報があまり思わしく無かったこの日にあえて訪問してみた。小雨は止む無しと思っていたが想定外に青空が広がっており、どうやら雨の心配は無さそうである。何種類かお目当てのシダがあるのだが小さくて探すのは難しそうである。たくさん見てきたシダ植物はまずさておいて、西沢渓谷の美しい流れと滝を堪能していただきたい。


    西沢渓谷駐車場から見上げるループ橋。その下に見えるゴツゴツした危なそうな山が鶏冠山。


    シダを見ながら歩く。裏側に真っ黒な胞子嚢を付けているヒメシダ。


    アスファルトの脇の石垣に付いていたシダ


    オウレンシダ。あちらこちらで良く見かける。


    岩壁にはイワデンダの大群。


    おしゃれなトイレ。ここから先が本格的な西沢渓谷になる。


    案内板の地図が凄い。山岳救助隊の温井さんが描いた作品。


    二俣吊り橋を渡るといよいよ渓谷道である。


    吊り橋から見上げる鶏冠山。紅葉にはまだ早い。


    鶏冠山の入り口。かつては入山禁止の看板が立っていたがルートが整備されたのか、きちんとした看板があった。


    主だった滝や名所には看板が立っている。


    滝見台から見る三重滝


    人面洞。画面左側の窪んだ岩のところが人の顔のように見えるのだろうが、暗くて良く分からない。


    渓谷の登山道脇に咲くダイモンジソウ


    ダイモンジソウ


    トリカブト。葉の幅が広くヤマトリカブトと思われる。


    竜神の滝


    貞泉の滝


    澄んだ西沢渓谷の流れ


    それなりの急流である。


    蛙岩


    いちばん奥にかかる方杖橋


    方杖橋の上から見る沢の流れ


    そして西沢渓谷一番の名所、七つ釜五段の滝


    七つ釜五段の滝上部


    同じく別角度から。ポスターで良く使われるのがこの位置からの画像である。


    さらに滝の最上部を見下ろす。


    渓谷道の一番奥にある滝、不動滝。


    木道の階段を登り上げると休憩ベンチのある小屋(トイレあり)に到着する。ここから先は道幅の広い昔のトロッコ軌道を歩いて駐車場に戻ることになる。

 西沢渓谷は一周約10㎞、時間にして5時間くらいの周回コースになっており、ハイシーズンには一方通行が原則である。途中で引き返してきたり、逆走したりする人が居るのだが渓谷道が狭く交差がうまく出来ず滑落する事故が起きている。とにかくハイシーズンの週末はかなり混雑するのでそのつもで入山して欲しい。ちなみに今回私が周回してかかった時間は8時間である。費やした時間のほとんどがシダ探しと撮影である。見つかったシダもあれば見つからなかったものもあるのだが、時間をかけたのに見合ったシダ探しは出来たと思っている。下山したのはもちろん私が最後だった。


    見たかったのはこのシダ。


    オオクボシダ。葉に毛の生えた小さなシダである。山梨県絶滅危惧ⅠA類。


    そしてもうひとつがこれ。


    ヒメイワトラノオで間違いないと思われる。山梨県絶滅危惧ⅠB類。

 その他大量に撮影したシダ植物は名前を調べてからまた後日掲載する。

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訳の分からないシダの同定 尾白川渓谷のシダ  令和1年9月28日

2019年10月02日 | シダの仲間
 花はほとんどが咲く季節が決まっていていつごろ訪問すれば咲いているかが予想できる。慣れてくれば葉を見ただけでもある程度の予想はつくのであるが、シダの仲間は常緑性のものが多くあり、この季節ならばこんなシダが生えているとは必ずしも言い難い。小さいからといってこれから成長して形を変えるのかと思えばしっかり胞子嚢がついていたり、大きいからといって葉の裏を見ると胞子嚢が無かったりと、そのシダが既に成長した形なのかどうか分からないことがしばしばである。特にオシダ、メシダ、ワラビの系統は分からないものばかりである。しかし分からないからといって見過ごしていては進歩が無い。パソコンのスクリーンと図鑑だけで見比べているとどうしても判別できないものが多いので、今回は約30枚をプリントアウトして図鑑と比べて判別を試みた。とりあえずは判別してみたが間違っていることも多いと思う。まずは正確な名前を判別することよりも、当たらずとも遠からずの位置に石を投げ入れることからである。


    このシダは以前に塔岩川と板敷渓谷で観察してきたので判別出来る。表面に光沢があり最下羽片の下向き第一小羽片(最下部ハの字と省略)がピンと突き出ている。


    ソーラス配列。これはヤマイタチシダ。


    これも最下部ハの字が大きくてちょっと格好良いシダ。


    この株は残念ながらソーラスが見えていない。


    形からこれも同じシダだろう。


    今度は葉の裏側全体にソーラスが出ている。


    トリーミング。小粒の胞子嚢が小羽片の上寄りに1個ずつ配列。これはホソバナライシダ(オシダ科カナワラビ属)というシダだろう。


    このシダも似てはいるが大きさが全く違う。こちらのほうが遥かに大きく中軸が紫色。


    ソーラス配列と形は全く別物である。これはイヌワラビ(イワデンダ科メシダ属)らしい。


    これは竹宇駒ケ岳神社付近で見かけたシダ。形は似ているが中軸は緑色である。


    ソーラス配列と形はイヌワラビとほぼ同じである。これは中軸が緑色のタイプのイヌワラビと思われる。


    良く見かけるシダで形はオシダに似ているが別物である。ほとんどの葉は先端部が無くなっている。


    根元の部分。茶色いやや大き目の鱗片が付着。


    そして特徴的だったのがこのソーラスの付いた葉である。先端近くの葉にのみソーラスが付着し、その部分だけ羽片の大きさが小さい。これはクマワラビ(オシダ科オシダ属)だろう。


    このシダは先端部の葉に胞子嚢をつけ、放出後は落下するらしい。先端部に葉が無くなっているのはそのためである。


    そしてこれまた分からなかった2種類のシダ。普通に生えているので全く珍しくはないのだろうが、左右の2種類は同じものなのか違うものなのか?


    右側の中軸が黒いほうのシダ。


    ソーラスは先ほどのクマワラビと同じく先端部の葉にのみ付く。


    トリーミング。小羽片の先端近くまでソーラスが付着している。


    真っ黒な鱗片。どうやらこのシダはミヤマクマワラビ(オシダ科オシダ属)らしい。先ほどのクマワラビとは様子が違い、ミヤマと付くが高山型と言うわけでは無いようである。


    そして左側のシダ、こちらのほうがやや大きく、右側にあったシダが成長するか、ちょっとした環境でこうなるのかとも思ったがそうでは無いようだ。


    薄茶色の鱗片。どうやらこれはオシダ(オシダ科オシダ属)らしい。先ほどのミヤマクマワラビと同じようなソーラスが葉の先端部に付いていたが写真を撮って来なかったのは失敗だった。


    さらに訳が分からなかったのがこのシダ。葉の形と黒い中軸を見る限りでは先ほどのミヤマクマワラビに酷似している。しかし違うのはこの勝手にあちらこちらで葉を広げている生え方。


    ソーラスを見てみると先端部だけではなく全体に配列している。


    トリーミング。ミヤマクマワラビは小羽片の先端近くまでソーラスが付着していたがこれは中央に寄って配列している。ハリガネワラビ(ヒメシダ科)というシダらしい。

 図鑑と写真とのにらめっこなので間違っていることが多いと思われるが、当たらずとも遠からずの位置に石は投げられていると思う。苦手のワラビの類い、少しは克服できたような気がする。

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