疾風の如く!

美人画と弓道に生きる日々。

加古隆さんのピアノ。

2006年05月17日 | Weblog


『ジブラルタルの風』は、加古隆さんの、ピアノ・ソロ・ベスト版である。

名前は聞いていたが、どんな曲を作っている人か、知らなかった。

だが、昨日今日と、聴いてみて、思わず、瞼に涙が浮かんでしまった。


一番好きになったのは、「ポエム」という叙情的なピアノ曲だ。

イメージは、木々の間を、風に乗ってゆっくりと流れていく霧に包まれた森・・だそうで、

曲に浸っていたら、まさしく、その霧の森を漂う詩人の姿が見えてきた・・・。


やがて、そのさまよえる詩人は、霧の中に幻を見る・・それを追う。

だが、その幻は、実は、詩人の心の中にこそ、生きているものなのだ・・。


この美しい霧の森の中では、どんな心の傷も、悲しみも、

何もかもすべてが、静かに優しく、いたわるようにしっとりと包みこまれてしまう・・。

そんな深い優しさに触れたとき、人は、思わず涙がこぼれる・・。

何も言葉は要らない・・ただ、ピアノの旋律に心をゆだねていればいいだけだ・・。


そういうピュアーな、繊細な、抒情感溢れるピアノに、俺ははじめて触れた気がする。

海外では、アンドレ・ギャニオンが素晴らしいが、国内ではこの人が最高かも・・。


加古隆さんは、まさしく「ピアノの詩人」だ。

5月の涼しい夜に、1人、しみじみ聴くピアノソロは、俺の心に、どこまでも深く沁み込んでくる。




コメント (2)
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