先日、右腕の筋肉痛になった。
原因は分かっている。
過度な加重を、右手に与えてしまったんだ。
少しでも動かすと、痛かった。
それで、なるべく右腕は動かさないようにした。
左手だけで家事をするのは、大変だった。
コーヒーのビンのフタ。
フタをアゴで挟み開けた。
ジャケットを着るのも、大変。
まず右腕を袖に通す。
次に、自由な左手を使い、着るのだが、
ファスナーの部分は、やはり右手を使わざるを得なかった。
そんなことをしながら、
ヒット大地は、長嶋茂雄のことを思った。
長嶋の片手は麻痺して、使えないと言われる。
日常生活は、やはり、誰かが手伝っているのだろう。
金持ちなので、お手伝いさんだろうな。
そうでないと、皿を洗うのだって、
野菜を切るのだって、難しい。
特に難しいのが、ネクタイだ。
これは、絶対に誰かにしてもらっているのだろう。
そのうちヒット大地は、小便がしたくなった。
ブリーフから、左手で、
キンタマを取り出そうとした。
案外と難しかった。
まごまごしていると、
刺激で、どんどん大きくなり、
ますます難しくなった。
ふと思った。
長島の家事は、誰かが手伝える。
しかしキンタマだけは、間違いなく、
自分一人で、悪戦苦闘しながら、取り出しているはずだ。
しかし世の中には、両手、両足の不自由の人もいる。
たとえば、先天性四肢切断の乙武洋匡だ。
彼は言う。
「障害は不便です。しかし不幸ではありません」
なかなか言えない立派な言葉だ。
だが彼は全面的に、誰かの世話になっているはずだ。
でないと、大便も小便もできない。
乙武のような人は、自然と、他人に感謝の念も沸いてくるだろう。
しかし、ちょっと待てよ!
俺たちだって、生きていることに感謝せねばならない。
なぜなら、人間、皆、神様に生かされているからだ。
だが俺たちは、神を見ることができないので、
感謝する人は、意外に少ない。
実に愚かなことだ。
おかげさまで、筋肉痛は数日で治った。
筋肉痛のおかげで、
長島や乙武のションベンの苦労もわかった。
神様は、愚かな俺たちに不幸を与え、
その代わり、いろいろなことを教えてくれる。
キンタマの取り出し方だって、大分うまくなった。
ヒット大地は、筋肉痛になって良かったと思った。