建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

【科研(基盤B)】医療・生活施設における看護・介護負担感軽減と利用者のQOL向上に関する包括的研究(2015-2017)(研究代表者)

2018-06-08 22:30:13 | □研究・設計業績(論文/プロジェクト等)

科研データベース

 (2018.6.8 研究成果報告書を追加しました)

 

■研究目的(概要)

我が国では、超高齢・人口減少時代を迎え,医療・高齢者福祉・障碍者福祉の連携・融合による包括的ケアによって高齢者や障碍者,病を持つ人も豊かなQOLが保障される社会の構築が喫緊の課題である。一方,社会保障費の抑制や,看護・介護資源の効率的な活用,また看護・介護職の疲弊の解消のため,単純な動線量等でない,看護・介護者の負担感が注目されている。本研究では,看護・介護負担感に着目した医療施設の入院療養部門,要介護高齢者と障碍者の生活施設の横断的な調査・分析によって,ケア対象者の生活の質の向上と,看護・介護者の負担感の軽減のバランスを支援する建築空間の検討と提言を行う。本研究は,今後の持続可能な社会保障の構築に向けて,今後の施設・サービスの枠組みの再編時にも活用できると考える。

 

■研究計画・方法(概要)

 本研究では看護・介護者の負担感と患者・利用者のQOLのバランスを支援する建築空間のあり方を提言するため,①医療施設の入院部門での建築空間構成(病棟平面,病棟間の関係等)と看護負担感の関係の調査・分析,患者視点での平面評価,②③高齢者と障碍者の生活施設での建築空間構成と介護負担感の関係の調査・分析,利用者視点での平面評価,および④これらの成果を踏まえた横断的分析・検討を行う。このため,医療施設の入院部門と高齢者・障碍者の生活施設において,看護・介護負担感と平面評価,患者・利用者視点での平面評価のアンケート調査,看護・介護動線量の調査を行い,相互の関係を分析する。また患者・利用者属性(重症度等)や地域性などを併せて分析することで,ニーズに即した平面の選択等を助ける資料としてもまとめる。

 

■人権の保護及び条例等の遵守への対応

 本応募課題では,対象者の同意・協力を必要とするアンケート調査・業務上の移動量調査を行う。この調査と調査データの分析・管理について,以下の通り配慮を行う。

1) 対象施設・対象者に対する調査趣旨,調査内容,個人情報保護の方針についての説明を行い,同意が得られた場合にのみ調査を実施する。調査協力への可否によって,対象施設また対象者にいかなる不利益も生じない。

2) 病棟・ユニット平面と看護・介護負担感の関係についてのアンケート調査にあたり,施設名称は原則として匿名で行い,施設名称等の施設特定につながる情報の記載は求めない。移動量調査への協力への許諾を得られる場合に限り先方の意志に即して記名を求める。

3) 調査協力者(看護師・介護職員)への同上アンケート調査は全て匿名で行う。

4) 移動量調査と当日の看護・介護負担感調査にあたっては,研究代表者・分担研究者の所属する機関での倫理審査に加えて先方施設の倫理規定に則り適切に行う。

5) 移動量調査は活動量計調査とし,休憩中は調査対象としない。歩数のみの把握のためプライバシー侵害への危惧は生じない。また,使用する機器は一般的に使用されている普及型の既製品で,身体的ないかなる負担も生じない。さらに,移動量調査当日の看護・介護負担感アンケート調査の対応は全て活動量計に対応するナンバリングによってのみ行い,あくまで匿名調査として実施する。

6) 看護・介護経験年数等の職員の個人情報を含むデータは,上記の通り匿名の上統計処理をして用い,個別の回答については公開などの対象には一切ならない。

以上で得た調査原票はスキャンしてpdf化し,パスワードロックのかかるPC(研究従事者専用端末)に保管する。上記のように個人が特定される情報はそもそも含まれないが,原票は他者が不用意に閲覧することがないようシュレッダー廃棄する。

 

■研究成果の一覧

〔雑誌論文〕(計5件)

①金子亜里砂,山田あすか古賀誉章:看護小規模多機能型居宅介護事業所の運営実態と利用者の地域生活についての事例的研究,地域施設計画研究,査読有り,Vol.34,pp.109-116,2016.07

②高瀬敦,山田あすか,野原康弘,佐藤栄治:地方都市における訪問介護の効率的配置と運用に関する研究 -U 市とN 市の社会福祉協議会の運営実態,日本都市計画学会 都市計画論文,査読有り,Vol.51,No.3,pp.901-908,2016.10

