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特別な力に憧れ、権力の基盤にしたがる人々

2022年04月30日 | インポート


 すべての人間はタダの動物にすぎない。これは科学的思考における絶対的帰結である。

 だが、権力を得た人々は、そう思わない。

 自分たちを、「神に選ばれた特別な人間だ」と思いたがるのだ。



 そして、自分たちは常人にはない「特別な力」を持っていると信じたがる。持っていなくとも、持ちたいと思い続ける。

 普通の生活をしている「常人の想像も及ばない特別な力」を自分たちが支配するなら、それが神に選ばれている証だと考える。

 権力者にとって、「常人の及ばない特別な力」とは何か? それは武力である。

 強大な武力があれば、恐れられ、畏敬され、圧倒され、それに従うことが生き延びる道だと多くの人々が消極的になって考える。



 だから権力者は大昔から武力が大好きだ。願わくば、世界最強の武力をもって他国を圧倒し、睥睨したい。

 現代にあって、「最高の武力」とは何か?  それは核兵器である。

 核兵器は、常人の及ばざる彼方の技術であり、それを持てば、まさに神の如く人類に君臨できると多くの権力者は考える。人々を核爆発の恐怖で従えることができると……。



 日本でも、核兵器に憧れた権力者がたくさんいた。1940年頃、ハーンやアインシュタインが核分裂の原理を明らかにすると、41年には核兵器開発がアメリカで始まった。

 そのニュースを得た直後から、日本でも、仁科芳雄や湯川秀樹によって核兵器の研究開発が始まった。仁科は成功しなかったが、湯川は開発に成功したものの、敗戦によって間に合わず、興南道ハムフン沖で証拠隠滅のため爆発させたとされる。

 https://agora-web.jp/archives/2042653.html



 政治家も科学者たちも、敗戦後のゴタゴタのなかで、いつか核開発への夢を持ち続けた。1955年、A級戦犯から不可解に生き延びた正力松太郎は、核兵器開発のための原子力技術の実現をぶちあげた。

 https://diamond.jp/articles/-/279599

 1965年、正力が、平和利用を隠れ蓑に、核爆弾のためのプルトニウム抽出を狙った東海原発が稼働した。それは黒鉛減速炉で、発電用には不向きなものだった。

 http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/06/post_116.html



 以来、日本でも世界でも、「平和利用」を掲げながら、本当は核兵器を開発したい、たくさんの国家が原発を建設、稼働させてきた。

 2020年、世界で442基もの原子炉が稼働いるといわれる。

 https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2021/03/world_nuclear_development2020.pdf



 だが、その原子炉では、全人類を数十万回も皆殺しにできるほどの恐ろしい放射能が蓄積されているのだ。

 その放射能が消えるまでの時間は、数億年でも不足している。一番普通の放射能であるセシウム137やストロンチウム90を例にとっても、半減期が30年、千分の一に減るには300年もかかる。



 プルトニウムXやマイナーアクチノイドに至っては、少なくとも数十万年、場合によっては数億年の時を経なければ地上から消えることはない。

 その間、環境に漏れ出せば、生物のDNA情報を破壊し続けるのだ。

 原子力発電というものは、どんなに「安全」とぶち上げてみても、放射能が消せるわけではない。ビルゲイツが主導している小型原子炉、SMRでも、普通の原子炉と同じように高レベル核廃棄物が出てくる。

 「放射能の危険のない原子炉」なんてのは、甘くない砂糖のようものだ。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%9E%8B%E3%83%A2%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%82%89



 ましてや現在、開発が加速しているナトリウム減速炉の場合は、プルトニウムを多用するため、原子炉の利用を停止しても、莫大な崩壊熱を持った核廃棄物は、100度以下になってからの永久貯蔵の前に500年間の強制冷却が必要であり、それは地上の保管プールで行われる。

 今、起きているロシアの原発攻撃を見れば、それが、どれほど恐ろしいことか分かるはずだ。人類には、500年間、安定して持続した国家はどこにも存在しないのだ。

 ましてや、電力企業が500年間存続して、核廃棄物を冷却し続けると誰が思うのか?



 ロシアが軍事侵攻を起こしてから、天然ガスなどのエネルギー供給の安定的見通しが立たなくなっている今、盛んに「SMR=小型モジュール原子炉は安全だ」という妄想が宣伝され、原発再稼働の声も日増しに大きくなっている。

 私が見ていると、ロシアの暴走は、まるで原子力産業復興のために行われたようにさえ見える。しかし、そのロシアこそ、原子炉をミサイルで破壊する急先鋒なのだ。



 現在、ウラン鉱石の7割は、旧東側諸国、ロシア、東欧、北朝鮮などに存在しているといわれる。これがチェルノブイリ事故やフクイチ事故で、原子力発電の致命的リスクを世界中が思い知ることになり、原子力は「未来のエネルギー」の地位を追われた。



 だが、世界最大級のウラン鉱を保有するアルゴア(オクシデンタル・ペトロリウム)や、原子力開発に取り組んできたビルゲイツらダボス会議組(ユダヤ人超財閥)は、自分たちが数十年も前から追求してきた「原子力電気・コンピュータAI管理社会」=を実現する「グレートリセット」を中断させないために、二酸化炭素による温暖化を口実に、「原子力はクリーンエネルギー」とのデマを、グレタ・トゥーンベリなどを使って大宣伝している。



 実際には、「クリーンエネルギー」というのは人類史上最悪クラスのデマであり、真実は「ベスト・ダーティエネルギー」であって、一基の原子炉がメルトダウンするだけで、その始末費用は数百兆円に上ることが明らかにされている。

 また、原子力開発80年の歴史で、核廃棄物の始末=完全に汚染を克服したトイレが整備されたことも一度もなく、宇宙で一番汚い核廃棄物を処分できる見通しもなく、それは永遠に人類社会を滅亡に向けて誘う環境汚染を続ける宿命である。



 わが日本産業を牽引してきた東芝は、原子力の本質、将来性を見誤り、莫大な損失を出して、田中久重以来の日本の巨大ブランド企業がまさに存亡の危機にある。

 それを見続けて、自らも深手を負ったはずの日立や三菱重工も、相変わらず原子力への幻想=妄想から醒めることができず、大企業でさえ倒産させる恐ろしいリスクを秘めた原発開発に取り憑かれたように、放射能の致死的な泥沼に身投げしようとしている。

 https://www.zaikei.co.jp/article/20220420/669216.html



 https://www.gentosha.jp/article/17949/

 上の批判を書いた菅直人は、2011年フクイチ事故の年、枝野や海江田ら民主党幹部と揃ってベトナムへの原発輸出に邁進していた。菅よ、どの口で、原子力産業を批判するのか?



 原子力は人々を不幸にするだけであり、企業を崩壊させ、子供たちの未来を破壊するだけの代物だ。

 現在、自民党や右翼知識人たちが口を揃えて「原発再稼働」を叫んでいるが、彼らは、原子力の持つ本当の恐ろしさを理解できず、おそらく原発の先に見える核兵器開発を夢見て、日本国を核武装させたいのだろう。



 核兵器を持っていれば、平和がやってくるのか? 戦争が起きても勝てるのか?

 正直、これほど知能が劣る発想も滅多にない。強力な兵器を持てば、他国は、それを上回る強力な兵器を開発し、泥沼の開発競争が続くだけだ。

 また、「凄い兵器」を持っているだけで、それを使う衝動が生まれるのも人類の本質であり、プーチン・ロシアは、それを如実に見せつけている。

 プーチンは、強大な核生物兵器を持っているから、罪なき他国に軍事侵攻して、領土を拡張しようとしているのである。



 もしも、プーチンに核がなければ、ウクライナ戦争は起きなかった。

 核兵器は、競争して開発すれば、間違いなく人類の滅亡に一直線に向かって突っ走ることになる。

 今回の、ロシアの暴虐は、まさにそれを表している。

 「武力で戦争を防止する」という「抑止論」ほど、人間の愚劣さ、愚かさを反映しているものはない。



 戦争を抑止するのは武力ではなく、核兵器でもない。それは、人類の人間性の向上しかないのだ。それは利他主義社会の実現以外ありえない。

 武力抑止論が出てくる本当の理由は、そうした妄想があれば、自分だけボロ儲けできると考えている資本家がいるからだ。

 それは、まさに利己主義の愚劣な人間性から来ているものであり、竹中平蔵や安倍晋三の本質である。



 学問的にいうなら、アメリカとロシア、欧州を支配しているユダヤ人たちのタルムード思想=選民主義から生まれているものだが、選民主義と競争主義が、人類を滅亡に向けて突っ走らせるという本質を、どれだけの人が理解できるかによって、子供たちの持続可能な未来が定まるのである。



 何を一番大切にしなければならないのか?

