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リニア新幹線とは何か?

2023年10月23日 | インポート

  中央新幹線は、東京都から大阪市に至る新幹線の整備計画路線である。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A

 リニア新幹線は、1980年代、後にJR東海の代表取締役に長期にわたって君臨した葛西敬之が、国鉄民営化後の企画本部長時代に提唱したビジョンで、旧国鉄労働者を弾圧し、解体しながら、新しい歴史的な巨大事業を自分の業績として華々しアピールすることを目的に開始した。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%9B%E8%A5%BF%E6%95%AC%E4%B9%8B

 葛西がJR東海に幹部赴任したのは、おそらく中曽根康弘の指示ではなかっただろうか?
 それは国鉄愛知が非常に強力な労働組合組織を持っていたので、東京本社の人材のなかで、もっとも産業界を代弁し、強引な実行力を持った強硬派として名古屋に送り込まれた。つまり国労愛知を完全破壊するための尖兵だった。
 国鉄分割民営化にあたっては、松田昌士(後にJR東日本社長)や井手正敬(後にJR西日本社長)と共に「国鉄改革3人組」と称された。

 ちょうど、国労愛知の最盛期時代、私の父親が国労書記長や愛労評事務局長を務めていたが、父の引退後に入れ替わるように葛西が名古屋に着任したので、直接の軋轢はない。
 葛西はアイデアマンといわれ、国労体制を破壊することに執着を見せたが、民営化事業で成功したものは少ない。
 葛西の肝いりで御嶽山の天然記念物級原生林を大規模に破壊して高所に作られたチャオスキー場も、見事な失敗に終わって、今は、施設が風化し、無残な姿を見せている。
 失われた原生林は戻らない。私には葛西敬之に対する憎悪しかない。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%AA%E5%BE%A1%E5%B2%B3%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%88

 葛西敬之は、昨年、私と同じ間質性肺炎で長期入院の末、死亡した。私のように山歩きで呼吸トレーニングすることで悪化を防ぐという発想はなかったようだ。
 彼は、科学技術や「発展する未来」に幻想を抱く、ひどく視野の狭い人物だったように見える。葛西の視野には「衰退する日本」が見えなかった。未来永劫、科学も日本経済も発展し続けるという妄想しかなかった。

 御嶽山の原生林も、南アルプスの手つかずの大自然も、自分たちが利権のために好き勝手に改変して利用することに、何一つためらいを見せなかった。
 そして、フクイチ原発事故の政府側賠償計画責任者になっていたが、被害を受けた民衆に寄り添った姿勢は何一つ見せなかった。
 徹底して、経団連など産業界の代弁者であり尖兵であり続けた。

 2000年9月11日の東海豪雨で、JR東海は東海道新幹線の無理な運転続行を強行したため、5万人を超える乗客が車内に取り残され、一夜を明かす事態となったことについて、葛西はその数日後に開かれた社長定例会見で、「あれは未曾有の大災害が原因で、正常で適切な運行だった」と発言し、大きな批判を浴びた。
 また、この頃、人妻との不倫が報道され、独善的な性格が社会的に暴露された。

 葛西は、2011年に決定されたリニア計画について、「すべてJR東海が独自資金で実現する」と大見得を切ったが、葛西が後援会長を務めていた安倍晋三政権で、JR東海に対する3兆円という巨額の無担保無利子融資が決定された。
 しかし、2023年現在、総工費見積もりは10兆円に膨れ上がっている。今後の追加大規模融資がなければ事業続行は不可能である。
それどころか、爆発的な資材高騰の嵐のなかで、20兆円でも無理という声さえある。

 リニア計画について、詳細は、ここでは触れない。 ただ、第一期工事で、東京(品川)の地下大深度と名古屋駅を結ぶ、リニア鉄道ということだが、現在、新幹線のぞみ号が1時間40で運行していて、リニアは40分とはいうものの、実は、駅が大深度であるため、地上に出るのに10~20分を要するため、新幹線での移動時間とさほど変わらなくなってしまう。

 問題点としては、第二期工事である名古屋・大阪間が開業した場合、既存新幹線の4倍=80万キロワットという大電力食いのエネルギー浪費鉄道であるため、新しい電力インフラが必要になり、これを原子力発電所の増設でまかなうという自民党の計画になっている。
 必要な発電所は、100万キロワットなので、化石燃料発電所ではなく原発に依存する計画なのだ。また、供給に必要な送電線などの電力インフラも膨大なものがある。

 最大の問題は、川勝知事問題をさておいて、何もかもうまく実現したとしても、日本社会は完全な衰退期に入っていて、人口減少が加速し、肝心の乗客がいなくなるということだ。
 葛西敬之は、現行新幹線よりも千円程度高い運賃に据え置くと発表したが、すでに予算が二倍以上になっているので、それは絶対にありえない。
 たぶん東京・名古屋間2万円でも不可能で、3万円というレベルになる可能性がある。

 しかし、自民党政権による大増税のなかで、庶民の生活は追い詰められていて、そもそも高額の移動ニーズが劇的に減って行く。
 つまり、リニアが完成しても今の習近平新幹線のように「誰も乗っていない」という事態が予想される。
 リニア新幹線は、狐や狸や幽霊と空気ばかりを乗せて走ることになるのである。
 東京名古屋間が現行新幹線よりも十数分短縮されたとしても、高額運賃が約束されたリニアに誰が乗るというのか?

