続「とのむら通信」ブログ版

前島本町議会議員・外村敏一(平成29年4月29日付けで引退)
日々の思いや議会傍聴の感想など引き続きお伝えします。

法人税減税論議について思うこと(税制全体の議論が必要)

2014年06月18日 | 日々の思い


このところ毎日のように法人税減税の議論が新聞やTVで報道されている。特に安倍総理は成長戦略の骨格だと言って強い意欲を示している。
しかし政府の方針だと言いながら甘利経済財政大臣は賛成、麻生財務大臣は消極的と国政の中枢を担う主要閣僚でありながら自分の担当所管
の立場だけで発言しているのは実に情けない。麻生氏に至っては「他に代替の財源があるなら減税しても構わない」というような視野の狭い
無責任極まりない話をしている。副総理や閣僚ともなれば国家の行く末をトータルで考え、法人税の減税という一点だけを議論するのではなく、
ここは現代の世界グローバル経済下のもとで日本の法人税のあるべき姿や税制、税体系そのものを見直す議論をすることこそ大切であると思う。

先進諸外国に比べて日本の法人税が高い(今までそうしてきた)というなら、他の税率が低い諸国ではどうしてバランスを取っているのか、
どこがどう違うのか説明して貰わないと又消費税や所得税がアップされるのかと心配になる。何故我が国だけが高い税率で来られたのか。
今回の方針案では国際的経済競争を勝ち抜くためにも現状の35.64%(東京に本社がある場合)から数年内に20%台にまで下げるというもの。
1%の下げで約5000億円の減収になると言われているが、その財源はどうするのか、法人税を下げるだけで本当に外国企業が日本に資本進出
して国内経済が良くなるのか。様々な角度からの検討や試算をして、経済界にだけでなく我々国民にも納得できるような説明をするべきである。

税の仕組みや税制の体系は長い間それぞれの国の考え方や事情やによって作られて来たものだから急に変えるのは難しい。よほど好景気が長く
続いたときなどのタイミングで行うべきものである。それでなくても今の日本は1100兆円以上の借金があり、減るどころか毎日増え続けている
上に生活保護費や医療費などが今後更に急激に増えることは確実である。歳出増ばかりの所に大型の減税をしてそのしわ寄せは偏に消費税UP
で賄うという理屈は日本では俄かには理解されないし先に国内経済が破綻してしまう。

私は世界の潮流からして日本の法人税率が高い(OECD平均は24.11%)から少しづつ減税して20%台にして行こうというのなら、現状の法人税
がどういう姿であるのか先ず明らかにするべきであろう。新聞報道などによると、日本では法人税を払っている企業はわずか30%で米英の50%
より極端に低く、ほんの一部の黒字企業に負担が偏っている。全体の1%に満たない資本金1億円超の大企業が法人税収の65%を支える構図に
なっているとのこと。あのトヨタでさえ08年のリーマンショック危機以降法人税を払っていなかったというから一体法人税の仕組みが上手く機能
しているのかと疑う。わざと赤字にして法人税を逃れる企業や不当な政策減税の適用を受けている会社があるなど、現状における法人税制自体に
問題が多い欠陥税制であるように思う。抜け道だらけのザルみたいな税制をそのままにして減税だけを先行することは絶対に認められない。
赤字企業にも規模に応じて一定の負担を求める「外形標準課税」を強化すべきだとの声が出るのももっともである。

いずれにしても日本は税の種類が多くて複雑怪奇。何重にも税金を取られてやる気が起こらないというある社長の話を聞いたことがある。
税金はお上から取られるものという意識が強いが、本来は我々国民の一人一人がTAX Payer(納税者)として支払う側の主体性を持ってこの
議論に参加しなくてはならない筈である。法人税減税の穴埋め財源を所得税や消費税の更なるアップに求めるならばあらゆる努力・工夫をした挙句
の最後の手段である。それこそ先ず率先して行うべきは国会議員の人数や給与の大幅削減、政党交付金の廃止であり、これを財源に回して貰いたい。
国の税収の総額全体像を見たうえでどこをどうすべきかの議論と同時に無駄な歳出を無くする議論も合わせてしないと国民は納得しない。法人税だけに
焦点を当てて「諸外国に比べて高いから下げる」というなら同じく諸外国と比べてどこに多くの無駄な歳出があるのかをきちんと議論しなければならない。
為政者にはそういうバランス感覚が求められる。







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