(6)
ジムは、メイン州のバクスターからトレイルに入った。
一日目は穏やかな天気だったが、2日目から3日間を通して雨が降り続いた。もちろんフッドのついた防水着、防水パンツ、登山靴のトレッキング用装束をしていたが、周りの景色も見えない、冷たい風雨が吹きつける、道は雨でぬかるんで、時に濡れて滑る岩山をよじ登りながら、ルートに沿って時々現れる「sign post」(標識)を手探りで見つけながら歩くのは、とにかく辛かった。
勿論こんな天気では、道端で野宿は難しいが、時々小さなシェルターが沿道にあって、そのどれかに夕暮れ時辿り着いたときに泊まることにしていた。
シェルターと言っても、あくまで避難用の小さな小屋で、「three-walled shelter」と言って三方が壁になっていて、表の一方は何もついてなく、壁もドアもない吹きさらしだった。
一晩中蹲ったまま朝が明けるのを待っていた。夜の帳が降りると、どう過ごしていいのわからないほどだった。本をもってきていたが、明かりがない。ひたすら吹きつける雨に身をさらしながら耐えていたのである。早く朝が訪れればいいと願いながら、立膝を両手で抱きながらじっと座っていた。
歩き始めたばかりだし、一度諦めて、再度別の日に挑戦したほうがいいのではないかと、すでに音をあげて帰りたい気持ちでいっぱいになっていた。
それでも岩場を見つけて、しゃがみ込み風雨に打たれながら休憩をしたりしながら、自分を励まし頑張ろうという気を起こすのに必死だった。
帰ろうと思えば簡単だった。いつでも帰れる。しかしそうしたらどうなるのだろう。ますますみじめな自分がいるだけである。やはり頑張ろう。一週間もするとなんとかやれるのでは、と言う前向きな気持ちになってきたのである。
天気も晴れてきた。ある時、靄でかすむ道を歩いていると、風の音でもない、動物が騒ぐ音でもない、確かに人間のカサカサという足音が近づいてきた。まさしく人間だった。
お互いにすれ違う時に、「やあ!」と声をかけていた。
「あとどれくらいですか?」とその人が言った。
ジムと違っていかにも山歩きに慣れた人に見えたので、「あなたの足なら、3,4日もあれば」と答えた。彼は思わず万歳のボーズを取り、大仰にうれしさを表現した。
「6か月かかって、ついにスルーハイクだ!」といかにも嬉しそうだった。
「ジョージアから来たのですか?」「そうです!」 ジムも、自分のことのようにうれしい気持ちになった。
彼と、尾根の岩場に座りながら、しばらく話をした。
彼はリュックからソーセージを2本取り出し、ひとつをジムに与えた。プラスティックのボトルを取り出し中の水を飲みだした。そのボトルを差し出し、彼にも飲むようにと仕草をした。
「自分は、まだ歩き始めたばかりで音を上げているのに、彼は、6か月も歩き通して、しかも終点に近づいているのだ!」と思うと、ジム自身頑張る意欲のようなものが生まれてきた。
ネズミや蛇、クマなどは御免だが、時々愛すべき動物たちに出会うことがあった。
一度などカメが黙々と道の真ん中を歩いていた。思わず立ち止まり、甲羅を指で突いてみると、顔を出しこちらを見た。
「コンニチワ!ドコニイクンダイ?」
「オジサンハ、ドコニイクノ?」
「ジョージアマデイキタイケド、イケルカドウカワカラナイヨ」
暫し立ち止まり、彼?との会話を心の中で楽しんだ。甲羅から顔をのぞかせた時の彼の愛くるしい顔は忘れられない。
クマ( black bears )にも何度か出会ったが、ワイオミングやサウスダコタで見た、あのような大きいものではなく、「叱!叱!」と追い払えば、クマのほうから逃げていくから、そんなに恐れることはないようだ。
きっと固まってしまうか、大急ぎで逃げるか・・・
分かりません
出来れば一生会いたくないです
クマがよく出てくるような環境、に住んでいる人は慣れているのかしら
ペンシルバニア大学のキャンパスではシカがいました。
夕方近くになると一斉にウサギが出てきて遊んでいました。
ウイスコンシン大学では、冬の雪の上をたくさんのリスが走っています。
ミネソタでは、ビーバーをよく見ました。
イエローストーンでは、大きなクマたちが道をふさいで遊んでいました。さすがに運転手は。襲われるから外に出ないようにと言っていました。
出会ったことはありません。
考えるだけで怖いですね。
野生の動物で出会ったことがあるのは猿(奥日光)、
キタキツネ(阿寒湖の近くの道端)、
タヌキ(我が団地)位ですかね。
ウサギ、リス、ビーバーは出会ってみたいですね。
ヨセミテでは、屋外のテーブルで食事をしていたら、リスがよじ登ってきて、我々の皿の食べ物を一緒に食べました。
ウイスコンシンではアライグマがよく見ました。
ミネソタでは、車に衝突したシカが道に転がっていました。
ハワイでは、小鳥たちが家に入ってきて、食べ物を強請ってきます。