③古川亮,山田あすか:エンド・オブ・ライフケアを含む日常生活介護の場のしつらえに関する研究,日本建築学会地域施設計画研究,査読有り,Vol.36,pp.印刷中,2018.07

④村川真紀,山田あすか:児童精神系列診療科における環境要素への評価の実態,日本建築学会地域施設計画研究,査読有り,pp.印刷中,Vol.36,2018.07

⑤小山竜二,山田あすか,古賀誉章:廃校舎改修による高齢者施設の実態と適応性に関する研究 –活動量と介護負担感の視点から,日本建築学会地域施設計画研究,Vol.36,pp.印刷中,2018.07

 

〔学会発表〕(計17件)

①野原康弘,佐藤栄治,他:地方都市における在宅介護のサービス提供圏に関する研究 -中山間地域を抱えるN 市を事例として,日本建築学会大会,学術講演梗概集,F-93-94,2017.9

②Nozomi KUZUHARA, Eiji SATOH:A Study on future estimation of depopulated settlements with advanced aging, - A case of Kuriyama area, Nikko city, Tochigi prefecture, 15th International Conference on Computers in Urban Planning and Urban Management, University of South Australia, 2017.07

③三宅貴之,佐藤栄治,他:訪問看護ステーションにおける在宅医療提供体制の評価に関する研究,日本建築学会大会,学術講演梗概集,F-53-54,2016.8

④Yasuhiro NOHARA, Eiji SATOH:Nobuo MITSUHASHI: A Study on the Service Area and Administration of Home-help Services, 47th Asia Pacific Academic Consortium for Public Health (APACPH) Conference, Bandung, Indonesia 21th - 23th October, 2015.10

⑤野村洋介,三橋伸夫,佐藤栄治,本庄宏行,地域包括ケアシステムにおける地縁組織の高齢者支援に関する研究:栃木県高根沢町を事例として,日本建築学会,学術講演梗概集2015(農村計画), 37-38, 2015-09-04

⑥関悠馬,村川真紀,山田あすか:特徴的な平面を持つ急性期病院における看護負担感についての研究,日本建築学会学術講演大会,pp.383-384,2016.8.26

⑦高瀬敦,山田あすか,野原康弘,佐藤栄治:地方都市における訪問介護の効率的配置と運用に関する研究 -U 市とN 市の社会福祉協議会の運営実態,日本都市計画学会 都市計画論文,Vol.51,No.3,pp.901-908,2016.10

⑧古川亮,山田あすか:エンド・オブ・ライフケアを含む日常生活介護の場の設えに関する研究,日本建築学会学術講演大会2017,pp.227-228,2017.8

⑨倉澤周作・小林千紗奈・古賀政好・山田あすか:障がい者施設における施設平面と支援負担感の関係に関する研究 その1,日本建築学会学術講演大会2017,pp.453-454,2017.9.1

⑩宮崎文夏・小林千紗奈・古賀政好・山田あすか:障がい者施設における施設平面と支援負担感の関係に関する研究 その2,日本建築学会学術講演大会2017,pp.455-456,2017.9.1

古賀政好・小林千紗奈・山田あすか:障がい者施設における施設平面と支援負担感の関係に関する研究 その3,日本建築学会学術講演大2017,pp.457-458,2017.9.1

⑫古川亮,山田あすか:エンド・オブ・ライフケアを含む日常生活介護の場のしつらえに関する研究,日本建築学会地域施設計画研究シンポジウム,pp.印刷中,Vol.36,2018.07

⑬村川真紀,山田あすか:児童精神系列診療科における環境要素への評価の実態,日本建築学会地域施設計画研究シンポジウム,pp.印刷中Vol.36,2018.07

⑭小山竜二,山田あすか,古賀誉章:廃校舎改修による高齢者施設の実態と適応性に関する研究 –活動量と介護負担感の視点から,日本建築学会地域施設計画研究シンポジウム,pp.印刷中,Vol.36,2018.07

古賀政好,山田あすか,古賀誉章:高齢者入居施設における生活単位平面と介護負担感の関係性についての研究 その1,日本建築学会学術講演大会2018,pp.印刷中,2018.09

山田あすか,古賀政好,古賀誉章:高齢者入居施設における生活単位平面と介護負担感の関係性についての研究 その2,日本建築学会学術講演大会2018,pp.印刷中,2018.09

⑰目黒友子,古賀誉章,小山竜二,山田あすか:特養ユニットの平面形態の違いと介護負担感・活動量の関連,日本建築学会学術講演大会2018,pp.印刷中,2018.09

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6月7日(木)のつぶやき | トップ | 6月8日(金)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

□研究・設計業績(論文/プロジェクト等)」カテゴリの最新記事