BUONA GIORNATA!

取材や旅、見仏、ヨーガ、読書の日々をつづります

蓮華院を訪ねて③

2007年02月02日 | 
蓮華院には登って修行ができる五重の塔があります。

ふつう、塔は仏様そのものとされるため入ることはできませんが、ここはお坊さんや一般の人が修行できるよう開放されています。参拝者も中を見学できると聞いて、さっそく登ってみました。

1階は本堂。左手にお香を乗せてもらい、両手でこすり合わせ全身を清めます。「南無皇円大菩薩」と書かれた紫色の襟を首にかけて、上階へ登っていきます。静かで、ぴんと張り詰めたような空気です。少し、緊張ぎみの私たち一行。

2階は写経道場。写経は心を正し、罪を滅ぼすという功徳があるそうで、「いやし」や「集中」を求めて修行に訪れる一般の人も増えているとか。

3階は護摩祈祷道場。「護摩」は仏様の智慧の火によって私たちの煩悩や汚れを焼き払い、願いもかなえてもらうという祈祷で、インドのバラモン教に影響を受けています。1階本堂で「破魔木」を買い願い事を書くと、ご住職が毎日の護摩祈祷のときに焚いて祈願してくださるそうです。

4階は座禅道場。正面に大きな円が描かれていて、その中に蓮華の文様と梵字の「阿」が書いてあります。これは「阿字観」という真言宗の秘法!一般に公開しているのはほかに高野山金剛峯寺など数箇所らしいので、必見です。

5階は法輪道場。正面になで仏さまが座っています。仏像に触れた手で自分の痛いところや病気のところをなでると、ご利益があると言われ、これまで相当になでられたのでしょう、肩やひざのあたりがつるつると黒光りしていました。恋人同士で手をつないでなでると縁結びになるというご利益もあるそうですよ!壁には一面、皇円大菩薩の誕生から蓮華院再興までの伝承が描かれた「絵伝」がかかっていました。ファンタジーに富んでいて、しかもなかなか現実味もありおもしろかったですよ。

5階からは外に出られます。階段がきつくてふうふう息を切らしていた一行も、福岡県・大牟田市や遠くは天草まで見渡せる光景に「キャー!すごかねー!」と歓声を上げました。風がびゅうびゅう吹く中でとても寒かったのですが、いつまでもこの風景から目が離せませんでした。

蓮華院を訪ねて②

2007年02月01日 | 
「飛龍の鐘」を過ぎて門をくぐると、正面に壮大な景色が広がります。
杉木立の間から大きな「皇円大菩薩」像が見えるのです!圧巻!

皇円大菩薩はいまから929年前にこのお寺がある熊本県玉名市で生まれたそうです。比叡山で勉学と修行に努め「肥後の阿闍梨」と言われた立派な僧でした。そして96歳のときに、災難や病気に苦しむ代の人々を救う霊能を得ようと静岡県の桜ヶ池に「龍身」としてはいります。

弟子の法然上人はその6年後に浄土宗を開き、皇円大菩薩に報告に行きました。赤飯を入れたおひつを供えて。その後も浄土真宗を開いた親鸞聖人らも同じようにお供えしたことから、いまでも桜ヶ池でお祭りとして行われているそうです。

皇円大菩薩は760年後の昭和4年、現在蓮華院がある山の大僧正に「蓮華院を再興し衆生済度に当たれ」とご霊告を授け、この蓮華院誕生寺奥の院ができたのだそうです。

杉木立の中にそびえる像は間近で見ることができます。厄除けができるとされる階段を上っていきます。頂上はいい眺め!すがすがしい空気を胸いっぱい吸い込みました。さらに奥のほうには参拝者が願掛けをした皿を、お坊さんが成就を願いながら投げる場所がありました。

(続く)