設計主旨
高層ビルが立ち並ぶ丸の内に「ちょっと住んでちょっと稼ぐ」新たな職住近接のカタチ“マルシェ・ア・ハウス”を提案する。
拠点とネットワークの時代である。そして,人や情報を「知る」ことはネットワークを強化する。この“マルシェ・ア・ハウス”では,様々な繋がりを持つ複数拠点居住者や兼業者が行き交い,時間・空間・役割がシェアされる。生産物の販売や情報発信,居住を通して多様な利用者が繋がり、血縁・地縁を超えた「知縁」による“知域コミュニティ”を創造する。
3×3のグリッド状に柱を配置し、広さの異なるスラブを設け、スラブの面積に即したマルシェ空間を生む。それらのスラブを積層させて視線を操作し、コミュニティの密度に多様性を与える。これらのマルシェ空間を、柱を縫うように配置し様々な行き交いを生む動線計画を行う。
様々な大きさ・間取りの住戸群は互いに少しずつずれて風や光が採り込まれ、重なり合うマルシェ空間を見渡せる。住民のプライバシーは守られつつも、マルシェ空間と住戸空間とが徐々に交わり、様々な利用者の生活の至る所で、思いがけない「知」の交流が生み出される。
知縁は距離を超え,全国のあらゆる場所と繋がり,新たな価値や発見をもたらす。現代の生活形態に即した関係性は、物理的距離と社会的役割の境界を融かし情報・場所・人を繋ぐ“知域コミュニティ”に結実していく。その風景は,今の時代だからこそ現れる、新しい職住近接のカタチなのである。
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