ブリヂストン吹奏楽団久留米の結成60周年記念コンサート。
東京芸術劇場でのこの会は、ツテがないとチケットを手に入れられないが、星野高校なかじま先生という強力なツテのおかげで、本校部員11名とともに聴きに行くことができた。
オープニングはトランペットパートによる「東京オリンピックファンファーレ」。スクリーンに映しだされた団の紹介に続いての一部クラシックステージは、1曲目にモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。オーケストラとはまた違った実にふくよかな音色でゆったり演奏される。続いて「ローマの祭り」全曲。一転してパワフルな演奏となり、終わったときは、もうあとはアンコールして終わりでいいんじゃないかと感じるぐらい中身が濃い。
二部はマーチング。クイーンのメドレーで、高校時代に慣れ親しんだ曲ばかりだが、いまの高校生たちは知ってるのだろうか。知らなくてもいいか。ディープパープルメドレーが、あんなに人気があるのだから、クイーンも楽しむだろう。ステージで吹きまくり、軽快に動く姿を見ながら、身近な存在で言うと、慶應志木さんや日大豊山さんが同じ方向性だなと思って、最初から感じていた違和感の中身がわかった。
ステージ場に男性しかいないのだ。なかじま先生に確認したら、団員は男ばかりだという。女性のプレーヤーが一人もいないバンドを、男子校以外で見ることはない。まして大人のバンドで。そうだったのか。
そして、彼らの男らしさは、二部から三部への舞台転換でもまざまざと見せつけられる。
ステージドリルが終わる。山台でボックスにセットされていた打楽器群が軽々とはけていくと同時に、新たな山台が組まれ始め、イスと譜面台が再びセットされる。いつのまにかドラムスが2セット最上段に乗っている … 。 幕間にひな壇までセットし直す演奏会は初めて見たし、それが数分で完了し、そのあと着替えとチューニングもして普通に三部がはじまるのに驚く。
本校も一部から二部への転換では着替えや化粧で時間を押してしまうが、まだまだだ。
三部は楽しいポップスステージ。「ブラジル」ではサンバダンサーが出てきて踊る、「アランフェス」のフリューゲルソロはとろけそう。「日本の唱歌メドレー」は、まったく予想していないアレンジながら、それでいてコードネームがはっきりわかるような色合いあざやかな演奏。
最後のジャズは指揮の富田先生もドラムにまわってツインドラムでのパワフルな演奏。ここまでくると、ひょっとして「ローマの祭り」はウォーミングアップだったのかと思えるほど、みなさん吹きまくっている。
「男祭り」のお手本がここにあるのではないか。聞きしに勝るとは、まさにこのことだった。
アンコールの「東京オリンピックマーチ」は、なるほどこうしてオープニングとあわせたのかと納得する。
どんだけ営業にまわっているのだろうと思うしかない司会の方も含め、吹奏楽という形態における一つの頂点を堪能できてよかった。