 それは、あなたの金儲けではない。子供たちの持続可能な未来だけなのだ。





 

 

 

たちどころに検証されるネット社会で、ウソをつき続けるなら

2022年04月29日 | インポート


 日本で「嘘つき」といえば、安倍晋三元首相が有名だ。



 貴方の知らない日本,安倍晋三のウソ一覧 まとめ 2015年10月17日

貴方の知らない日本

https://blog.goo.ne.jp/lilmica6o/e/2c91c4cfdffe89fc6d6145e056f36e41



安倍晋三のウソ一覧 まとめ 2014/11/26

https://50064686.at.webry.info/201411/article_15.html



 厚顔無恥で息を吐くように嘘をつく、安倍首相。これまで数々の嘘をついて国民を騙してきた。安倍晋三という政治家は嘘をつくのが仕事なんでしょうか?



 国会で118回も嘘 安倍前首相は「虚偽答弁のホームラン王」2020/12/23

 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/283040



 世界の政治家で、ウソの多さについては、安倍晋三がダントツでチャンピオンだと思うが、ほとんど無数のウソをつきまくったにもかかわらず、ウソが原因で追放されなかった理由は、ウソを取り締まるはずの役人=警察・検察・裁判官僚で周囲を固めて自分を守っていたからだ。

 それは、祖父である岸信介の時代から、岸・佐藤・安部一族の習性のようなものだ。



 菅直人が現役首相だったときに起きた福島第一原発事故について、安倍晋三は、「菅直人が原子炉への海水注入を遅らせた」とデマを拡散し、菅は告訴したが、最高裁で敗訴した。理由は、安倍晋三の指名した、息のかかった裁判官ばかりだったからだ。

 https://yournewsonline.net/articles/20151203-abe-not-guilty/



 安倍晋三の無数のウソは、現代ネット社会にあって、たちまち検証されてウソが暴露されたが、安部の分厚い面の皮は、小便がかかったくらいにしかこたえなかった。

 だが、安部のウソは、自民党天下でこそ徹底追求されなかったが、公人として歴史に残るデマばかりだったので、これから何十年にもわたって政治家の悪質性の見本として、後世に広く伝えられるにちがいない。

 歴史による審判は、これからなのだ。



 ウクライナに侵攻して、無数の人々を殺傷し続けているプーチンもまた、世界に冠たる大ウソつきの一人だ。

 

 ブチャの住民殺害は「捏造」、経済制裁は失敗=プーチン大統領 2022/04/13

 https://newspicks.com/news/6937912/body/?ref=company_SPD0NKDIIUHXOZ53



 そもそも、プーチンが大統領選挙に勝利した理由は、自分が指示して、自作自演でロシア人同胞を300人も殺害しながら、それをチェチェン人テロリストのせいにして、チェチェンに軍事侵攻し、大虐殺を行って、ロシア国民の溜飲を下げさせたことによってだった。



プーチン「殺戮の履歴書」 得意技は「ウソ」「毒殺」「自作自演」 「週刊文春」編集部 2022/03/02

 https://bunshun.jp/denshiban/articles/b2558



 https://wjn.jp/article?id=14763042



 プーチンには、ロシア民衆を騙すための、自作自演の偽旗作戦しか存在しない。安倍晋三と違って馬鹿ではないので、ウソを報道しようとしたジャーナリストや報道機関をすべて、FSB(スパイ機関)の暴力によって抑え込んだ。

 プーチンによって殺害されたジャーナリスト、市民運動活動家は数十名(数百名?)に及ぶ。

 

 世界最悪の独裁者プーチンがこれまで実行した「殺戮の歴史」プーチンウオッチャー・黒井文太郎レポート 2022年04月07日

 https://friday.kodansha.co.jp/article/238031



 狡猾・巧妙を絵に描いたようなロシア諜報機関の親玉、プーチンであっても、その悪事、偽旗作戦、自作自演の真実は、隠し通すことができない。

 昔から政治家は嘘つきだったが、少なくともコンピュータやネットが発達するまでは、ウソを検証する方法が、極めて脆弱だったので、ウソが平気でまかり通る時代が長く続いた。

 だが、現代は昔と違う。圧倒的な情報量、検索精度によって、ウソがたちまち見破られる時代なのだ。



  プーチンの嘘を次々に打ち砕く…ロシアの軍事機密を丸裸にする「民間衛星会社マクサー」の超技術 だから旗艦「モスクワ」の沈没は誤魔化せなかった

 https://president.jp/articles/-/57111?page=2



 上のリンクは、衛星画像の分析が、ブチャの大虐殺や、モスクワ沈没の真実を暴いたというものだが、宇宙からでも、地上の解像度が10センチという衛星画像では、一つの主張=説明が、それに関連するあらゆる情報の整合性から真実性を暴露されてしまう。



 すべての事象は「連関」のなかにある。つまり、あらゆるものは、無数の要素でつながっているので、一つウソをつけば、それがもたらす、あらゆる情報で検証される。

 ましてや、コンピュータという道具は、人間が図書館などで情報を検索するスピードの数億倍のスピードで、瞬時に関連情報を明らかにしてしまう。



 私は、数年前から、すぐ近所に住むAという老人から泥棒被害を受け続けているのだが、警察は現場を目撃したにもかかわらず、私の主張を一切信じなかった。

 そこで、この男の素性を知るため、いろいろな検索をしたところ、30数年前に、車でバイクの男性を事故を装って殺害していたことが分かってきた。



 また、それまでの自分に関する説明も、全部ウソであることが分かった。だが、犯罪歴は情報公開規制法の制約によって簡単に調べられない。Aは結婚後、氏名まで変えて、証拠を隠滅していた。まさにプロの窃盗犯として証拠隠滅の達人だったのだ。



 だが、公的機関は、情報公開法で閉じていても、興信所は独自の情報ネットワークを持っているので、容易に過去を探ることができる。

 ただし、相当な費用を取られるので、なかなか利用し辛いものがある。それでも、情報公開法施行前のデータから前科や、個人情報をたくさん得ることができた。



 今の時代は、Aのような証拠隠滅の達人が、どれほどウソで誤魔化そうとしても、それを上回るプロの情報屋がいて、子供時代からの、あらゆる問題行動を調べることができる。

 今の興信所は、ほとんどNTTのデーモスのような恐ろしいほど巨大なデータベースネットワークを持っていて、一人の個人でも、分厚い雑誌ほどの情報量が蓄積され、瞬時にそれを知ることができる。私もそうだ。



 それは、安倍晋三でもプーチンでも、バイデンでも同じなのだ。

 それは、ウソをつくことで、「どのような理由でウソをついたのか?」と、真実を隠蔽した証拠や理由がファイリングされてしまうのだ。

 プーチンに関しては、子供時代から現在に至るまで、ほぼすべてのウソがファイリングされ「プーチンウオッチャー」という人々の学究的興味の対象になっている。

 https://friday.kodansha.co.jp/article/233187



 人間の思考・行動パターンも、ほぼ様式化されていて、一つの行動の理由が、前後の関連のなかで明らかにされてしまう。隠したくとも、生きていて、その情報が垂れ流されるなら、それを分析するプログラムの餌食になるしかないのだ。



 だから、人間の思考様式の必然として、プーチンによる核生物兵器使用が確実視されているのである。

 人は、嘘つきであればあるほど、そのウソを誤魔化し、また正当化するために、新たなウソをつくしかなく、どうにもならなくなるまで、ネット社会における情報の整合性から追い詰められると、最後にはケツをまくって汚い屁と糞をぶちまけるしかなくなる。



