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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

容れ物(3)

2015年09月29日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「容れ物(3)」

 

 日本には会社がいくつぐらいあるかイメージがわく人はいるだろうか。
 こう書いておきながら自分も答えられないので調べてみると、一般的な「会社」の意味で用いられる法人企業の数は、およそ170万社にのぼるそうだ。
 みなさんはそのうちいくつの会社名を言えるだろう。せいぜい何十社ではないか。
 また、職業自体の数は2万種とも3万種とも言われるが、そのうちのいくつを羅列することができるだろう。がんばっても百の大台にのせるのは難しいのではないか。
 それは大人も同じだ。世の中で幅広く活躍しているような人でも、ありとあらゆる職種を知っているわけでないし、まして体験していることはあり得ない。
 われわれ教員も、みなさんの親御さんも、その知識はかぎられているし、情報は古くなっている。
 知っている会社が数十社、知っている仕事は数十種という状態で、数年後には就職活動をすることになる。
 自分の知識の範囲内で仕事を選ぼうとしたら、行き詰まるのは目に見えている。
 まして現状の過小な知識量に基づいて大学や学部を選ぼうとするなど、無意味としか言えない。
 「わかりました! まず仕事や会社についてのもっと調べてみます」と考えたかもしれない。
 それは一つの方法ではある。ただし、全てを知り尽くすことはできない。
 紙やネットの情報で知識だけを増やしたところで、表面的な理解でしかない。
 今すべきことは、職業を調べることではなく(もちろん調べること自体はいい)、どんな仕事に就いても力を発揮できる人間になろうとすることだ。
 そのためには、自分の体力、知力を根本的に高めていく必要がある。
 人としての容れ物が大きい人には、自然とそれに見合った役割が与えられるものだからだ。


 ~ よく天職が見つからないと言う人がいますが、何か特別なものを探そうとしている時点でダメだと思う。まずは「自分の内部の声に耳を澄ませよ」って言いたい。そこから見えてくるよと。そして見えてきたことに対して、とことんバカになって入れ上げて欲しい。別に仕事でなくてもいい、異性でも麻雀(マージャン)でも何でも。
 人が入れ上げたものというのは、生涯の中で必ず報われます。その時は何かのためにやっていたわけでなくても、一生懸命打ち込んだことで報われないものはない。実際、僕は高校時代に入れ上げたものがいろいろ生きています。
 例えば音楽。ビートルズが大好きで受験勉強もそっちのけでのめり込んでいました。歌詞を丸暗記したり、訳したり、東京のファンクラブと交信したり。本当に夢中だった。それはその場では生きてこない。でも、あれだけビートルズに入れ上げた時間や思い入れが僕の体の中に宿っているから、音楽の素養がなくても、日本のそうそうたるミュージシャンたちと対等な関係を築けたわけです。
   … だから何でもいい、何かに入れ上げ、熱中して欲しい。壁にぶつかっても、逃げずにもがき悩み抜け。それがどれだけ大事なことかを思い知る時は必ず訪れます。 (見城徹「七転八倒こそ 仕事の正しい姿勢だ」朝日新聞) ~

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