 これは葛西敬之はじめ、経団連など日本の産業振興論者たちが、「社会は発展した以上、必ず衰退してゆく」という弁証法的本質を、何一つ理解できていなかったことによる必然的な結末なのだ。
 日本の人口減少がもたらす未来、消費税によって萎縮した産業と市民生活の意味するものを、まるで理解できなかった自民党政権の愚かさの結末なのである。

 そして、リニア新幹線に問題が生じているのは、すべて川勝静岡県知事の悪意によるものとの風評が全メディアに蔓延しているが、事実はとんでもない話だ。
 葛西敬之が歩いた後は、かけがえのない大自然が次々に取り返しがつかないほど荒廃してゆく。御嶽山の原生林も、今後数万年を経なければ取り返しがつかない。
 南アルプスで、リニア工事のため破壊された大自然は、まさに驚愕のレベルだ。
 それに真正面から立ちはだかって、正当な権利を主張しているのは、川勝知事だけだ。

 https://imidas.jp/jijikaitai/a-40-127-18-03-g725
 リニアでは、品川―名古屋間286kmのうちトンネル区間が86%も占めるが、その掘削工事では約5680万立方メートルという東京ドーム約50杯分もの膨大な残土が排出される。
 ところが、その処分先がまだ2割台しか決まっていない。つまり、処分先が決まらないことにはトンネルも掘れない。
 現在は、南アルプスの希少な生態系を破壊して、残土を沢筋に捨てるとしている。

長野県は、JR東海が処分先の候補地と睨んだ地域では、「沢の上流に置かれた残土が豪雨で土砂崩れを起こしたら大変なことになる」との指摘により、反対運動が起きている。
 また、トンネルを掘った残土を運ぶダンプカーが一日に何往復もこの道路を行き来する。(長野県大鹿村)
 これは私の住む中津川市でも同じで、苗木地区では一時期、ダンプ街道になってしまった。近隣の井戸水など地下水にも大きな影響が出ているが、なぜか報道されない。

 トンネル工事で地下水脈が断ち切られ水枯れが起こる。これまで山梨県下の実験線周辺で起きた問題の一つが水枯れだ。
 実験線の建設工事が始まったのは1990年。実験線もその8割がトンネル工事だったため、各地で地下水脈が断ち切られ、その数年後から各地の川が枯れた。
 たとえば、大月市朝日小沢地区では、1994年に簡易水道の水源の沢が枯れた。2011年には、上野原市無生野地区の棚の入沢が枯れた

 実は、南アルプスの工事予定区間は、国内最大級の破砕地帯である。
 山体基盤が、いわば砂利の体積の上にある。なんでそうなったかというと、数百万年間、続いた中央構造線の活動によるものだ。
 このため、計画地直上の千枚岳(2879m)はこれまでに何度も大規模な崩壊を繰り返している。

 大鹿村など、中央構造線破砕帯では、例えば青崩峠のトンネルは、日本の土木技術の粋を集めて40年かかっても、破砕帯のため完成できなかった。
 (今年10月に貫通したと報道されたが、完成できるか不明のままだ)
 https://www.youtube.com/watch?v=zR08DplpG2Y&ab_channel=NBS%E9%95%B7%E9%87%8E%E6%94%BE%E9%80%81%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9

 この、日本で一番恐ろしい中央構造線破砕帯を突っ切ってリニアトンネルが通る。
 中央構造線では、千年に一度、巨大な地殻変動が起きて10mを超えるような横ずれ断層が活動するともいわれる。
 大地震が発生すると、リニア通過中のトンネルが一気に10m以上横ずれを起こす可能性があるのだ。
  https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72734

 石橋克彦 リニア中央新幹線は地震に耐えられない 2020年9月
 https://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/linear_chuo_shinkansen.html

 時速500Kmで走行中のリニア新幹線がトンネルで巨大な地殻変動に遭ったとき、それは未曾有の「走る棺桶」に変わる。まるでガザのような阿鼻叫喚の事態が起きる。
 リニアが開通されるとされる2030年には、日本は五人に一人が認知症といわれる国になり、日本の移動ニーズは、自宅勤務などの変化によって大幅に減るといわれる。

 人口も少ないし、自民党政権が増税で国民を追い詰めているので、リニアに乗ることのできるのは超高額所得者だけという事態になりそうだ。
 それよりも、開通までに、リニアトンネルが無事である可能性は極めて低いと思わざるをえない。
 私は、リニア新幹線計画は、21世紀最大の「負の遺産」として、日本経済を窮乏化させる要因にしかならないと予想する。