 嘘つきは、たった一つのウソであっても、それを容認すれば、最後は非常に極端ではあるが「人類滅亡」に直結する可能性もあることが、プーチンによって示されるのだ。

 だから、安倍晋三のような嘘つきは、徹底的に追求し、初期の段階で、追放しなければ、日本国家の存亡が危うくなることを知るべきだ。



 食糧危機 続報

2022年04月28日 | インポート
 じわじわと忍び寄る食糧危機に備えて……。



 ブログを書き終えたら、今日は、トウモロコシでも撒くかと考えている。ゴールデンウィークに種まき、苗植えをする野菜としては、甘藷とトウモロコシだ。

 今年はカルチベータが壊れてしまったので、スコップで掘り返して、油粕や石灰を入れてから攪拌、畝を作って均してから黒マルチか防草シートを敷いて番線ピンを差し込んで止める。

 それからマルチに穴を開けて、種まき、苗植えを行う。なかなかの重労働だ。



 当地では、ゴールデンウィークに、氷点下の気温で遅霜になることが多いので、異常低温が予想されるときは、すでに植えた甘藷苗や馬鈴薯の発芽を寒冷紗で覆ってやり過ごすことにしている。

 5月10日になれば、もう凍結はないので、寒冷紗は外してしまうが、マルチは雑草対策のため取らない。今年は例年より暑いので、凍結はないかもしれないが油断はできない。



 遅霜に当たると、馬鈴薯の新芽は真っ黒になり、芋が肥大しなくなる。甘藷苗も死んでしまうことが多い。気候変動が極端になっているので、農作の手間が昔よりも桁違いに大きい。

 雑草も、心なしか、昔よりダントツに成長が早い気がしている。三日も放置すれば畑に入れなくなるほどだ。だから防草シート・マルチが欠かせないのだ。



 耕耘して、鶏糞や油粕などの有機肥料を投入、十日ほど肥料を発酵させてからマルチに穴を開けて種や苗を植え込んでゆく。 最近は、肥料の発酵熟成なんて面倒なことをパスしてやってしまうが、これだと悪い虫がつきやすい。そこで、EM菌培養液を200倍に水で薄めて如雨露で灌水している。

 EM菌は、ベト病などのバクテリア・真菌病の防除にも役立つ。有機物の発酵分解に絶対的な効果を持っているのだ。



 植物というのは、生の有機肥料を吸収することができない。必ず、バクテリアが発酵分解した成分を吸収する。EM菌は、生有機物を分解して、植物が栄養素を吸収しやすくしてくれるが、効くまで一定の時間がかかる。

 化成肥料は、そのまま植物が吸収するが、土壌を硬化させたり、団粒を破壊したりして微生物相を悪化させ、風味への悪影響も大きいので、せいぜい追肥に用いることがあるくらいだ。



 甘藷については、専用畑で作り、原則、肥料を使わない。せいぜいカリ肥料(硫酸カリ)や草木灰を元肥として用いる。鶏糞や油粕のような窒素肥料を甘藷に与えると「ツルボケ」という枝葉がわんさかつくが、芋がほとんど育たない。

 また、「蔓返し」を行って、枝根を切断しないと、これも芋が小さい。



 準備万端整えたのに、うまく収穫まで結びつかない場合、一番大きな原因は、雑草繁茂だ。とくに畝の雑草は、頻繁に除去しないと作物が育たないが、梅雨の時期などは、一日30センチも草が伸びて、三日も放置すると畑に入れなくなることさえある。

 だから、雑草の多い地域では、防草シートや黒マルチが必需品となる。

 除草剤など使ったら、その畑は数年間不毛の地となり、腎臓への悪影響も著しい。



 何が一番困るかというと、雑草以上に野生動物である。

 とりわけイノシシは、芋類の臭いに惹かれて数頭で深夜にやってくる。もしも畑に入ったなら、一反の畑の作物を1時間で完食してしまうので、それまでの手間は、野生動物の餌作りにすぎなくなる。

 他に、我が家ではカモシカや鹿も凄い。みんな芋類が大好きだ。また野菜果実類は、アライグマやハクビシンにやられる。スイカなど作ろうものなら皮しか残らない。



 大型野生動物は、メッシュ鉄筋で畑を囲む。コールタールを塗った杭を打ち込んで、針金で留めてゆく。しかしアライグマはメッシュから入るので、内側に高さ1.8メートルの防獣ネットを設置するといい。これは3メートルの鉄パイプ柱を立てて打ち込み、虎ロープを張って、これに紐で結ぶ。一番下はアライグマ用に防草シートで覆っておく。



 実は、畑にとって大型獣よりも、小型獣の方が怖い。それはネズミだ。

 私は、里芋・馬鈴薯・甘藷の大半を食べ尽くされたことがある。それは収穫期に収穫せず、放置した結果だったが、ネズミ対策は欠かせない。

 基本的には、小さな箱を作って粘着ネズミ捕りを入れる。数が多い場合は、殺鼠剤を使うが、これを畑に散布すると、作物に毒性が移って大変なことになるので、必ず小さな箱に出入口を作って、中に殺鼠剤を置くようにする。



 できるなら、ネズミの天敵である蛇を駆除しないことだ。殺鼠剤を使いすぎると、鳥や蛇など天敵に悪影響が出る可能性がある。ネズミ罠や粘着シートの方が良い。

 ネズミは、雨の当たらない、シートの下などに穴を掘って巣を作る。罠にかかると悲鳴を上げるので、しばらくはネズミが寄ってこなくなる。



 今日は、これから畑の使ってないスペースをスコップで掘り返し、100円ショップで買った苦土石灰と油粕を入れて、もう一度掘り返し、EM薄め液を散布してから上に黒マルチをかける。

 一週間後に、マルチに穴を開けて、トウモロコシの種を植え付ける。夏頃には食べられるだろう。とりたてのトウモロコシは、そのまま生で果実のように食べられる。

 自家栽培のトウモロコシの味を知ったなら、もう買って食べたいと思わなくなる。



 このようにして、私は毎日、食料対策の自給自足路線を進めている。

 5月中旬になれば、ほうれん草やターサイ、蕪、大根が食べられる。その頃にはオクラや枝豆を作るつもりだ。

 来月にはタマネギの収穫を控えている。これは、紐で縛って風通しの良い日陰に干しておく。6月には馬鈴薯、11月には里芋、甘藷が収穫できるはずだ。

 全部、うまく収穫できれば、たぶん必要食料の半分近くをまかなえると、捕らぬ狸の皮算用をしている。



 プーチンのサルマト核ミサイルが、うちから200キロ圏で爆発しなければの話だが、小松基地が攻撃されたら、うちも危ないかもしれない。

 さて、世界の状況はどうなっているのだろう?



