昨日のロングホームルームは、1・2年生合同での交通安全指導の時間だった。
そこでDVDを観たのだが、いかにもお上がつくりました、いやお上の下請けの業者さんが、そんなにこだわりなく、民間レベルなら考えられないような高額の予算を消費して、チープに作りましたと感じるようなものだった。
もちろん、様々な情報は盛り込まれている。
こういう場合にはこうしなさいと、チャートに従って問題を解決していけるような説明になってて「1呼びかけ、2容態の確認、3通報、4心肺蘇生 … 」という手順の説明は、たしかにそうやるんだろうなあとわかることはわかる。
でも、現実にそういう手順で解決しうる現場に居合わすことはあるだろうか。
「あなたは救急車を呼んでください、あなたはAEDをもってきてください、と周りの人に割り振ります」と説明されてもなあ。
今たしかにAEDはいろんな場所におかれるようになったけど、たとえば人通りの少ない田舎道で事故にあった人を見かけて、AEDはどこ? なんて言ってられるかどうか。
逆にAEDが置いてあるような場所なら、必ず対処できる人がいるから、よけいなことはするなという教えもありなのではないか。
「人工呼吸用のマスクをふだんから携行しておくとよいでしょう」って言われても、え? と思いませんか。
見てると、これってほんとに本気で作ったのかなという疑問がふつふつとわいてきたのだ。
いや、DVDを観ることは必要だろう。とくに2年生は保健の授業でも習ったことだから、映像で確認することは、それこそ知識として確認の意味はある。
だから観てもらっているのだが、どうも作り手の本気度が感じられない。
このレベルの作品で、本当に伝わっていると信じているとしたら、高校生、というか視聴者の実体がわかっていないか、なめてるかどっちかではないか。
細かいことを言えば、たとえばナレーションのおねえさんが、「容態」を「ようたい」と読む。辞書には「ようたい」も可って書いてあるけど、プロは「ようだい」と読まないと。
「高エネルギー事故においては … 」と唐突に説明しはじめるけど、そんな単語ははじめて聞いた。
どのレベルで作られたことばかは知らない。
おそらく業界では普通に使われるのだろう。
でも、それをそのまま使って通じるかどうか、そんな想像さえしない人たちのつくった映像なのかと思うと、ちょっと心が後ろ向きになってしまった。
でもDVDの出来云々ではないな。
DVDで手順を覚える、覚えさせるのが大事なのではない。
緊急のときにどう対応すればいいのか。想定外の事件に遭遇したときにどんなふるまいをできる人間をつくるのか。それこそ学校の仕事なのだろう。
だからこそ、部活もあれば行事もある。勉強だってちんたらではなく、とことんやらないといけない。