二回目の学校説明会、からの個別相談会。
たくさんの中学生が保護者の方とともに来校してくださるのを見て、そのことだけでもこの生徒さんは恵まれたお子さんなのだと思う。
仕事が忙しくて一緒に行けないという親御さんだっているだろうし、そもそも私立なんか行けっこないだろという方もある。お金は出すけど勝手にしなさいというご家庭もあるかもしれない。
だいたい自分のころ、説明会なんてなかった。ま、成績の輪切りで行く高校が決まってて選びようのない田舎の、しかも何十年も前の話と比べてもしょうがないことではあるが。
高校に行かせてもらえることに感謝の思いはあったと思う。だからといって、その気持ちに見合う努力をしたとは口が裂けても言えないけど、幼いころから大工の父の現場に出入りし、「身体が資本」の生活であることは実感していたから、お金はどこからかわいてくるものではないことは感じていた。いや、からだを動かして、お金を稼いで、その結果として家族がおまんま食っていくという感覚が普通だったからだろう。
自分は口先で稼ぐ人間になってしまったが、忘れてはいけないと思う。
~ 「どんな子であれ、親がすべきは一つよ。人生は生きる価値があるってことを、自分の人生をもって教えるだけ」 (森絵都『みかづき』集英社) ~