 「第2次世界大戦以来の食糧危機」国連が警告の訳 穀倉地帯ウクライナの戦争が広げる飢餓の連鎖 2022年4月5日

 https://toyokeizai.net/articles/-/579556



 ビーズリー氏によると、ウクライナとロシアは世界の小麦の30%、トウモロコシの20%、ヒマワリ油の75~80%を生産。WFPは世界で1億2500万人の食料支援に必要な穀物の50%をウクライナから購入しており、食糧・輸送・燃料価格の高騰から活動費が毎月7100万ドル増加しているという。



 WFPは3月下旬、ウクライナの人口の少なくとも45%が食糧難に直面し、大人は子どもに食べさせるために食事を抜いたり、食べる量を減らしたりしていると報告した。

 農民はトウモロコシの作付け時期に作物の世話をするのではなく、兵士となってウクライナの最前線で戦っている。ロシアとウクライナからの肥料製品の不足から収穫量は50%減少する可能性がある。



 エジプトやレバノンといった国々はウクライナに穀物の80%以上を依存しているとビーズリー氏は述べた。農業に対する戦争の影響はもはや食品価格の高騰だけでなく、各国がロシアとウクライナの供給減を埋め合わせられなければ、食品入手難に発展するおそれがあるという。



 戦闘が終結しなければ、世界は飢饉、各国の不安定化、大量移民の危険にさらされるとビーズリー氏は指摘。WFPの食糧配給はイエメンなどではすでに半減、場合によっては停止せざるをえない状況にあると説明した。



 「プーチン(ロシア大統領)が戦争を続ける限り、ロシア軍がウクライナの都市を爆撃し救援部隊をブロックし続ける限り、そして包囲された市民が安全な場所に退避できない限り、この人道危機は悪化の一途をたどるだろう」。アメリカのウェンディ・シャーマン国務副長官は国連安保理の会合でこう述べた。



 シャーマン氏によると、ロシアは黒海の港から物資を運ぶ少なくとも3隻の民間船を砲撃、同海軍はウクライナからの穀物輸出を断つためにウクライナの港へのアクセスを遮断している。



 ロシアが画策する「農業破壊」のプランB



 ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、食糧と農業の危機はロシアの責任ではなく、その真の原因はアメリカと西側諸国がロシアに科した「ヒステリックな制裁」にあると非難した。

 ネベンジャ氏は、ロシア海軍は船舶が安全に航行できるように人道的な航路を確保したと主張し、こう言った。「飢餓や食糧難を防ぐことができるのは、西側諸国自身だ」。



 ウクライナのセルギー・キスリツァ国連大使は国連安保理の会合で、ロシアはウクライナの農業を破壊することで、ウクライナ全土に人道的な危機を引き起こすことを計画していると述べた。ウクライナ占領に手間取ったロシアのプランB(代替策)になっているという。

 「極めて残酷なものだ」とキスリツァ氏は語った。

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 引用以上

 

“ウクライナ戦争”長期化が招く「世界食料飢餓危機」17億人に深刻な打撃、米国一人勝ち 2022/04/22

 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/304251



 ロシアのウクライナ侵攻開始から間もなく2カ月。戦争の長期化で「食料危機」が顕在化してきた。特に深刻な犠牲者は、中東・北アフリカの途上国に住む人々だ。

 ウクライナとロシアは合計で世界の小麦輸出の約3割、トウモロコシ輸出の2割を占める。



 世界有数の穀倉地帯で起きた紛争で、小麦価格は年初から約30%上昇。小麦輸入の半分以上を両国に依存する国は36カ国に上り、多くが中東・北アフリカ地域に集中する。

 現地の穀物自給率は4割程度。両国からの輸入に大きく依存してきただけに、影響は深刻なのだ。



 輸入小麦の8割以上を両国に依存するエジプトでは、3月のインフレ率が10%を超えた。要因はパン価格。制裁や供給減の不安の高まりから一時、50%値上がりした。



 経済危機下のレバノンは国内に出回る小麦の9割以上がロシア・ウクライナ産。外貨不足で穀物を代替輸入する余裕もなく、パン屋の前は連日、長蛇の列だ。

 イラクでは小麦などの価格が3~5倍となり、各地でデモが頻発。内戦下のイエメンも小麦の3割をウクライナに依存し、国連は「年末までに飢餓状態の国民が5倍の16万人になる」と懸念を表明した。



 飢えた貧困国の犠牲の上で米国一人勝ち



 国連のグテレス事務総長は先週、「食糧やエネルギー価格の上昇で貧困と飢餓が拡大している」と指摘。戦争に伴う戦乱により、世界107カ国で17億人が深刻な打撃を受け、うち5億5300万人が貧困状態、2億1500万人が栄養不足との報告書を発表した。

 グローバルに見れば、この戦争は軍事攻撃の犠牲者よりも、貧困と飢餓で亡くなる人の方が圧倒的に上回りそうだ。



 「食料危機はこれからが本番です。まだ、昨年収穫分のウクライナ産小麦が出回っているようですが、戦争下で春まきの作付けは壊滅状態。トウモロコシの輸出量が減れば家畜のエサ不足に直面し、肉や卵、乳製品も枯渇する。

 しかも、ロシアは窒素肥料の生産に不可欠な天然ガスや原料の輸出大国です。制裁の影響で肥料の供給が滞れば、あらゆる食料の生産が落ちます。この秋には世界中が深刻な食料危機に陥り、穀物やエネルギー、肥料の代替需要を賄う米国だけが儲かる構図です。米国経済の一人勝ちは飢えた貧困国の犠牲の上に成り立つのです」(経済評論家・斎藤満氏)

 なるほど、バイデン政権が戦争の長期化を望むわけだ。

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 引用以上



 「アメリカの一人勝ち」と断定するには早いかも知れない。

 ウクライナ・ロシア・ベラルーシは、世界有数の肥料供給国で、アメリカ農業も、大きく依存してきた。

 アメリカでは、小麦種まきの前に、肥料蒔きができない状態が相当面積に及んでいるとの情報がある。

 また、世界的に肥料の異常高騰が起きていて、全世界の農業生産に暗雲を投げかけている。

 

アメリカの食料危機は「意図的」である様相。過去数ヶ月で十数カ所の食品関連施設が火災や爆発で消失し、全米への肥料の運搬が強制的に止められている

 https://indeep.jp/the-upcoming-american-food-crisis-is-intentional/



  アメリカ食品関連施設の謎の連続火災の後、FBIが、米農業協同組合にサイバー攻撃が行われる可能性を文書で警告 : 「穀物生産が混乱に陥る可能性がある」と

  https://indeep.jp/fbi-warns-cyber-attacks-on-food-plants/



アメリカ最大の貨物鉄道会社の「輸送量の削減義務」政策により、世界最大の肥料企業が「農家に春作物の肥料をまったく出荷できていない」状態であることが判明

 https://earthreview.net/there-is-no-more-fertilizer-in-us/



 肥料価格の異常な高騰により、ペルーのコメ生産者たちが「不採算により農業から撤退」する中で米作崩壊の懸念(そして世界全体で起きる可能性)

 https://earthreview.net/rice-farming-unprofitable-in-peru/



 ウクライナ侵攻で世界的な食糧供給危機、肥料会社が警告

 https://globe.asahi.com/article/14561959



こうした情報を前に、結局、最終手段は、自給自足を選ぶしかない。信頼のおける数軒の仲間とともに、過疎の山村で農地を確保し、少しずつ芋類栽培準備に取り組む以外に、生き延びる方法がないような気がしている。

 もはや、田舎での農地確保も困難になりつつあり、「先に動いた方が勝ち」という状況になりつつある。



 大都市近郊での農作は、おそらく荒らされる可能性が強いので、大都市圏から100キロくらい離れた、山村がお勧めである。

 数人、数軒で力を合わせて、可能なら、鶏や山羊の飼育に向かいたい。

ロシア・ウクライナ戦争を理解するためには、ロシアの歴史を知らなければならない

2022年04月27日 | インポート


 プーチンロシアの歴史は、自作自演のテロを行う偽旗作戦の歴史である。

 今回のウクライナ侵略でも、ロシアがウクライナを攻撃する理由が、ウクライナ側にあるかのような徹底した偽旗作戦を実行してきた。

 https://gigazine.net/news/20220225-russia-false-flag-attack/



 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68940

 https://re-sho.com/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%81%8A%E5%AE%B6%E8%8A%B8%E3%80%8C%E5%81%BD%E6%97%97%E4%BD%9C%E6%88%A6%E3%80%8D%E3%82%92%E9%A8%99%E3%81%95%E3%82%8C%E4%BF%A1%E3%81%98%E8%BE%BC%E3%82%80%E4%BA%BA/



