センター試験に代わる新入試は、「複数回実施、到達度方式、暗記より理解重視、1点刻みの評価はしない」という考え方に沿って実施化が検討されている。
大きな目玉である「複数回実施」は、「一回こっきりの試験で人生が決まるのは残酷だ」という声に応じた改革として生まれた案だ。
主旨はわからないでもないが、実際に複数回やれるのか。
何回分も問題は作れるのか、3年の一学期、二学期にも実施されるなら行事はどうなるとか、一現場教員としては突っ込みどころ満載の企画に見えた。
それでも、優秀なお役人さん、大学の先生のことだから、きっとすばらしい方法を考えてくださるに違いないと確信していた(少しうそ)。
今朝の新聞報道にこうある。
センター後継テスト、国立大の68%「複数回は厳しい」
おいおーい。大学側の意向とか全く聞いてない状態で、変えることだけ宣言したのでしょうか。
「新しいテストは必要ない」と考える大学の方が過半数というアンケート結果も記されている。
やっぱりね。
客観的にみれば、現在のセンター試験でさえ、大学の先生方は一杯一杯なのだ。
問題作成、答案の管理、会場の設置、試験監督 … 。
たくさんの先生方が神経をすり減らして、それでも毎年いろんなミスが起こる。
これだけの規模の試験であれば、ミスは少ないといえるかもしれない。
それを年に何回も実施って … 。
最初にこの入試改革の報道を見た大学の先生のなかには、クレイジーと叫んで新聞を破り捨てる方や、こんな雑務と研究の両立はできるわけないと居酒屋でくだをまく方や、茫然と空を見上げる方などいらっしゃったのではなかろうか。
大体、「一回の試験で決まるのがよくない」から、「試験を複数回行う」 … って、頭使ってるのかな。
「地球温暖化について書きなさい」という小論文課題で「温暖化させないようにするのが大切だ」と書いてもってくる生徒さんがいたなら、「もう少し頭使おうよ」と添削してかえすだろう。
センター試験一回の結果で、そしてその後入学できるのがどこの大学かで人生が決まるのが問題なのではないか。
大変な手間とお金をかけて回数を増やすことが、本質的な部分の解決につながるとは、とても思えない。
試験日程が前倒し化することで、部活にだって影響が出るのは間違いない。
三年になるときに「やめちゃおうかな」と考える高校生は増加するだろう。
勉強との両立は大変なのはわかってるけど、それを乗り切ろうとがんばることで人は成長する、その結果として「世のため人のために」なる若者が育つと信じる(信じなければやってけないよね)私達の思いを逆なでされるようなお上の方針である。