聖ルチアおとめ殉教者
?-304年
ルチアは、イタリア、シシリア島シラクサの裕福な家に生まれ、信仰深い両親のもとで育てられた。父の死後、母の健康がすぐれなかったため、母とともにカタニアの聖アガタ(シシリア島の殉教者)の墓に巡礼し、母の病が癒された。この奇跡を機に、ルチアは生涯を神にささげる決意をしてそのことを母に話し、自分の財産を貧しい人びとに与えた。以前ルチアとの縁談があり、彼女に好意を寄せていた青年はそのことを知って怒り、彼女がキリスト教徒であることを知事に訴えた。当時は、ローマ皇帝ディオクレチアヌスのキリスト教迫害下にあり、すぐに彼女は捕えられ、信仰を貫き通したために殺された。
彼女は、多くの人びとから尊敬され、ローマでは早くから彼女の記念祭が行なわれた。彼女の殉教伝は、イギリスの詩人の聖アルドヘルムによって著わされた。
ルチアという名が光と関係があるために、彼女は目の保護者とされている。また、拷問のときに、眼をくりぬかれたと伝えられていることから、彼女は自分の眼を盆の上に載せている姿で描かれている。