 実は、「偽旗作戦」の元祖、本家といえば、アメリカであって、有名なところでは、太平洋戦争の引き金になった真珠湾攻撃。

 https://ameblo.jp/horehore-oo7/entry-12658511277.html



 ベトナム戦争北爆の理由付けにされたトンキン湾事件

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E6%B9%BE%E4%BA%8B%E4%BB%B6



 それに911テロ、暴虐イスラム国の活動も、偽旗作戦だといわれている。

 https://open.mixi.jp/user/14949337/diary/1953894827



 実は、アメリカのこうした卑劣な偽旗作戦の根幹には、アメリカ国家を創立以来支配し続けてきたユダヤ人がいる。

 そして、プーチンロシアの偽旗作戦にも、プーチンを含めたユダヤ人がいる。



 「偽旗作戦」というのは、旧約聖書 創世記34章に描かれた、ユダヤ人の教科書に描かれているのだ。

 https://www.wordproject.org/bibles/jp/01/34.htm



 ヤコブの娘デナはシケム強姦され求婚されたが、ヤコブはシケムの一族に「割礼したなら結婚を許す」とウソを言って、一族の男全員が割礼して痛みに苦しんでいる最中に襲い、皆殺しにして、あらゆる財物を奪った。



 ユダヤ人(アシュケナージ)は、13歳まで(女子は11歳)に「バルミツバ」という元服儀式を受けるが、このとき、旧約聖書トーラー五書を完全暗記し、ラビの前で滞りなく暗誦することを要求される。合格しなければ成人は認められない。

 つまり、子供のうちに、上のように陰謀で他部族を皆殺しにする教書を刷り込まれることになっている。



 だから、こうした偽旗作戦は、すべてのユダヤ人に、幼い内から刷り込まれているので、大人になっても抵抗なく行える仕組みなのである。

 「ユダヤ人は平気で嘘をつく」といわれ、憎悪の対象になってボグロムという集団虐殺に遭ってきた背景には、こうした旧約聖書の教えがあると考える必要がある。



 そのユダヤ人=プーチンを大統領選挙で勝利させたのは、1999年にモスクワで発生した、チェチェン人のせいとした同胞300名を殺した偽旗作戦である。

 

ロシア高層アパート連続爆破事件

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E9%AB%98%E5%B1%A4%E3%82%A2%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E9%80%A3%E7%B6%9A%E7%88%86%E7%A0%B4%E4%BA%8B%E4%BB%B6



 この事件では、報道されているように、現場の監視カメラに、プーチンがトップだったFSBの車両が写っていて、実行者がFSB工作員であることは確実であるとされた。

 しかし、プーチンは、FSBの武力、陰謀を使ってロシアのメディアを操作し、チェチェン人テロリストの仕業に見せかけ、民衆の憎悪感情を、チェチェン人攻撃に向かわせ、あたかも「正義の味方」のようにふるまって、大統領選に勝利したのである。



 以来、プーチンは20年以上、ロシアのトップに君臨し続けてきたが、これほど長期の独裁政権を維持するために、FSBを使った恫喝、拷問、殺人、テロを数限りなく繰り返した。最近では反体制活動家ナリヌワイが、その犠牲者となった。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%83%AF%E3%83%AA%E3%83%8C%E3%82%A4



 プーチンの指示で殺害されたロシアジャーナリストは、アンナ・ポリトコフスカヤを含めて数十名に及ぶといわれている。

 https://globe.asahi.com/article/13668764



 このようなロシアの体質については、駐ロ大使だった河東哲夫が良い記事を書いているので紹介したい。

 

 ロシア、崩壊の予感――すでに周辺諸国の離反が始まっている 2022年4月27日

 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94678

 以下全文引用



 ロシアという国は、まるでローマ帝国さながら、モスクワ大公国という小さな都市国家から出発して、17世紀にやっとウラル山脈を越え、1860年にウラジオストックとその周辺の沿海地方を清朝から取り上げて、現在の版図を作った存在。



 その間、自由と民主主義、市場経済という近代文明が定着することはなかった。いつも力で社会を抑えつけては停滞を強め、その結果戦争で敗北したり、大衆、地方、あるいは周辺衛星諸国の離反を招いて自壊する。



 19世紀半ばのクリミア戦争では、産業革命で近代化した英国、フランス軍への劣勢を暴露して、1861年農奴解放令を発布するが、皇帝アレクサンドル2世は革命勢力に暗殺されてしまい、国は再び保守締め付けへと戻った。



 1905年2月、日露戦争がロシア劣勢で展開する中、生活悪化に不満を強めた大衆が首都サンクト・ペテルブルクで陳情行進をし、これに軍隊が発砲する「血の日曜日」事件が起こる。これは全国に飛び火し、皇帝ニコライ2世は結局、議会(お印だけの)の創設を認めるのである。



 1917年のロシア革命で権力を掌握したレーニンは、第1次世界大戦から足を洗って国内征圧に専念するべく、領土を大幅に譲ってドイツと講和し、極東では1920年から「極東共和国」を独立させて、シベリアに出兵した日本との緩衝国とする。



 そして近々では、1991年8月、モスクワでの保守派クーデター失敗を受けて、ソ連の一部に過ぎないロシア共和国の大統領エリツィンが台頭。ソ連の諸共和国には「主権を欲しいだけ取れ」とけしかけ、ロシア共和国の地方には税収を連邦の国庫には送らないようけしかけて、ソ連邦大統領のゴルバチョフ追い落としをはかったのである。



 その年の末になると、連邦諸省庁は職員への給与支払いにも事欠き、幹部は次々にロシア共和国の省庁へと移っていった。その年の12月、エリツィンは自分と同格、ソ連の一部のベラルーシ、ウクライナの首長とかたらって、「ソ連の消滅」を一方的に宣言。ソ連は解体して、今に至るのだ。



 つまりロシア人は、一度手に入れた領土は「1センチたりとも譲らない」と、よく凄むのだが、都合が悪くなってくると、領土を取引材料にして愧じない。領土くらいしか、取り引きの材料にできるものがないからでもあるが。



 その目で今のウクライナ情勢を見ると、そろそろロシアの方で――ウクライナでではなく――きな臭いにおい、あるいは分裂と崩壊の予感が漂い始めたかなと思う。西側の論壇でもそのことは指摘され始めており、やがて流行のテーマとなり、現実になるかもしれない。どういうことかと言うと――



 まずはっきり言って、ロシアのウクライナ作戦は先が見えない。

 2月24日攻撃開始時の作戦があまりにもまずかったせいで、ロシア軍は戦車を600両以上、将軍クラスの司令官を10人弱、失っている。ロシア陸軍が保有する戦車は全部で2400両、今回ウクライナに向けた将軍クラスの司令官は20名ほど。

 つまりウクライナ方面のロシア軍は、通常の作戦行動が不可能になるほどの打撃を受けている。そしてロシアの工業力では、迅速な補充は不可能だ。



 ウクライナ軍は守りに強い装備を持っている。米国などから提供されたスティンガーという「携帯ミサイル」(たった1人で持ち運び、発射ができる)で、ロシアのヘリコプターや軍用機を撃墜し、ジャヴェリンという同じく携帯ミサイルでロシア軍戦車を面白いように狙い撃ちできる。

 ウクライナ黒海沿岸に迫ったつもりのロシア揚陸艦は、ウクライナ軍に撃沈されたし、ロシア黒海艦隊の旗艦=司令艦「モスクワ」もウクライナ製ミサイルの餌食になって撃沈された。



 第1次世界大戦以来の戦車の時代は終焉を告げているのに、ロシア軍はそれに対応していないのだ。

 2010年代前半、5兆円相当も予算を上積みして装備を近代化したはずなのに、将軍たちのマインドは第2次世界大戦での成功体験から離れていなかったし、5兆円の相当部分を自分たちのポケットに入れてもいるのだろう。



 ロシア軍はキーウ周辺から引き揚げて、ウクライナ東部の完全制圧--これまでも一部を実効支配――に目標を転じた。戦車がもう効かないから、大砲で集中砲火を浴びせて、都市を「地表から消し去る」作戦に転ずるのだろう。しかし大砲を発射すると、その位置はウクライナ軍が米国からもらったレーダーで探知。ドローンも使ってその位置めがけて長距離砲、あるいはミサイルを発射して撃滅することができる。



