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『封印される不平等』 橘木俊詔

2006年05月20日 | 教養

 
小泉政権というか、景気回復後の日本のキーワードの一つが、格差社会ですね。山田昌弘氏の『希望格差社会』は、まだご紹介していませんが、かなりのインパクトがありましたし、三浦展氏の『下流社会』 の売れ行きはものすごいですね。内田樹氏も『街場の現代思想』 でヨーロッパ型の格差社会は、日本には適切ではないと警告しています。

実際はどうなんでしょうか。格差が広がっていると感じることがあるでしょうか。私は学習塾で教えていて感じるのは、全体の学力低下とともに、かなり上と下の学力差が大きくなっているということです。公立学校が前向きにこの問題に取り組まなければ、さらに広がるのではないかと思っております。

本書は経済学者の橘木氏(京都大学助教授)が中心になって、教育学者の苅谷剛彦氏、ジャーナリストの斉藤貴男氏、社会学者の佐藤俊樹氏、4人の座談会を収録した第1部と、それを踏まえた橘木氏が実証的、論理的に日本の不平等を分析した第2部からなっています。

いずれの方も社会の不平等に関する著作があり、現在の日本社会の不平等化を懸念しています。ただ不平等と言ってもさまざまな観点があります。

ご存知のように、苅谷氏は『教育改革の幻想』 などの著作で、親の収入が直接、子供の受ける教育の格差に直結していることをデータを用いて示しました。東大生の親の年収がかなり高いというデータです。経済学的に見れば、所得の再分配の問題があります。

今所得税の最高税率が20年前の約半分に引き下げられましたから、相続税が現在のままであれば、これは結果の平等ではなく、次の世代にとっては、機会の平等に反するということになります。最低賃金という法律があってもそれは生活保護費にも満たない額であり無意味だというわけです。

フリーターの問題もあります。今年は改善されたとはいえ、今の就職難に遭遇している人々は、何年かたって、熟練労働者になれるのかという問題です。なれなければおそらく生涯にわたって収入は上がらないということになります。

年金問題を考えれば、同世代の中だけでなく、世代間の不公平があります。少子化という現象をどのように克服し、世代間の負担の公平を図るのかというのは大問題ですね。まさに赤川学氏が『子どもが減って何が悪いか!』 で展開した主張です。

他にもいろいろな観点で不平等が語られます。同じ“不平等”を扱う専門家どうしでも、例えば “アメリカは非階層社会” とか “スウェーデンは福祉国家” などといった一般的なテーゼにおいて、かなり見解が異なるのも興味深かったです。“不平等入門”としてお薦めします。本書から、さらに気に入った方の著作を読むのがよいでしょう。

http://tokkun.net/jump.htm

『封印される不平等』橘木俊詔
東洋経済新報社:233P:1890円



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封印される不平等

東洋経済新報社

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2 コメント

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世の中 よくならないかなぁ (kazu4502)
2006-05-21 11:23:55
格差社会は過去にもあったわけで今更始まったわけではありません、ただその差が大きく広まったことは事実だと思います、ただ心配なのは全体としての学力の低下だけではなく、学力の差が大きくなったことが心配ですね。

我々の頃は魅力ある先生が多くいたし、たとえば僕が生徒会長をしていた小学生の頃、理科の先生が今日の授業は中止、みんなで河原に行こうなんて河原でこの川は富山湾に貴重な栄養を運んでるなんて「おまえらわかるか、富山の魚がおいしいのはこの川のおかげや」「おーい 三大栄養素を答えろ」なんて今でもはっきり覚えてます、ほんとうに小さな勉強だったかも知れませんが、先生の授業が楽しかったなんて言うのはもはや昔の話なのでしようか。
Unknown (ぶろぐひろば)
2006-05-21 14:26:43
突然申し訳ありません。

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