「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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「単伝庵」(たんでんあん)

2009年02月21日 23時38分43秒 | 古都逍遥「京都篇」
 今から200年ほど前、臨済宗妙心寺の単伝和尚が人々の不慮の災難を救うことを発願して、ケガ除け・厄除けの救苦観音を安置して祈祷修繕したのが単伝寺の由来となっている。
 別名らくがき寺といい、境内の大黒堂の壁に自由に願い事を書ける。

 お堂に祀られた大黒天によく見えるよう、願い事を書くと御利益があるといわれる。その大黒天は、「走り大黒天」と呼ばれており、南北朝時代、石清水八幡宮の改築に際して、楠正成が武運長久を祈願して奉納した楠木(くすのき)の残り株から彫られたもので、にこやかに微笑を浮かべて蓮華の実の上で袋を担ぎ走っている姿が刻まれている。台座には米俵が2俵用いられている。

 山門を入った正面には大黒堂という御堂がある。この御堂の白い内壁が、願いを託した落書きで真っ黒になっている。 落書きは、年齢や性別、時代を問わず、人間生活における心の遊びでもあるといえる。
 平城宮跡の発掘調査でも、木簡や土器などの遺物のなかに、いろんな落書きが見つかっている。
 さらに9世紀の嵯峨天皇の時代になると、落文(おとしぶみ)とか落首などと称して、政治、社会を批判するものがみられ、これらは匿名の文書を道に落としたり、門壁になどに貼り付けて衆人の目に触れさせるといったものであった。
 こうした落書きは、公式文書には見られず、人々の「本音」があり、当時の世情を知る重要な手がかりとなっている。

 当寺の栞には、『らくがき「人間は思わぬ様にはならぬ」とはいうものの、努力だけでは成就できないこともあります。大いなるものの力に後押しされ、はじめて努力も報われるものではないでしょうか。』と記され、直接当山へ参詣できない人のために、「願い事書き込み用紙」が用意されていて、郵送すると祈祷するとのこと。

 「救苦観音」のほかに、「五大釈迦」も安置されている。世の中のすべては、地・水・火・風・空の5つの元素(5大)の組み合わせにより世の中のすべてが出来ているとされており、この5大を型どった台座(方・円・三角・半月・台形の5つを組み合わせている)の上にお釈迦様を安置している。
 別の小堂には水子地蔵尊が祀られているが、清水をかける水があたりに見当たらない。柄杓だけが地蔵尊の脇に置かれてあった。大黒堂には「喘息(ぜんそく)」封じの仏様も安置されてあった。

 らくがき料は300円、駐車場は「愛の駐車場」と表示されており、駐車料500円を障害者施設などに寄付するとのこと。志納しないわけにはいかない。ただ拝観料が100円なので、京都市内の観光寺に比べれば安く、良いことに使われると思うと拝観してさらに心が晴れやかになる。
 拝観は土・日・月曜日のみの9時~15時、以外の日は予約が必要。

 所在地:京都府八幡市八幡吉野垣内33。
 交通:京阪電車八幡市駅下車、徒歩8分。
 
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