学年だより「王道」
日高大介氏は、静岡県立浜松北高校2年生のとき「全国高校生クイズ選手権」に出場し、テレビデビューを果たすと、以来数々のクイズ番組で優勝し「クイズ王」の名をほしいままにした。現在は、クイズ作家として「Qさま」「高校生クイズ」など、様々な番組の問題作成にあたっている。
日高氏が、本気でクイズの道を歩み始めたのは中学校2年の時だった。
力をつけるにはどうすればいいか。試行錯誤を重ねる過程で、こんな言葉に出会った。
「クイズの実力はこなした問題の数に比例する」
「第13回ウルトラクイズ選手権優勝者」長戸勇人さんが書いた『クイズは想像力』という本に載っていた言葉だ。
~ 当時の僕は、クイズ王がいうのだから間違いないとばかりに、とにかく「クイズの問題集を手に入れる」「クイズの問題に繰り返し接する」「わからない問題・間違えた問題にはバツ印のチェックを入れる」「バツ印のついた問題のみを大学ノートに抜き出す」「大学ノートに書かれた問題を繰り返し覚える」という行程を、繰り返しました。 ~
賢明なみなさんなら、このクイズ対策が、勉強のやり方としての「王道」であることにも気づくだろう。この方法でいこうと心を決めて勉強を始めた日高氏も、最初のうちは辛く感じた。
なにせ、知らない単語が多い。中学2年生が大人用のクイズ問題集を繙くのだから、しかたない。
ほとんど全ての問にバツをつけなければならないページもある。
しかもそれをノートに書き写す作業は、さすがの日高氏でも嫌になる日はあったという。
~ ところが、光は案外早く見えはじめました。勉強開始から約一カ月が経ったとき、その時点でこなした問題集は二冊ほど、大学ノートは半分ほどが埋まっているような状態。毎週日曜日に録画しながら見ていた『アタック25』で、あるとき、大学ノートに写した問題が立てつづけに出た回があったのです。まだ反復練習をしていないので、バシバシ正解できた! とまではなりませんでしたが、クイズの勉強を始める前には「聞いたことがない」知識が、たしかにいまの自分には「確実に聞いたことがある」知識になっている。これが大きな起爆剤となりました。
勉強に飽きて、作業が面倒くさくなってきた自分を律する「秘策」が、まさにこの瞬間に生まれたのです。それは「勉強によって知識を吸収する」ことと「実践によって知識を放出する」ことの割合を、大体8:2くらいにすること。具体的にいえば、問題集の読み込みをしながら、その合間に必ず『アタック25』で実践練習をする(一週間に一度はその機会が確実に訪れます)。そうすることで、自分の進んでいる道が正しいのかを確かめる。これが、そのころの僕がとった方法でした。 (日高大介『クイズ王の「超効率」勉強法』PHP新書) ~
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のちにクイズ王となる日高少年のえらいところは、こうして自分が蓄えた知識を、実践を通して定着させていったことだ。