 だからロシア軍はウクライナ東部を簡単に制圧できないし、悪くすると、これまで実効支配していた地域からさえ追い出されてしまうかもしれない。



 仮にウクライナ東部を制圧して停戦に至ったとしても、よたよたの勝利ぶりでは、ウクライナを中立化、武装解除することはできまい。ウクライナ東部と本体の間には山脈も大河もないので、ウクライナ政府軍は東部ウクライナ奪回の動きを止めないだろう。そして西側のロシア制裁は恒久的なものとなる。



 バイデンがプーチンに警告していたように、ロシア制裁は「前例のない破壊的な」ものである。ロシアの海外資産差し押さえを含むこの制裁は、宣戦布告一歩手前のものだが、ロシアは自分が不法な戦争を始めた手前、西側をなじる論拠に欠ける。



 制裁で主なものはまず、通貨ルーブルの弱体化。つまり米国、日本、西側諸国は、自国の銀行にロシアが預けているそれぞれの通貨(ロシアの外貨準備を様々な通貨でその国の銀行に預けてある)を凍結した。

 それはロシアの外貨準備総額の半分に相当する約3000億ドル。これでロシアは、ルーブル下落を防止する介入のための資金を大きく失った。



 制裁発表直後、ルーブルはドルに対して70ルーブル台から120ルーブル超へと暴落する。それでもロシアは金を中心に3000億ドル強の外貨準備を使えるし、今でも続くEU等への石油・天然ガス輸出の収入(禁輸が行わなければ最大で年間3000億ドル強)も得ている。



 そして3月末にはルーブルに対して金の交換を保証(金1グラムは5000ルーブルと定められた)。これでルーブルは現在、1ドルあたり70ルーブル台と、ウクライナ戦争以前の水準に近づいた。



 しかし、いつまでこれを続けられるかはわからない。EUは年末までにはロシア原油の輸入を停止し、天然ガスも段階的に削減していく方針を公表しているからだ。

 抜け道は既にいくつか開発されているが、ロシア原油・天然ガスの輸出量の低下は不可避だろう。おなじく制裁を受けているイランの場合、抜け道を使用しても、原油輸出は制裁以前の半分に減少している。



 ルーブル下落が起きると、ロシア国内のインフレは高進する。ロシアは耐久消費財のほぼすべて、そして生産財の一部を輸入に依存しているからだ。

 ロシア紙によれば、開戦後、ロシアの輸入額は59%の減少を示している。インフレ率は3月で年率15%。年末には30%になっておかしくない。大衆の実感インフレ率は2倍以上になるだろう。



 次に効いている制裁は、銀行間のグローバルな送金・決済を迅速にできる仕組みSWIFTからの放逐だ。

 SWIFTから放逐されても、貿易が全部止まるわけではない。しかし、輸出入の送金はそのつど相手の銀行に至る経路を自分で作らないといけなくなり、時間と費用がかかる。

 そして、ロシアで操業する外国資本は、ロシアで稼いだルーブルを海外へ送金しにくくなり、外国から入れる商品、部品の支払いも不安定になる。



 このために日本の企業も含めて、外国の企業は文字通りなだれを打って、ロシアでのビジネスを停止、あるいは終止。ロシアの議会では、これら企業の操業・雇用を維持するべく、接収と国営化、あるいは一時的な預託を検討している。

 しかし企業を経営できる人材はロシアで不足しており、機械・部品を西側から調達することができないので、どうしようもないだろう。



 最後のとどめは、ロシアの命綱である石油・ガスを無意味なものにしてしまおうという、西側の企てだ。石油と天然ガスは、それの採掘に対する課税、輸出に対する課税、輸出収入に対する課税などを総計すると、ロシア政府歳入の50%以上を占めてきた。

 この富から派生する商業等のサービスも含めて、ロシア経済はやっと韓国に伍する(人口は韓国の約3倍)程度のGDPを維持できている。



 EUは、年末までにはロシアの原油輸入を止めると宣言している。風評被害を恐れて、EUの企業はロシア原油の購入を既に控えている。

 ロシアは、EUに代わる大口の顧客を見つけることはできないし、買いたたかれることだろう。

 天然ガスはドイツが需要の半分近くをロシアに依存しているために、簡単には切れないが、湾岸、米国からのLNG輸入、そしてこれまでの方針を変えて原発、石炭発電を復活させることで、かなりの削減が可能になるだろう。



 そして長期的には、再生可能エネルギーが化石燃料にとって代わる。ロシアは化石燃料から「ブルー水素」やアンモニアを生産し、パイプラインなどで輸出を続けることはできるが、細々としたものになるだろう。



 現在、プーチン大統領の支持率はなんと90%に迫る。2014年クリミアを併合した直後と同じ。戦争の当初、国民は指導者の周りに結集するのだ。

 しかしクリミア併合の場合、ほぼ同時に原油価格が暴落、ルーブルも暴落してインフレが激化。2015年以降は、ロシア国民の実質可処分所得は右肩下がりとなる。支持率も同じで、ウクライナ戦争前には60%強にまで下がっていたのである。



 今回も同じことが起きるだろう。「石油依存経済」モデルが無効になりつつある今、ロシアが直面する危機は2014年の比ではない。



 2024年には大統領選挙がある。この状況だから、緊急事態を宣言して大統領選を無期延期しろという声もある。

 まるでミャンマー。しかし、それは国民の反発、世界からの非難を招くだろう。さりとて選挙を決行すれば、プーチンはもう当選できないかもしれない。昨年9月の下院総選挙では、野党の共産党が生活不満票を集めて勢力を大きく伸ばしている。



 因みに、こういう議論をすると西側では必ず、「リベラルで自由・民主主義を標榜する勢力の台頭」に期待するのだが、ロシアではこうした連中は10%もいるかどうか。国民は、1990年代、自由・民主主義と市場経済を標榜したエリツィン政権が大混乱を起こし、結局1998年8月デフォルトで任期途中の退陣――これで現れたのがプーチン――に至ったことを覚えている。リベラル勢力はロシアの主流にはなれないのだ。



 そして、国民全体のことを考え、周囲や部下に民主的に接することのできるリベラル指導者などは皆無なのである。たとえ権力をとっても、利権獲得に熱中し、ガバナンスは崩壊するだけ。経済が回っていないロシアでは、エゴの強い人間たちを1つにまとめておくためには、むき出しの力を使うしかないのである。



 だから、これまでプーチンの力の基盤になってきたシロビキたち、つまり公安警察や軍の連中は、プーチンに替わる神輿を探すことだろう。

 憲法上は、大統領が任期途中に退いた場合は、首相が代行に就任して3ヵ月以内に選挙を行う。



 ミシュースチン首相は国税庁長官出身で、配下に税務署という全国ネットワークを持ち、要人の秘密情報も握っている。しかし彼は、税務に経験が偏り過ぎる。国内引き締めを差配できる人物とも思えない。



 すると、大統領選挙をめがけて、自薦他薦、様々の者たちがうごめくことになるだろう。一部では、これまで育ってきた「傭兵会社」や、チェチェンなどの暴力組織を使って、政敵を「物理的に除く」動きも出てくるだろう。



 国の中央の権力は、1991年末、エリツィン・ロシア共和国大統領とゴルバチョフ・ソ連邦大統領の間の争いで宙ぶらりんの状態になったが、こうした中央権力の弱化がまた露になるかもしれない。

 そうなると、ロシア政治の重要な変数であるところの、「地方の動き」が問題になってくる。



 具体的には1991年末と同じ、ロシアという植民地帝国に残る異民族の自治共和国たち、あるいは有力州が自己主張を強めて、国家主権に等しい権限を簒奪し、税収を中央に送らないという現象が起き得る。シベリア鉄道など重要な物流の線が、これらの存在によって阻害されると、ロシアは1つの国として機能しなくなる。



 ロシアを怖れ、ロシアを見限る周辺諸国

 ソ連崩壊後、もともと西欧文明に属していたバルト3国はEU、NATOに入って、ロシアとは訣別したが(それでも国内のロシア系住民は大きな力を持っている)、その他の共和国は時にはロシアに盾突きながらも、貿易ではロシアへの依存関係を続けたし、一部の国にとってはロシア軍が頼りになる存在だった。



