40代の終わりころのことだった。
俺が一番嫌だったのは、
ゴキブリの卵だった。
どんなにゴキブリを退治しても、ダメだ。
卵があれば、
そこから15匹くらいの
ゴキブリが誕生するわけだ。
だから、押入れの中や、
台所の隅に目を光らせ、
卵がないかどうか、
探したもんだった。
だが、それを見つけただけではダメだ。
空っぽの場合も、多いからだ。
それは穴が開いているのでわかる。
抜け殻だ。
ところで、知らない人のために、
ゴキブリの卵を紹介しよう。
(正確には、黒ゴキブリだ)
長さ1.5センチくらいで、
幅は3ミリくらいだ。
色はチョコレート色をしている。
生きている卵は、潰すと、ジュースが出てくる。
ところで、俺はゴキブリの卵を見つけたとき、
もし、それが抜け殻でなければ、
ガスの火であぶって、殺したもんだった。
ある日のことだった。
卵を火であぶっていると、
なんとも言えない香ばしい匂いがしてきた!
グルメの高級魚のような匂いだ。
俺は鼻を近づけて、
その匂いを詳細に嗅いだ。
匂いを嗅ぐと、
とてもおいそうだ。
俺は意を決した。
恐る恐る口に含んでみた。
そして驚いた!
メチャ、うまい!!!
スズメバチの幼虫は美味しいというが、
それは食ったことがない。
でもゴキブリの卵が、
こんなにうまいとは思わなかった。
・・・・などと思っていると、
先日、ある本に書いてあった。
ある民族は、
ゴキブリの卵を珍味として、食べているという。
俺は、これだ!と思った。
世界は広い!
俺以外に、ゴキブリの卵の味を知っている民族がいたんだ!!
また、その本には、
一部イギリス人もアメリカ人も、
ゴキブリを食べると・・・書いてあった。
実際、俺は、アメリカの雑誌(1996年ごろの雑誌)で、
黒ゴキブリを食べるアメリカ人を写真で見た。
そこは黒ゴキブリを食わせるレストランだった。
(ロサンジェルスのレストランだ)
またベトナムなど東南アジアでは、
漢方薬として食されているとか。
今、目の前に、ゴキブリの卵があれば、
俺は食うだろうか?
おちろん、YES!
あぶって食うと、
ゴッツ、おいしいで!
俺のような人間、
無人島に行っても、
間違いなく、生き延びるだろうな、ハハハハハ。
人生は楽しいのぉ!
先入観を破ったとき、
本当の幸福に、出会えるってこっちゃ!
今、人生で悩み、自殺を考えている人よ!
どうせなら、
黒ゴキブリの卵を食ってから、
死のうじゃないか!
ハハハハ!