ウィリアムのいたずらの、まちあるき、たべあるき

ウィリアムのいたずらが、街歩き、食べ物、音楽等の個人的見解を主に書くブログです(たま~にコンピューター関係も)

パッケージソフトは、コストが高いのよ。ダウンロードにしてもコスト0じゃないのよ!!

2006-08-24 13:16:53 | Weblog

ウサギと亀の共通項が見えますか? 「特殊への執着」が日本のソフトを弱くする
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITzv000018082006

について、批判されているようだが、その批判はさておき、いくらなんでも、これは・・・
と思う言葉がある。今回は、そこを問題にしたい。

それは
(以下、斜体は上記IT+PLUSの記事より引用)


ソフトウエア製品の複製は材料費と手間費と流通費がほとんどかかりません。普遍性が高く適用範囲の広いソフトウエアがあれば、膨大な利益を手にすることが可能です。


これが、真っ赤なうそだっていうことは誰でも知ってるだろう。
もし、本当ならLinuxのディストリビューターは、大もうけだ。
なのにLaser5はTurboと合併したし、そのTurboはSRA→ライブドアと転々としたうえ、株価泣かず飛ばず。。この状況を説明できない。




 本当のことを書こうよ!!
 みんな、業界の人には、ばれてるんだからさあ。

 パッケージソフトで、流通が2000円以下で抑えるのは、実は大変なのだ。
 製品をだすとき、正規流通ルート(ソフトバンクやWaveに流すケース)は6掛け程度
 になる。じゃなきゃ、秋葉原は赤字だ。
 つまり、2000*0.6=1200円程度になる。

 CDは1枚50円前後(最近はもっと安くなってるかも。。)
 これは、何万枚って焼くケース。つまり、CDを2枚組みにしたらここで、100円。

 キャラメル箱やプラスチックケース(Pケース)、これ自体は、やすい。
 しかし、セットといって、このキャラメル箱やPケースに入れるのにお金がかかるのだ。
 安くて1個100円(=かなりやすい)

 マニュアルその他紙類。
 これは、大量にすれば、輪転をまわせるので、安くなるが、輪転をまわすには
1万枚以上すらないと普通は無理。枚葉(1枚1枚する方式)印刷機は、結構高い。
 かりに50円に抑えたとしよう。
 このほか、細かい部分がいろいろあり(保管費その他)1個あたり50円として
 直接費だけでも、1個300円もかかってしまう。これは、ものすごーく安いほうなのだ。。

 のこり1個あたり900円しかない。
 900円を1万個売っても、900万円だ。
 このうち、デザイン制作費に100万はかかる。これにはデザイナー費用だけでなく、CDの原版作成費用(1枚6、7万かかる)などの間接費も含めてだ。
 さらに、宣伝広告費、これはイクラでもかけられるけど、まあ、最低ラインで、200万?
(チラシ+営業マンのドサマワリ+展示会出展などなど)

 ということで、900-100-200=600万だ。

 600万円で、開発+サポート+広報+営業ぜんぶやるわけえ??
 600万って、人やとえないよ。
 だって、1人雇うのに、給料+社会保険費+会社側が払う社会保険費+その人の什器そのた電気代+部屋代+。。。ってかかるのよ。なので、300万くらいの給料すら、はらえないのよ。600万では。。。




 つまり、1万本程度では、自分ひとりでサポートから何から何までやらなきゃいけないんだけど、日本のエンジニアに、サポートからキャラメル箱の知識からCD出荷の知識から営業の知識から広報の知識をもって実践し、そのうえ、開発する人なんて、いないのよ(たぶんアメリカにも)
 なので、1万本(以下)で、5千円以上のソフトを売るか、10万本以上売れるソフトを売るか、どっちか。。

 前者の場合は、本数が少なくても成立つ戦略を取るので、国際的な戦略はとれない(とらない)。後者の場合は、会社を興すときに莫大な資金が居る。なので、その資金を提供してくれる人がいないと、国際的に広げることは難しい。

 これが、国際的なソフトウエアが出ない理由。一言で言うと、儲からないから。




 なお、これを、ダウンロードにすれば?と思うかもしれないけど、そんなに思うほど儲からない。というのは、ダウンロードにする場合、大量に売るには、それをダウンロードできるだけのサーバーをおかなきゃいけないわけで、そうすると、やっぱお金がかかる。

 それと、今回は計算からはずしてるけど、逆に固定費から考えると、開発+サポート+広報+営業の人件費はおそろしく高い。とくに、ダウンロードの場合、流通を使わないので、その分、広報や営業にお金がかかる。

 それこそ、乙部綾子さんでも引き抜かない限り、ここにかかる費用は大きいのだ。。

 なんで、ダウンロードにしても、もうからない。




それと、多くのベンチャーが引っかかる

普遍性が高く適用範囲の広いソフトウエアがあれば、膨大な利益を手にすることが可能です。


 そうなりません。むしろ、赤字になるリスクが大きくなります。
 なぜかというと広報・営業費用、サポート費用は準固定費*なので、
 売れれば売れるほど、大きくなっていきます
 ただ、直接費ではないので、製品に比例するわけではありません。
 そこで、

    広報・営業費用、サポート費用上昇率<売上上昇率

 にすれば、儲かりますが、たいていは

   広報・営業費用、サポート費用上昇率>売上上昇率

 となってしまいます。
 これは、市場が飽和してきたり、競合が出てくるため、広告費用が余計に必要になるのと、売上を伸ばそうとすればするほど、クレイマーを引き当てる割合が増大し、クレーマーが増えると、サポート部隊がボロボロになり、サポート調達コストが急激に増えるためです。


 なので、ある程度専門性の高いもので、サポートしなくってもOKな人たちに、次々とソフトとそこで使う”消耗品”を売っていけば、お金は儲かります。こういうビジネス、実はある(東証1部にまで、数社上場してる)。




なお

 その利益の一部をまたソフトウエアのバージョンアップに使うことでますます汎用性と使い勝手がよくなり、ますます市場での人気が高まります。


 バージョンアップは、そのために行うのではないんです。実は。。
 もし、この意見が正しいなら、利益回収後にバージョンアップを行うことになりますが、実際のバージョンアップは、すぐに計画されます。そうしないと、困ることがおきます。これは日本のパッケージソフトの流通制度と、会計処理と結びつきますが、あんまり書くと、やばいので、このへんでやめておきます。


*準固定費 固定費のように、販売個数にかかわらず、値段が上がらないというわけではないが、直接費のように1個ごとにイクラというものでもないもの。ある一定量まであがると、急にこんだけかかるなどというもの。例えば、掃除の費用など(人1人きたら、5分掃除。。っていうのもへん。でも、お客さんがある程度一杯来たら掃除しないと。。)
 これによる原価計算を行う場合は、多桁式をもちいる(日商だと1級でないと、やんないと思う) 

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