(2025年3月17日)3月1、3日(当ブログ)にて英国(連合王国全域)で実施された出生コホートの追跡調査の結果を引用して、「生まれながらの落伍者、下層階級出身=本書から」が人生の節目と境目で前向き選択に挑戦し、より良い境遇を勝ち取った2名(労働者階層出身が、航空機など専門技術職を得て、家庭環境も改善され中流階層に仲間入りした)を挙げた。
(この仲間入りがなぜ難しいか。英国は国民を出身する階級で各種差別を設けている。11歳の全国選抜試験イレブンプラスに合格しないと、その後、中高等教育の路が閉ざされるなどが差別制度。下層階級が子を11歳までに優秀成績に仕立てる、中上流階層子弟との競合に勝つは難しい。差別は冷酷で、下層階級を抜け出し高級な職位に就業し、高給を得るはほぼ不可能とされる。今でも階層差別は残り、さらに厳畯になっている。コホートの調査結果=本書から)
陽が注げば陰は刻まれる、邦国からNの例を挙げる。
4人を殺害し、未成年ながら死刑判決を受け執行された。当時にも実名は公開報道されていたから、名を記憶する方も多いと思う。生きざまを実名とともに暴きたてるを本稿は目的とはしない。Nと記す。以下に挙げる内容は「N (実名)封印された鑑定書」堀川恵子著岩波から引用した。
彼の人となり;父親な農業技師、博打にのめり込み家族を養うことはなかった。母親は行商の稼ぎで兄弟姉妹六人を育てたのだが、家庭は極貧環境だった。Nは中学に入って不登校となった。出席日数は足りなかったが、「認定卒業」で放校となった。東京で職に就く兄を頼りに上京、兄のアパートに転がり込む。しかし新婚夫婦の一間住まいに彼の居場所はない。
フルーツパーラー下働きを見つけ住み込みで働く。それもつかの間、一月経ったら逃げ出した。肉屋勤務、主人の目を盗んでレジの金を鷲づかみで逃走。兄の出番が3度目、板金工場で数か月頑張った、ボーナスが他工員よりも少なかった。嫌気がさして勤務放棄、逐電した。
節目と申したが、最初の節目はパーラー住み込み。兄の知人のつてでその職を与えられた。どの程度の待遇かは書に記述はないが、食う食事、寝る場所、休店の外出に映画を見る程度の小遣いは貰えたと推察はする。それを己の生活圏として、苦労は溜まるが責任を全うする。こうした慎ましやかな幾年かの辛抱で、社会のどこに己は座るか座れるか、自分の立ち位置が確立できる。これは前向き選択であり、少年多くがこの範囲を受け入れる。そして陰の選択はその生活姿勢を否定する、職から逃げ出す。Nは後者を選択した。
肉屋で現金鷲掴みは、言い方は良くないが素直な思い切った選択だ。肉屋では客とレジが近い、金の出し入れを目の間にしていたのだろう。そこで幾年かを下働きで過ごす生活は採らず、目の前にある金を、浪費するために、Nは選んだ。
またも兄に泣きこんで現金と隔離する鉄工所の職を得た。ここでボーナスの軽重が気に食わず逃げ出した。この選択は常軌からずれている。職工の報酬は技能に比例する。金に値する腕前を体得し、質と応用力に応じて給与が払われる。ボーナスともなれば、経験技能者と見習工との差は当然、こう受け止めるのは少年にしても普通。だがNは先輩よりは低い査定に、不満をただただつのらせ逃げ出した。
これ以上兄には頼れず街を放浪に過ごし、横須賀基地に忍び込んで拳銃をせしめ、犯行に及んだ。
犯罪に走った理由を家庭環境に押し付ける見方もある。その見方は少年を犯罪現場(4の殺人)に向き合わせただけ、単断面図の観察である。上述した節目境目での選択行動を鑑みてようやく、少年が犯行に至った理由が精査できる。
投稿子(渡来部)は「自分を選んだ」と申したい。