 ウクライナでさえ、最近までロシアが一番の貿易相手だったし、アルメニア、タジキスタンにはロシア軍師団が常駐して、同盟関係を維持してきた。キルギスにはロシア軍の空軍基地がある。「経済は中国でも、安全保障はロシアが切り札」というのが、中央アジアでは通り相場だった。



 それがおかしくなっている。ウクライナ戦争で、「ロシアは武力で侵入してくる恐ろしい国」、あるいは「ロシア軍は弱くて頼りにならない」という意識が広がっていることだろう。



 例えば、コーカサスのアゼルバイジャンは、もともとロシア傘下の「ユーラシア経済連合」、「集団安全保障条約機構」にも入らず、それでもロシアとは友好関係の維持に努めていたのだが、2020年10月、領内にあるアルメニアの飛び地「ナゴルノ・カラバフ」を奪還する戦争は、トルコ軍の支援を仰いでいる。

 トルコのドローンがアゼルバイジャンの戦勝に大きく貢献したし、軍の指揮は実質的にトルコ軍の将軍が行ったことを小泉悠氏は指摘している。



 ナゴルノ・カラバフ戦争の停戦後、ロシア軍はPKOとして停戦ラインを固めているのだが、アゼルバイジャンはこれを邪魔者視している。一方、アルメニアの方も、戦争ではロシア軍が何もしてくれなかった、とむくれている。

 「戦争はアルメニア領で起きたものではないから、ロシアに同盟義務はない」というのがロシアの説明。だからアルメニアは今年1月、長年外交関係も結ばずにきたトルコと、外交関係設定の話し合いを開始している。



 そして中央アジアのカザフスタン。この中央アジア随一のGDPを持つ大国の足元がどうも定まらない。

 ここでは1月に国内暴動が起きて、これをロシアなどからの平和維持軍の派遣を受けて収拾したのだが、カザフスタン政府はわずか1週間たらずでその平和維持軍を追い返す。カザフスタン北部は工業地帯で、ロシア人の住民が多いため、一度ロシア軍を入れると何をされるかわからないという機運が政府内に出たためだろうか。



 カザフスタンは以前から他の旧ソ連諸国と同様、ロシアのクリミア併合を認めていない。今年2月、ロシアはウクライナ東部のドネツ「人民共和国」とルガンスク「人民共和国」を国家承認したが、カザフスタンはこれも認めていない(このことは他の旧ソ連諸国も同様)。



 そして4月1日には大統領府次長のチムール・スレイメノフがEUに対して、「カザフスタンはロシア制裁の効果を突き崩すようなことはしない」と公言したのである。

 つまりEUがロシアへの輸出を禁じた物品が、カザフスタンをトンネルにしてロシアに行くようなことは認めないという意味で、カザフスタンは実質的にロシア制裁という踏み絵を踏んだのである。



 こうしてプーチンは、ソ連崩壊の力学をウクライナで止めようとして、かえってロシア崩壊のスイッチを押してしまったのかもしれない。中国、インドなどは当面、ロシアを守っているが、ロシアが沈んでいくにつれて、見放していくだろう。



 多極化時代とか無極化時代とか言われるが、自由・民主主義、そして市場経済を基本とする近代文明に浴するOECD諸国は、世界のGDPの半分以上を占めている。そしてウクライナ戦争のおかげで、これら諸国は結束を強めている。



 残りの諸国は中国、インド、ブラジル等々ばらばらで、それこそ無極状態にある。OECD諸国を中心に、自由・民主主義の維持、貿易・投資の自由化、集団安全保障体制の強化を進めていけばいいのだ。

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 引用以上



 長いが,河東哲夫の論説は、ロシアに関して、さまざまな評論があるなかで、もっとも信頼に足ると私は思う。経済に関しては加谷珪一を推す。

 河東の指摘は、今回の理由の薄弱な偽旗作戦による軍事侵攻は、周辺諸国、旧ソ連圏の国々の姿勢を硬直化させた。

 プーチン・ロシアが、膨張主義に呪われて、現代という時代の制約を見誤って、亡国の侵略戦争を行ってしまったという認識で一致しているとする。



 もうロシアには、核兵器や化学兵器による三日天下の勝利はあるかもしれないが、国家滅亡の道以外には残されていない。

 プーチンがロシア国民によって支持された最大の理由は、今世紀に入って、中国経済が飛躍的に発展したとき、そのエネルギー供給を行うことで、北朝鮮と同じように軍事絶対優先の愚かな貧乏国でありながら、石油ガス代金で潤い、ロシア民衆の負荷を減らしたことだった。



 ところが、今回の愚かな軍事侵攻で、世界中に警戒されて、もはやインドと中国以外にエネルギー供給ができなくなり、インドはアメリカの圧力によって、おそらくモディー首相が排除される可能性が高いので、中国とロシアによる旧東側連合しか残らなくなる。

 プーチンは、経済に関して、素人としか思えないと論評されている。

 プーチンという人物、その背後のFSBとロシア軍は、結局、核兵器と化学兵器の威力に対する信仰に頼った知的障害国家というわけだ。



 だからプーチンは、世界中から追い詰められる。経済は成り立たなくなる。軍事的にも劣勢に向かうしかない。

 それが鮮明になるのが5月だと考える。

 このとき、プーチンは核生物兵器の使用を命令することしか残されていない。

 中国、ロシア連合による第三次世界大戦が勃発すると考える以外、何の平和的手段の可能性も見えないのである。 

その便利さは、本当に便利なの?

2022年04月26日 | インポート


 弁証法なんて難しい理屈を持ち出さなくとも、我々の住む社会、世界、宇宙のすべてに陰陽、明暗、善悪、難易と、互いに対立する二面性があることくらい、誰だって直観的に理解している。



 「互いに対立する二つの性質があって、ひとつの現象が成立する。」

 例えば、我々が自分の目で、世界を見ようとするとき、光の存在によって視覚が成立するのだが、このとき、光だけあっても視覚は成り立たない。必ず暗黒と同時にあって、光の濃淡→視力が成立する。どちらか一方だけあっても、視力は成立しないのだ。



 社会のなかで「良い人」がいたとして、それは自分にとって良い人であっても、別の人にとっては、同じ理由で「悪い人」でもある。この世には、すべての人にとっての「良い人」は存在しない。

 いつでも、存在は対立する二つの側面をもっている。



 すべての存在、すべてのできごと(事象)に、そうした対立した側面があって、「ものごとは二面性を持っている」ということができる。

 そこで、我々が生きてゆく上で、ものごとを「知る」ということの本当の意味は、この対立する両者の関係性を理解することということができる。



 ひとつの良いことがあれば、必ず悪いことも同時に成立している。

 だから「便利さ」という価値があるとすれば、それは同時に「便利でない」という反対価値とともに成立しているというのが、「ものごとの本質を知る」ということだ。

 「本質」というのは、その事象を成立させている、対立する二つの側面を知るということの意味である。



 今回は、「便利さ」という価値が、どのように成立しているのかを具体例で見ながら、「便利であれば、いいもんじゃないよ」という本質を理解したいと思う。

 私は、若い頃「民俗学」に凝っていたので、民衆の生活史を考えながら、「ものごとの本質」つまり、対立する二つの側面について考え続けてきた。



 近代史上、もっとも「便利」な革命といわれる発明は、たくさんあるが、わけても、自動車と電灯、それにコンピュータ、原子力が人類史上、もっとも強烈な意味を持っている。



 エジソンが電球を発明したのが、1879年(明治12年)で、わずか7年後の1886年には、日本で最初の電気供給会社が成立し、明治末には、白熱電球が広く日本社会にも普及した。

 このことをもって、「真の近代」が始まったと考える人も多い。



 この「電球=人工光源」の普及によって、民衆生活は、有史以来最大級の革命を起こした。

 何が起きたかといえば、それまでは朝、薄明るくなる頃に起き出して、仕事を始め、薄暗くなると仕事をやめざるをえず、夜は長い休息の時間だった。

 石油ランプや行灯のような照明器具もあったが、光量は小さく、針仕事や商品の製作製造など精密な仕事をするのは容易ではなかった。暗くなってしまえば、台所で食事を作ることも困難だった。



