水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

切り替え力(3)

2022年06月27日 | 学年だよりなど
2学年だより「切り替え力(3)」




 あたりまえのことかもしれないが、先を見通す力は大事だなと、合格体験談を聞きながら感じていた。「いつごろ、こうなっていたい自分」というイメージを、どの先輩も持っていたからだ。
 それは決して確固たるものでなくていい、大学でこんな勉強をしたい、こんな生活をしてみたい、彼女がほしい……といったイメージだ(最後の項目については苦労しているようだったが)。
 先々のイメージがあるから、今やることが決まる。
 先々のイメージをもって初めて、今の自分の課題も見えてくる。
 今の自分では将来もこんなものかな……というような、謙虚を装った逃げはいらない。
 なんとかなるかもしれないという、根拠なき自信だ。
 根拠なき自信を抱き、それを証明するために努力をする。
 やりはじめることで、気づいてなかった自分の可能性にも気がつく。
 前号で紹介した西山先輩は、高校2年の春に東大野球部と練習試合を行う機会があった。
 試合後、東大監督である浜田一志先生の、「東大に合格するのは天才ばかりではない、むしろそういう学生は一握りだ」というお話を聞く。
 「自分も努力すれば可能性はあるのか……」という思いが芽生える。
 やってみようか……。そして、睡眠時間だけは絶対にけずらないようにし、時間配分を再度見直し、取り組むようになった。




~ 「もし野球部を辞めて受験で落ちたとき、全部自分の責任になっちゃうので。僕は10分サボったことも気にしちゃうタイプです。全部の時間を勉強にささげるのは、結構難しいと思っていました。身体的には二つやっていると辛くて、一つのほうが楽かもしれないけど、精神面では一つしかないのは結構きついなと思います。それを失ったとき、何もなくなっちゃうので」
 西山は自身を「悲観主義」と捉えている。「サボったら、全部自分のせい」と考える傾向があり、逆に野球を続けることで勉強に手を抜けない環境をつくり出した。時間を区切った中で自分自身をうまくコントロールし、目標の東大合格という山を登り切った。
「川越東じゃなければ、こんなに勉強しなかったと思います」 (中島大輔「REAL SPORTS」4月4日版)  ~




 野球部がどれくらい練習に時間を割いているかは、みなさんの方が知っているだろう。
 試験前には集まって勉強していることも。土曜日に来てくれた先輩たちも同じだ。
 周りには、辛い、苦しい、面倒だと言いながら、あきらめようとしない仲間達がいた。
 受験は「自分で工夫し、自分でどれだけやれるかを確かめるイベント」(by西川凜太朗先輩)とは、なんと的を射た言葉だろう。
 そして、自分ひとりでやらないといけないことを、仲間と支え合えながらやれるのはなんと幸せなことだろう。
 さあ、やろう。

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