ツバキの花、梅の後、桜の前。梅の花びらは舞い始めると開花する。一輪二輪と落ち始めると桜に移る。まさに春を告げる。だから椿と書く。

Nの兄弟姉妹6人、精神を病んで施設に入った長姉を除いて、残る4人は生きる節目を厳しく迎えたろうが、前向きに選択した。兄弟4人は真っ当に家庭を持ち、家まで構えることができた(本書には具体的記述はないから、投稿子の推測)。育った家庭が貧困でも、社会に出て機会を貰い、選択を常に前向きに維持すれば今の日本、なんとか生き残れる。家庭環境に罪をなすりつける推測は係累者に、まして本人にも失礼と考える。
「貧しいから罪を犯す論理が正しいとしたら、このあたり(青森県の寒村)の子どもたちは皆、犯罪者に墜ちてしまう」(Nが通った、というか通わなかった中学校の担任、実名でこの本にて証言している)。
パーラーなどこれら後ろ向き選択の前にNは不登校という選択を自ら課した。不登校を心配した担任が家を訪ね、怒鳴り口調で登校を促した。Nは反抗するわけでなく、頷き聞いて翌日は登校するが、次の朝にはまたも不登校を選ぶ。中学生からNは自分を選んでいた。それも必ず刹那的、その後に跳ね返る何かを顧みることなく、後ろ向きの選択を続けた。なぜだろうか。
子は親を選べない、だから自分を選ぶ。後ろ向きの選択 3 (3月17日)了
(この仲間入りがなぜ難しいか。英国は国民を出身する階級で各種差別を設けている。11歳の全国選抜試験イレブンプラスに合格しないと、その後、中高等教育の路が閉ざされるなどが差別制度。下層階級が子を11歳までに優秀成績に仕立てる、中上流階層子弟との競合に勝つは難しい。差別は冷酷で、下層階級を抜け出し高級な職位に就業し、高給を得るはほぼ不可能とされる。今でも階層差別は残り、さらに厳畯になっている。コホートの調査結果=本書から)
陽が注げば陰は刻まれる、邦国からNの例を挙げる。
4人を殺害し、未成年ながら死刑判決を受け執行された。当時にも実名は公開報道されていたから、名を記憶する方も多いと思う。生きざまを実名とともに暴きたてるを本稿は目的とはしない。Nと記す。以下に挙げる内容は「N (実名)封印された鑑定書」堀川恵子著岩波から引用した。
彼の人となり;父親な農業技師、博打にのめり込み家族を養うことはなかった。母親は行商の稼ぎで兄弟姉妹六人を育てたのだが、家庭は極貧環境だった。Nは中学に入って不登校となった。出席日数は足りなかったが、「認定卒業」で放校となった。東京で職に就く兄を頼りに上京、兄のアパートに転がり込む。しかし新婚夫婦の一間住まいに彼の居場所はない。
フルーツパーラー下働きを見つけ住み込みで働く。それもつかの間、一月経ったら逃げ出した。肉屋勤務、主人の目を盗んでレジの金を鷲づかみで逃走。兄の出番が3度目、板金工場で数か月頑張った、ボーナスが他工員よりも少なかった。嫌気がさして勤務放棄、逐電した。
節目と申したが、最初の節目はパーラー住み込み。兄の知人のつてでその職を与えられた。どの程度の待遇かは書に記述はないが、食う食事、寝る場所、休店の外出に映画を見る程度の小遣いは貰えたと推察はする。それを己の生活圏として、苦労は溜まるが責任を全うする。こうした慎ましやかな幾年かの辛抱で、社会のどこに己は座るか座れるか、自分の立ち位置が確立できる。これは前向き選択であり、少年多くがこの範囲を受け入れる。そして陰の選択はその生活姿勢を否定する、職から逃げ出す。Nは後者を選択した。
肉屋で現金鷲掴みは、言い方は良くないが素直な思い切った選択だ。肉屋では客とレジが近い、金の出し入れを目の間にしていたのだろう。そこで幾年かを下働きで過ごす生活は採らず、目の前にある金を、浪費するために、Nは選んだ。
またも兄に泣きこんで現金と隔離する鉄工所の職を得た。ここでボーナスの軽重が気に食わず逃げ出した。この選択は常軌からずれている。職工の報酬は技能に比例する。金に値する腕前を体得し、質と応用力に応じて給与が払われる。ボーナスともなれば、経験技能者と見習工との差は当然、こう受け止めるのは少年にしても普通。だがNは先輩よりは低い査定に、不満をただただつのらせ逃げ出した。
これ以上兄には頼れず街を放浪に過ごし、横須賀基地に忍び込んで拳銃をせしめ、犯行に及んだ。
犯罪に走った理由を家庭環境に押し付ける見方もある。その見方は少年を犯罪現場(4の殺人)に向き合わせただけ、単断面図の観察である。上述した節目境目での選択行動を鑑みてようやく、少年が犯行に至った理由が精査できる。
投稿子(渡来部)は「自分を選んだ」と申したい。

ツバキの花、梅の後、桜の前。梅の花びらは舞い始めると開花する。一輪二輪と落ち始めると桜に移る。まさに春を告げる。だから椿と書く。

Nの兄弟姉妹6人、精神を病んで施設に入った長姉を除いて、残る4人は生きる節目を厳しく迎えたろうが、前向きに選択した。兄弟4人は真っ当に家庭を持ち、家まで構えることができた(本書には具体的記述はないから、投稿子の推測)。育った家庭が貧困でも、社会に出て機会を貰い、選択を常に前向きに維持すれば今の日本、なんとか生き残れる。家庭環境に罪をなすりつける推測は係累者に、まして本人にも失礼と考える。
「貧しいから罪を犯す論理が正しいとしたら、このあたり(青森県の寒村)の子どもたちは皆、犯罪者に墜ちてしまう」(Nが通った、というか通わなかった中学校の担任、実名でこの本にて証言している)。
パーラーなどこれら後ろ向き選択の前にNは不登校という選択を自ら課した。不登校を心配した担任が家を訪ね、怒鳴り口調で登校を促した。Nは反抗するわけでなく、頷き聞いて翌日は登校するが、次の朝にはまたも不登校を選ぶ。中学生からNは自分を選んでいた。それも必ず刹那的、その後に跳ね返る何かを顧みることなく、後ろ向きの選択を続けた。なぜだろうか。
子は親を選べない、だから自分を選ぶ。後ろ向きの選択 3 (3月17日)了
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