新横綱の鶴竜は
珍しい相撲経歴だ。
普通、横綱というと、
十両あたりから、「予感」があるものだ。
「この力士は、横綱になれるかもしれないな」って。
たとえば、大鵬、北の湖、朝青龍、貴乃花・・・などは、
予感があった。
またたとえ予感はなくても、
「ああ、この力士は、強いな。大関くらいなら、なれるかもしれない」
というのが、ほぼ必ずある。
あまりなかったのが、
三重ノ海だったが、
だが彼も、自分の型を見つけてからは、
強かった。
しかし、鶴竜は、
そういうものが、全く見当たらなかった。
まず角界に入ったときの体重は、65キロだ。
あまりにも平凡だ!
一度、入門を断られているが、
「せひ相撲を取りたい」という手紙を関係者に書いて、
やっと認められている。
入門したものの、
序二段、三段目、幕下などで、
何度も負け越している。
十両に入っても、負け越して、
一度、幕下に落ちている。
何とか幕内に入っても、
「エレベーター」であり、
番付が上になると、
何度も大敗している。
それでも何とか、大関になった。
しかし、典型的な「96(クンロク)大関」で、
成績は全くパッとしなかった。
ところが、今年(2014年)になって、
急に2場所、14-1の成績を残した。
これまで、幕内優勝は1回だけ。
しかも!
十両以下でも、三段目のとき、一度優勝しただけなんだ。
そして、なんとも驚くべきことに、
金星は、一個も残していないのだ!
あれほど、長く前頭にいたのに!(笑)
さらに!
現役の横綱・大関陣の中で、
対戦成績で勝ち越している相手が一人もいないのだ!
こんな横綱、
かつて存在しなかったと思う。
まさに努力の人だ。
鶴竜の実家は、
父親が大学教授だという。
性格はすごくマジメで、
研究熱心だという。
また、かなり謙虚な男らしい。
鶴竜の相撲人生を見ると、
「誰でも、横綱になろうと思えばなれるかもしれない」
と思わせる。
心の根っこに、
強烈なハングリー精神があるんだろうな。
大地一人、彼は、本当に偉いと思う。