先日、在アイスアランド日本大使館を通して、ランチの会食に招いていただきました。会食の目的は日本外務省からお越しになった「査察官」の方とアイスランドの様子についてお話しをすることでした。私の他にも三名の邦人の方が招かれていました。
「査察官」と聞くとそれだけで恐ろしい感じがしますが、日本大使館の各地での働きをチェックし、サービスの向上に役立てたりするのが「査察」の目的なのだそうです。まあ、他にもあるんじゃないかと思いますけどねえ...言わないだけで。
会食の席で、旅行者の方の交通事故が急増している、ということが話題になりました。しかも特にアジア人旅行者が関係する事故が多いと。このことは私の最近のブログでお伝えしてありました。
スピード違反切符のエアメイル?
ただその際には、ニュースでの簡単な扱いしか手元になかったので、曖昧さが残るというか、はっきり言って「アジアからの旅行者の事故が多いんだって」ということ以上のなにものでもありませんでした。
先週、Stundinというウェッブニュースが、並行して月二回出しているプリント版が、このトピックについての多少詳しい記事を掲載しました。で、今回はこのトピックについての追っかけブログとなります。
まず始めに、死亡事故ですが、これはツーリストよりもアイスランド人の間で急増しています。2014年には事故で亡くなったアイスランド人は三人。それが昨年は九人に増加。今年もこれまでのところ昨年のペースを追ってしまっています。
Stundinが掲載した統計表では、事故を死亡事故、重傷事故、軽度の事故の三段階に分類し、件数ではなく人数で示しています。昨年交通事故にともかく巻き込まれたアイスランド人は総数で1002人ということです。
ついで多いのがポーランド人の47人ですが、ここには一万人以上のポーランド移民がいますので、これはツーリスト云々とは異なると思われます。
さて焦点のアジア人ですが、中国36人、ベトナム14人、シンガポール10人、日本9人、香港8人、韓国7人といった具合で、やはり比率的に高いような気はします。
ですが、アメリカ23人、ドイツ18人のように、多くのツーリストが来ている国の人の事故はどうしても多くなるようです。そういう傾向そのものは確率の問題でもありますし、わかりますよね。
わからないのはツーリストの絶対数を鑑みても、中国の36人は多いと見なさざるを得ない点です。ここ二三週間のいくつかのメディアの扱いには「アジア諸国での運転免許の条件がヨーロッパよりも低い、という指摘がある」というような論調がありました。要するにアジアの免許の質が低いということです。
日本での免許取得を考えると、「冗談はやめてくれ。アイスランドの免許より質が高いよ」と断言できますが、他の国々については知識がありません。いきなり免許の質を比べるよりは、どういう風に事故が起きているのかを調べるのが先決のような気がします。
Stundinの記事では、多少そちらの方面への考察も見られました。ここからはアジア人ではなく、中国からのツーリストの人たちについての扱いです。
多くのツーリストがアイスランドに到着し、すぐに空港のレンタカー営業店で車を借り出します。そこのエージェントの話しによると、「どうみても免許を取ってからほとんど実際には運転をしたことがないように見える方が少なくないのです」
実際にあった例として、マニュアルの車の操作を知らない、バックギアの入れ方がわからないという人もあるようです。
「スタッフが一時間あまりを費やして、運転の仕方を説明しました。それでようやく出発してくれたのですが、一時間もしないうちに横転事故を起こしてしまいました」
現在の法令では、免許を持っている人に、その人の出身国を理由にして車の貸し出しを断ることはできないとのこと。まあ、それはそうでしょうね。それにしてもペーパードライバーの人がたまに運転して、必ず事故に遭うわけではないですし、初心者だって同じことでしょう。
警察のスヴェイン·クリスチャウン·ルーナルスソンさんの話しでは、「ある条件下で運転に関するドライバーの無知、例えば凍結路面や除雪されていない道での運転が事故に相当関連しています」そしてそれはやはり地理的に田舎の区域に特に言えるそうです。
交通局の事故調査課のアウグスト·モンゲンセンさんは「これはまだひとつの可能性というか仮説ですが、中国からの多くのドライバーが、大都会での運転しか経験したことがなく、信号がない道路での継続した高速運転に慣れていないことも影響していると思われます」
「加えて、シートベルトの問題があります。多くのアジアの国では後部座席でのシートベルト着用が一般化していないと聞いています」
アイスランドではもちろん全席着用が義務付けられていますが、シートベルトは事故時の身の安全に直接関わる問題ですから、この点はツーリストの皆さんにも徹底してもらわないといけませんね。
私自身が想像するには、これらに加えて旅の日程の問題等があるのではないかと思います。あちらこちら回って、山に登ったり歩いたり。外は寒い。多少疲れたかなー。でもまだ運転しなくちゃ。車の中は暖かい。同乗者は皆居眠り。ドライバーも眠い...
