多くの方はなんとか歩き通すことができるのですが、「思ったよりも楽だった」「想像していたよりも大変だった」と人それぞれ。時には疲労困憊や足を痛めてリタイアしてしまう人もいます。
そこで、ここでは縄文杉トレッキングを成功させるためのアドバイスをご紹介いたします。
1:まずは体力・興味にあったコースを選びましょう!
屋久島といえば縄文杉が有名ですが、屋久島の魅力は縄文杉だけではありません。
一度いろいろなコースを調べていただき自分の体力・興味にあったコースを選ぶことがもっとも重要です。
「屋久島イコール縄文杉」だと決めつけていませんか?
「なんとしても縄文杉に行きたいのか?」「きれいな苔むした森を見たいのか?」「屋久島の自然にのんびり癒されたいのか・・・」興味の対象は人それぞれです。
参考:屋久島自然学校ではいろいろなガイドツアーを揃えています
例えば、縄文杉トレッキングは「目指す山」のイメージ、達成感を味わうマラソンに近いコースです。
一方、白谷雲水峡やヤクスギランドは「楽しむ山」のイメージ、ゆっくりと自然観察をして癒されるコースです。
その他にも季節や家族構成などによっておすすめのコース・ガイドツアーは異なるかと思います。
2:日程を検討しましょう!
詳しくは、環境省登山情報:縄文杉快適登山日カレンダーをご覧になって日程を検討してみてください。
GWにしか休みをとれない方は、発想を転換して、ヤクスギランドの50分以上のコースがおすすめです。GWでも人が少なく屋久杉の森を楽しむことができる穴場のコースです。
3:できれば予備日があるとよい
屋久島といえば日本で一番雨が多いところです。
日本の年間平均降水量を1700mmだとすると屋久島の麓で約4000mm、山岳部では8000mm~10000mmにもなります。時には嵐のような大雨が降ることも珍しいことではありません。
その為、雨が降ることが前提、晴れればラッキー、旅行計画が予定通り行かないことも頭に入れておいたほうが良いです。
短い時間であれば雨に打たれるのも一興なのですが(一生に一度は雨に打たれることをおすすめします。意外と気持ちよくなっていったりします・・・笑)、縄文杉トレッキングの場合は時間が長すぎる為、雨の中歩き続けることが楽しいより辛いことなりまるで修行のようになってしまいます。
その為、悪天候が予想される場合には潔くあきらめるか、コースを変更するか、日程を変更することをおすすめします。
よく山の言葉では「あきらめる勇気が必要」と言われますが、山は100%安全ではありません。もちろん多くの方は大抵、大丈夫なのですが、毎年ケガや亡くなる方がいるのも事実です。
宣伝になりますが、屋久島自然学校では貸切ツアーの為、悪天候の際にはコースや日程の変更など柔軟に対応させていただいております。
4:分かっちゃいるけどできない体力づくり
縄文杉トレッキングの旅行計画が決定したら、ぜひとも体力づくりに励んでください。
体力に余裕があればそれだけ山登りも楽しむことができます。
女性の人は股関節が痛くなる方が多く、普段の運動不足から来るようです。
ストレッチやウォーキング・ランニングなどをおすすめいたします。
また、下りでは膝が痛くなる方も多いですので普段の生活では階段の上りだけでなく下りも積極的に利用してください。
登山は上りよりも下りの方が足に負担がかかり大変だったりもします。
膝がカクカクと笑うことになりますよ。
最後に気をつけたいのは登山の最低一週間前には過度なトレーニングをしないてください。
体力づくりを頑張りすぎて本番に支障をきたすこともあります。
5:服装・装備を整えよう
普段の生活とは異なる山登りを楽しむ場合には、それなりの装備が必要です。
トレッキングシューズとレインウェアはマストアイテム。
若者はスニーカーなどで歩いているのを見かけたりもしますが(晴天の日はそれでも大丈夫だったりもしますが)、ソールが滑りやすく、転倒・けがをするリスクが高くなります。
