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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

選択(2)

2016年10月18日 | 学年だよりなど

 

  学年だより 選択(2)


 大学生の就職活動がリアルに描かれている映画『何者』を観ながら、みなさんが一年後に迎える大学入試と重なる話が実に多いと感じた。


 ~ 就活がつらいものだと言われる理由は、ふたつあるように思う。ひとつはもちろん、試験に落ち続けること。単純に、誰かから拒絶される体験を何度も繰り返すというのは、つらい。そしてもうひとつは、そんなにたいしたものではない自分を、たいしたもののように話し続けなくてはならないことだ。 (朝井リョウ『何者』新潮文庫) ~


 来年の今頃、AOや推薦入試の受験に向けて、志望理由書、自己推薦書を書いている人もいることだろう。そして、ふと立ち止まる。自分は「何者」なのだろうと。しかし、与えられた行数を埋めなければならないので、懸命に自分のしてきたことをふりかえり、ちょっとしたことを、大きな経験をしたかのように書いていかなければならない(コツは来年教えます)。
 もうひとつは、「自分のやりたいこと」なるものが、現実の社会を前にしたときに、その存在があまりに脆いことがあからさまになることだ。
 こんな仕事につきたい、こんな業界に入りたい、この会社に入りたい … という思いは学生それぞれにある。
 しかし現実には、エントリーシートを書いて、筆記試験を受けて、面接の連絡をもらって、という一連の流れのなかで、たまたま内定をもらった会社に就職することになる。
 自分の希望がどうあれ、内定をもらえないことには、その会社ではたらくことはできない。
 希望にこだわって就活していると、面接にさえ進めないという事態も普通にある。
 文系の人は、高校2年の現時点で漠然と希望している職種や企業がかりにあったとしても、四年後、五年後にその望みがかなう例は、ほとんどないのが現実だと思っていた方がよい。
 希望に近づきたいという思いがあるなら、結局いつも話している身も蓋もない話になるが、少しでも入るのが難しい大学に入った方がいい。
 そしてそれ以上に大事なのが、就職活動に臨むまでに、何をしてすごしたかだ。
 『何者』の登場人物たちが通う大学は、都内の有名私立大学がモデルになっている。作者朝井リョウ氏の母校早稲田大学のイメージもあるし、キャンパスの設定で最も近いのは青山学院大学だろうか。ともに「入るのが難しい大学」ではあるが、その肩書きで内定がもらえるほど甘くないことは映画(小説)からもわかるし、それが現実だ。
 どんな人間なのか、何をしてきたか――大学に入って2年や3年で、実質的な何かを生み出せるものではないが、何ごとかをなそうとして生活していたかどうかが、その人の人間性に表れる。
 だからこそ、職業よりも自分にあった大学、学部・学科選びの方が大切なのだ。

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選択

2016年10月18日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「選択」


~ 男は人生に疲れていた。
 人生にみじめさを感じていた。
 今日という日が自分の誕生日であることを
 この世の中のだれも知らないという
 むなしさを味わっていた。

 そして、この誕生日に
 バースデーケーキのひとつも買えず、
 満足な食事にもありつけない、
 自分の人生を悲観していた。

 あと数分で自分の誕生日が
 すぎようとしたとき、男は考えた。
「せめて、ロウソクに火を灯し、
 自分の誕生日を祝ってやろう」

 男は、白いお皿の上に
 ロウソクを自分の年の数だけ並べていった。
 その後、男は疲れと空腹の中、
 深い眠りに落ち、不思議な夢を見た。
 男の前にロウソクに火をつけてくれる人が
 次々と現れて、男に話しかける夢だ。

 誕生日、おめでとう。
 私も何も買えない貧乏暮らしです。
 でも、このノートに書いた詩と曲で、
 世界一のバンドになってみせます
 ――ポール・マッカートニー

  お誕生日、おめでとう。
 私も生活保護を受け、苦しい毎日です。
 でも、この「ハリー・ポッター」という
 小説で、必ずベストセラー作家になります
 ――J・K・ローリング

 お誕生日、おめでとう。
 私も今はポケットにわずか37ドルしか
 入っていないわ。
 でも大丈夫。
 私は世界ナンバーワンのシンガーになるから
 ――マドンナ

 誕生日、おめでとう。
 俺も生活費がなく、大事なペットも
 手放したよ。
 俺もひとりばっちさ。
 でもきっと自分の映画で
 ハリウッドスターになってやるさ
 ――シルベスター・スタローン

 男は目を覚ますと、心に誓った。

「私の人生に必要なものは、
 お金ではなく夢なんだ。
 私は本当になりたい自分になろう」と。

 ロウソクの代わりに
 男のハートに情熱の炎が灯されていた。

「Happy Birthday!」

 あなたはひとりではない。
 あなたの人生は祝福されている。

(是久昌信『夢をかなえた38人の物語。断言する。情熱で人生は変えられる。』中経の文庫) ~


 現状でベストな選択をしても、それに伴う努力を怠った場合、期待された成果は生まれない。
 確信のない選択であっても、成功するまでやり続けたなら、それは正しい選択だったことになる。
 16番考えてみましたか?

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