プロダクションから預かる若者は、何十%かの確立で、一時は売れる。ずーつと第一線で活躍するのは難しい。
例えば吉川晃司君などは、渡辺プロからあずかり、約1年ではあったが、今でも第一線だ。18才位のときだから、随分年月がたつ。最近お会いしても「昔先生に習った方法で、声は健全です」と感謝される。
しかし何十年も第一線を維持するのは至難の業だ。
ましてや自分だけで業界で生き抜くには、相当な厳しい計画が必要だ。最近に起こった2例を述べてみよう。
A子さん。
年齢30才。東京の早稲田大学卒業。以後、俳優を目指して色々試みるが芽が出ない。28才のとき私の発声教室、演技・朗読教室にも参加する。1年目で調子が出始める。そして私の反対を押し切り、文学座俳優養成所の夜間部に合格する。その頃から発声教室は休みがちで、演技・朗読は止める。
1年で文学座は終わり、2年目に進めない。文学座では発表会や催しが多くあり、私のトレーニングはゼロに近くなる。始めは「声がよい」と言われていたらしいが、トレーニングをサボり、昔のド素人声に戻る。そして、文学座では進級できない。
以後、得たいの知れないプロダクションに入り、お金ばかり取られて、声はだんだん悪くなる。たまに来る仕事は「エキストラ・その他大勢」ばかりだ。
B子さん。26才の時、私の発声教室に入門。演技・朗読もはじめる。若い時に大手のプロダクションから誘いが掛かるほどの顔だ。掘北さん似だ。しかし声が出ない、演技が下手、歌は全然駄目で、芽が出ない。
私と出会ってから、テレビCM等に起用されて、ついに大手のCMでメインを勤めるようになる。26才までは一度もCM等受かったことがない。だから私の教室に大変感謝していて、わき目も振らない。
彼女は現28才まで「大手」と無縁だ。今後もそうだろう。
朗読では彼女の右に出る女性はいないぐらい成長する。もともと隠れた才能があったのだろう。
現在は昨日、述べたように小さな製作会社で「検討」段階にある。カラオケなどが嫌いで、歌は殆ど経験がない。それが「声がきれい」でアニメの主題歌などに起用される可能性がある。
A子さん、b子さん、同じぐらいの年齢で、経験も浅く、大スターの器量もなく、殆ど同時に私の教室でスタートしながら2年で大きく差が開きがはじめた。
地味に、こつこつ、下から這い上がるの差が出ていると思われる。今後、2,3年でこの違いは大きくなるだろう。
何でも大樹の下は、普通の女性にとっては、「何もない、枯れ木の下」と同義語と私は思っている。
1,2年後がどうなるか見守りたい。
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