また、雨や泥などで汚れたりもしますので山登りの時と観光・移動の時のシューズは別に考えたほうが良いです。
もちろん、普段から山登りをさせているかたは履きなれた登山靴でOKです。ただし、数年以上経ったトレッキングシューズは加水分解でソールが剥がれることがありますので事前に必ず確認しましょう。
次にレインウェアですが、屋久島はいわゆるゲリラ豪雨のような雨が降ることは珍しくはなく、場合によってはレインウェアの良し悪しで命にもかかわってきます。
数百円のビニールカッパはまったく役に立ちませんので注意してください。(すぐに破れて、透湿性もないので蒸し暑く、雨に濡れなくても汗でびっしょりに濡れてしまいます。)
目安としては上下に分かれた一万円以上のレンインウェアが好ましいです。今後も山登りをするのであれば高価ですが、ゴアテックス製のものが良いです。よく分からない方は近くの登山用品の店員さんに聞いて購入されるのが良いでしょう。
トレッキングシューズにしてもレンインウェアもしっかりとした物は高価ですので、もし今後も登山をする可能性が少ないのであればレンタルすることをおすすめいたします。
縄文杉近くの東屋と避難小屋は小さいので中に入れるとは限りません。
6:いざ本番。歩くペースはほどほどに。
さて、本番を迎えて気持ちも高まっているでしょう。若い方なら思わず走り出したくなるかもしれません。
しかし、はやる気持ちを抑えてゆっくりと歩いていきましょう!
話しながら無理なく歩いて行けるペースが良いとされています。
「ぜーぜーはーはー」と息を吐くペースでは長続きはしません。
疲れていないと感じても40~50分歩いたら5分~10分の休憩をとりましょう。
40~50分歩いていないのに疲れてしまう場合には、ペースが速すぎるかもしれません。
水分補給とエネルギー補給、当たり前だと思われるかもしれませんが出来ていない人が意外と多いです。
喉が渇く前にこまめに少しづつ飲むのがポイントです。たくさん飲んでも一気に体には吸収されません。
特に女性の場合、トイレを気にして水分をとらない人がいますが絶対にやめてください。
トイレはどうにかなりますが体調を壊した場合にはなかなか元にはもどりません。
次に食べ物もこまめに食べるのがポイントです。
よくある失敗が「縄文杉を見てから食べよう!」と思っていると縄文杉にたどり着くころには疲れすぎてしまい、食欲がない→あまり食べることができない→元気が出ない→集中力が落ちる→転んでけがをする。負のスパイラルに陥ってしまうこともあります。
目安として2時間おきにはエネルギー補給をしましょう。私は大体2時間おきにおにぎり一個またはアンパン一個などを食べています。その分、お昼ご飯は腹7分ぐらいに抑えています。
「お昼ご飯は12時だ~」の固定概念は捨ててください。
ちなみに行動食は楽しみの一つなので飽きないように甘いものだけでなく、(熱中症対策なども含めて)塩分のあるものなどバラエティー豊かに用意するのが良いです。
また、万が一遭難やその日下山できなかった場合のことも考えて多めに用意してください。
8:天候・体調を見て、無理をしないで
最後に縄文杉に絶対にたどり着きたいという気持ちがあるかと思いますが、悪天候、体調不良、体力が足りなかったときには潔くあきらめてください。
縄文杉が逃げることはありません。気持ちがあればまた機会は訪れます。
「あきらめる勇気が必要」「帰るまでが遠足」と言われるように、無事生きて帰ることが一番大切です。
ちなみに体力不足の見極めるポイントはウィルソン株上の急登(通称地獄の三丁目と呼ばれています)です。この急登に苦労される方は、残念ながらあきらめていただいたほうが良いかもしれません。
不安になるようなことも述べてきましたが、しっかりと準備を整えたらあとは憧れの縄文杉に会いに行くだけです。
皆様に良き縄文杉トレッキングを! 屋久島自然学校の縄文杉トレッキングはこちら。