 だが、電球の導入によって、ライフスタイルは一変した。人間の活動できる時間が、それまでの、せいぜい12時間から一気に24時間になった。

 おおむね、大正時代が始まってから、日本人は電灯のなかで長い時間を得ることになった。



 それからというもの、資本主義の金儲けの圧力が働く社会では、人々の労働時間が、どんどん増えていった。女工哀史などに描かれている世界では、15歳の少女が、紡績工場で一日16時間も働かされるのが普通になった。



 それまで、時間的な制約から、日本人は二食主義だったものが、明るさの延長によって、三食主義に変わっていった。長時間の重労働では、食べなければ体も持たないから。

 こうして、日本人の労働時間は、電灯の普及によって飛躍的に長くなった。

 だが、これによって利益が増えて喜んだのは、資本家だけだった。



 労働者にとっては、「暗くなったら休息する」という、人類成立以来の習慣が破壊され、苛酷な重労働によって、体も心も蝕まれる時代がやってきた。

 休息を奪われた人々は、いつでも過労が重くのしかかる人生になってしまい、人生は楽しいものでなく、苦しいものという時代がやってきた。

 しかし資本家が儲けるため「仕事をしろ」という社会的な同調圧力が作られて、人々の生活は奴隷になってしまった。



 ここで、振り返ると、電球は人間社会に飛躍的な便利さをもたらしたが、それは「良いこと」である反面、人々に「働き過ぎ」による苛酷社会をもたらしたという「悪いこと」をもたらしたのであって、これが「便利さ」の互いに対立する二面性である。



 その頃、近代産業地帯では、鉄道や自動車が発明され、人々は移動の労力を軽減されることになった。

 これも、「便利になった」わけだが、それは同時に、歩かなくなったことによる筋力の低下や、糖尿病や痛風など、生活習慣病を広く普及させることになった。

 人々が長時間の歩行を強いられた時代、糖尿病など存在できなかった。また、歩くことによって得られる健康維持効果も失われていった。

 また、自動車排気ガスは、ナチスドイツが自国民障害者の殺戮に使用しただけでなく、世界中の大気汚染の重要な要素となっている。



 原子力発電は、1940年代に、アメリカが原爆開発のために始めた。「平和利用の発電」という分野も、たぶん「殺戮兵器のための施設」という悪魔的なイメージを美化しつつ、核爆弾の原料を蓄積したいという計画から生まれたものだ。

 その証拠に、世界中の初期の原発は、BWR・PWR発電炉が完成していたにもかかわらず、プルトニウム製造に効率的な黒鉛減速炉を導入する権力者が多かった。

 日本でも、正力松太郎が最初に導入した東海原発も、プルトニウム生産用の黒鉛減速炉だった。



 原発は、「安価な原料で莫大な電力を生み出す」という宣伝が行われたが、そこには事故を起こしたときの超巨額の始末費用や、核燃料廃棄物の数万年という恐ろしい巨額の超長期保管費用は含まれていなかった。

 また、原発は通常運転であっても、周辺住民に心筋梗塞や癌をもたらす恐ろしい存在である。



 ビルゲイツやアルゴア(ダボス会議主宰組)らが、二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーと称して、原発を今の数十倍に増やそうとしているが、その原発が、人類の遺伝子に作用して滅亡に誘う放射能汚染の源であり、事故を起こせば、国家予算を超えるほどの凄まじい費用がかかり、数十万年もかかって核廃棄物を処分するトイレさえ確立していない、大量人殺し兵器のためのものであることは隠されている。

 これもまた、二面性の最たるものだ。原発がクリーンエネルギーだって? どの口がそういう?



 現代社会に、最大のインパクト、大革命を与えたコンピュータAIについても、「便利さ」ばかりが強調されて、あたかも未来はコンピュータによって担われるとの宣伝を盲信している人が多いが、真実はとんでもないウソだ。

 コンピュータは、そもそも弾道計算機ENIACから出発したように、本当に役立つのは、戦争と戦争ゲームだけだ。それも、EMP爆弾が爆発するまでの間だけだ。

 https://sabage-archive.com/blog/archives/18655



 あらゆる管理システムがコンピュータによって行われ、AIによって生産が管理される社会になったが、それが、どれほど脆弱なシステム=砂上の楼閣にすぎないかを認識している人は少ない。

 それは「電気」という媒体に頼っていることの宿命なのだ。



 電気や電気信号というものは、いつでも誘導電流という存在によって危機に晒されている。

  それは、太陽活動によってX100~1000という黒点フレアが発生し、太陽風が地球軌道に照射されると、磁場が凄まじい誘導電流を引き起こし、地球上のあらゆる電気・電子機器を完全に破壊してしまう。

 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/pdf/006_02_02_12.pdf



 X100級フレアは、数十年に一度発生しているが、これまでは、たまたま地球軌道を直撃しなかっただけで、それは偶然にすぎない。それどころか、NASAは、今後、発生する可能性が強い巨大フレアによって、人類滅亡のリスクは核戦争より大きいと言っている。

 https://www.gizmodo.jp/2016/05/solarstorm_nasa_4.html



 今、我々は、プーチンロシアの無謀な軍事侵攻によって、核戦争のリスク=日本滅亡に晒されているわけだが、それによって人類が滅亡する確率と、巨大太陽風によって滅亡する確率は、それほど大きな差がないらしい。

だが、両者とも、我々の想像をはるかに超える高い確率なのだ。



 さて、EMP核爆弾が上空で爆発するか、X100フレアが地球を直撃すると、上空に巨大な磁場が生成されて、それが地上のあらゆる金属に誘導電流(サージ電流)をもたらす。

 例え電気が通ってなくても、コンピュータのような超微小回路はサージ電流によって焼き切れてしまうので、永遠に使用不能になる。

 また、大きな変圧コイルもまた、まともに破壊されるが、電気機器の多くは電源遮断によって助かる可能性もある。

 しかし戦争は突発的なので対応が間に合わないだろう。完全復旧までは10年もかかりそうだ。



 このように、「便利」になることの代償は極めて大きい。便利になったからといって、それが永遠に社会に貢献するとは限らず、逆に、不便だった方が結果が良いと思われるものも多いのだ。



 EMP核爆弾や巨大フレアによるサージ電流は、ほぼすべての電子機器を破壊し、コンピュータどころか、たぶん車も動かない。それは時代を一気に100年も引き戻すのだ。

 我々は、いきなり明治前半の時代環境へとワープさせられる。

 そうなれば、コンピュータやAIなどなかった方が良かったと思うだろう。



 耕運機など農業機械に頼る農作も、突然、機械が動かなくなれば、人手でやるしかないが、これまで楽ちんしてきたツケは大きい。

 私は、カルチベータが二台とも壊れたので、今年の春はスコップで耕耘したが、もの凄い重労働で、本当に大変な思いをした。これが数千坪だと、とても意欲が湧かない。

 だが、昔は、みんな鍬一本で粘り強く開墾したのだ。今、これを再現しろといわれても、できる人は少ないだろう。



 しかし、「便利さ」というものが、突然崩壊して、元通りの不便な生活を忍ばねばばらなくなったとき、便利さを当然のものとして頼り切ってきた我々には、とてつもない落とし穴が待っている。

 プーチンのサルマト核ミサイルが日本列島を直撃した後に、もしも生き残ったとすれば、我々は便利すぎた時代を呪うことになるかもしれない。



 コンピュータなど、糞の役にも立たないガラクタに変わる時代が、そこまで来ているかもしれない。もし車が使えなくなれば、頼りになるのは、自分の足だけだ。

 あなたは、その足に自信があるか?

 耕耘するための腕力があるか? コンピュータに頼り切って劣化した思考能力が元通りになるのか?



 すべての事物現象(ものごと)には、必ず対立する二面性がある。我々は、その二面を深く理解し、得られる便利さが、どんなデメリットをもたらすのか、もし便利さが喪失したなら、どんな困難がやってくるのか?

 その対策を深く考え、持続可能な子供たちの未来を作り出していかねばならない。