「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

「瑞峯院」(ずいほういん)

2006年04月29日 12時51分07秒 | 古都逍遥「京都篇」
 大徳寺搭頭の一般公開が始まったことから取材目的で出かけた。
 当院は、室町時代の九州豊前豊後の領主で、宣教師フランシスコ・ザビエルについて洗礼を受け、キリシタン大名として知られる大友宗麟公が、大徳寺開山大燈国師から法系第九一世徹岫宗九(てつしゅうそうきゅう)禅師に帰依し、天文4年(1535)禅師を開祖として創建した。山門、唐門、方丈は創建当時の建築物で重要文化財に指定されている。

 宗麟は、はじめ大友義鎮と名のっていたが、22歳のとき得度を受け、宗麟と名を改め、瑞峯院殿瑞峯宗麟居士を以って、寺号を瑞峯院と称した。
 取材に応じてくれた僧が、「この蓬莱山の様に、どんな大変なことが起ころうとも動じない心を悟ってください。どんな時にも本当の自分の心を見極めることができるようになってください」とありがたい教えを垂れてくれた。
 方丈裏の庭園「閑眠庭」は、「閑眠高臥して青山に対す」の禅語から銘じられ、閑眠庭と呼んでいる。中庭にあるキリシタン灯寵を中心に、7個の石組からなり、縦に4個、横に3個の石の流れが十字架に組まれ、万民の霊を弔っている。いずれも、これらの庭園は作庭界の権威重森三玲氏によって造られた。
 感嘆して見つめていると、「十字架を形づくっているのはご存じでしょうが、実はその横に坪庭があってそこの灯籠を中心に作られているのです。その灯籠の下にはマリア様が埋まっていて、名付けてキリシタン灯籠と言います。もしこの庭園を拝むのであれば灯籠から見てください、バッチリ十字架です」と、語り上手の僧でユーモアを交えて話してくれた。
 そして「茶室がその奥にあるんですが、これが珍しく逆勝手なんです。『安勝軒』を覗いて見てください。思う存分見たところで最後にお茶などどうですか? ここの茶菓子が『紫野』という、中に大徳寺納豆が入っているちょっとかわったお菓子が出てきます。一度食べてみてください。甘い生地にちょっと塩辛い納豆の味が利いて美味しいですよ」と、商いまでしてくれた。折角のおすすめなので頂いて見ると、なかなかの風味であった。
 方丈前の独坐庭は、寺号、瑞峯をテーマにした蓬莱山式庭園で、中国の禅僧百丈禅師が、独坐大雄峰と呼唱した禅語から銘じられ、独坐庭と言う。この枯山水は、峨々たる蓬莱山の山岳から半島になり、大海に絶え間なく荒波に、打ちよせもまれながらも雄々と独坐している、大自然の活動を現わしている。茶席の前の方は入海となり、静かな風景を現し、自然に心が落ち着くのを覚える。

 所在地:京都市北区紫野大徳寺町81。
 交通:交通:市バス大徳寺前下車、徒歩約5分、地下鉄烏丸線「北大路」駅から徒歩15。
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