安全を呼びかけるのは、ツーリストを迎える方のすべての関係者の義務でしょう。ですが、最後の直接責任はやはりハンドルを握る人の肩にかかっています。
私も事故に遭われた方を見舞ったり、諸事をお手伝いしたりすることがありましたし、これからもあるかと思います。ですが、私の場合は100%、事故が起こってしまってからのお付き合いです。
本当に肝心なのは事故が起きないようにすること。事故に遭わないようにすることでしょう。事故に遭って損をするのは自分自身ですからね、こちらで運転する方には十分気をつけていただきたいと思います。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
「査察官」と聞くとそれだけで恐ろしい感じがしますが、日本大使館の各地での働きをチェックし、サービスの向上に役立てたりするのが「査察」の目的なのだそうです。まあ、他にもあるんじゃないかと思いますけどねえ...言わないだけで。
会食の席で、旅行者の方の交通事故が急増している、ということが話題になりました。しかも特にアジア人旅行者が関係する事故が多いと。このことは私の最近のブログでお伝えしてありました。
スピード違反切符のエアメイル?
ただその際には、ニュースでの簡単な扱いしか手元になかったので、曖昧さが残るというか、はっきり言って「アジアからの旅行者の事故が多いんだって」ということ以上のなにものでもありませんでした。
先週、Stundinというウェッブニュースが、並行して月二回出しているプリント版が、このトピックについての多少詳しい記事を掲載しました。で、今回はこのトピックについての追っかけブログとなります。
まず始めに、死亡事故ですが、これはツーリストよりもアイスランド人の間で急増しています。2014年には事故で亡くなったアイスランド人は三人。それが昨年は九人に増加。今年もこれまでのところ昨年のペースを追ってしまっています。
Stundinが掲載した統計表では、事故を死亡事故、重傷事故、軽度の事故の三段階に分類し、件数ではなく人数で示しています。昨年交通事故にともかく巻き込まれたアイスランド人は総数で1002人ということです。
ついで多いのがポーランド人の47人ですが、ここには一万人以上のポーランド移民がいますので、これはツーリスト云々とは異なると思われます。
さて焦点のアジア人ですが、中国36人、ベトナム14人、シンガポール10人、日本9人、香港8人、韓国7人といった具合で、やはり比率的に高いような気はします。
ですが、アメリカ23人、ドイツ18人のように、多くのツーリストが来ている国の人の事故はどうしても多くなるようです。そういう傾向そのものは確率の問題でもありますし、わかりますよね。
わからないのはツーリストの絶対数を鑑みても、中国の36人は多いと見なさざるを得ない点です。ここ二三週間のいくつかのメディアの扱いには「アジア諸国での運転免許の条件がヨーロッパよりも低い、という指摘がある」というような論調がありました。要するにアジアの免許の質が低いということです。
日本での免許取得を考えると、「冗談はやめてくれ。アイスランドの免許より質が高いよ」と断言できますが、他の国々については知識がありません。いきなり免許の質を比べるよりは、どういう風に事故が起きているのかを調べるのが先決のような気がします。
Stundinの記事では、多少そちらの方面への考察も見られました。ここからはアジア人ではなく、中国からのツーリストの人たちについての扱いです。
多くのツーリストがアイスランドに到着し、すぐに空港のレンタカー営業店で車を借り出します。そこのエージェントの話しによると、「どうみても免許を取ってからほとんど実際には運転をしたことがないように見える方が少なくないのです」
実際にあった例として、マニュアルの車の操作を知らない、バックギアの入れ方がわからないという人もあるようです。
「スタッフが一時間あまりを費やして、運転の仕方を説明しました。それでようやく出発してくれたのですが、一時間もしないうちに横転事故を起こしてしまいました」
現在の法令では、免許を持っている人に、その人の出身国を理由にして車の貸し出しを断ることはできないとのこと。まあ、それはそうでしょうね。それにしてもペーパードライバーの人がたまに運転して、必ず事故に遭うわけではないですし、初心者だって同じことでしょう。
警察のスヴェイン·クリスチャウン·ルーナルスソンさんの話しでは、「ある条件下で運転に関するドライバーの無知、例えば凍結路面や除雪されていない道での運転が事故に相当関連しています」そしてそれはやはり地理的に田舎の区域に特に言えるそうです。
交通局の事故調査課のアウグスト·モンゲンセンさんは「これはまだひとつの可能性というか仮説ですが、中国からの多くのドライバーが、大都会での運転しか経験したことがなく、信号がない道路での継続した高速運転に慣れていないことも影響していると思われます」
「加えて、シートベルトの問題があります。多くのアジアの国では後部座席でのシートベルト着用が一般化していないと聞いています」
アイスランドではもちろん全席着用が義務付けられていますが、シートベルトは事故時の身の安全に直接関わる問題ですから、この点はツーリストの皆さんにも徹底してもらわないといけませんね。
私自身が想像するには、これらに加えて旅の日程の問題等があるのではないかと思います。あちらこちら回って、山に登ったり歩いたり。外は寒い。多少疲れたかなー。でもまだ運転しなくちゃ。車の中は暖かい。同乗者は皆居眠り。ドライバーも眠い...
安全を呼びかけるのは、ツーリストを迎える方のすべての関係者の義務でしょう。ですが、最後の直接責任はやはりハンドルを握る人の肩にかかっています。
私も事故に遭われた方を見舞ったり、諸事をお手伝いしたりすることがありましたし、これからもあるかと思います。ですが、私の場合は100%、事故が起こってしまってからのお付き合いです。
本当に肝心なのは事故が起きないようにすること。事故に遭わないようにすることでしょう。事故に遭って損をするのは自分自身ですからね、こちらで運転する方には十分気をつけていただきたいと思います。
応援します、若い力。Meet Iceland
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