プーチンロシアの歴史は、自作自演のテロを行う偽旗作戦の歴史である。
今回のウクライナ侵略でも、ロシアがウクライナを攻撃する理由が、ウクライナ側にあるかのような徹底した偽旗作戦を実行してきた。
https://gigazine.net/news/20220225-russia-false-flag-attack/
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68940
https://re-sho.com/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%81%8A%E5%AE%B6%E8%8A%B8%E3%80%8C%E5%81%BD%E6%97%97%E4%BD%9C%E6%88%A6%E3%80%8D%E3%82%92%E9%A8%99%E3%81%95%E3%82%8C%E4%BF%A1%E3%81%98%E8%BE%BC%E3%82%80%E4%BA%BA/
実は、「偽旗作戦」の元祖、本家といえば、アメリカであって、有名なところでは、太平洋戦争の引き金になった真珠湾攻撃。
https://ameblo.jp/horehore-oo7/entry-12658511277.html
ベトナム戦争北爆の理由付けにされたトンキン湾事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E6%B9%BE%E4%BA%8B%E4%BB%B6
それに911テロ、暴虐イスラム国の活動も、偽旗作戦だといわれている。
https://open.mixi.jp/user/14949337/diary/1953894827
実は、アメリカのこうした卑劣な偽旗作戦の根幹には、アメリカ国家を創立以来支配し続けてきたユダヤ人がいる。
そして、プーチンロシアの偽旗作戦にも、プーチンを含めたユダヤ人がいる。
「偽旗作戦」というのは、旧約聖書 創世記34章に描かれた、ユダヤ人の教科書に描かれているのだ。
https://www.wordproject.org/bibles/jp/01/34.htm
ヤコブの娘デナはシケム強姦され求婚されたが、ヤコブはシケムの一族に「割礼したなら結婚を許す」とウソを言って、一族の男全員が割礼して痛みに苦しんでいる最中に襲い、皆殺しにして、あらゆる財物を奪った。
ユダヤ人(アシュケナージ)は、13歳まで(女子は11歳)に「バルミツバ」という元服儀式を受けるが、このとき、旧約聖書トーラー五書を完全暗記し、ラビの前で滞りなく暗誦することを要求される。合格しなければ成人は認められない。
つまり、子供のうちに、上のように陰謀で他部族を皆殺しにする教書を刷り込まれることになっている。
だから、こうした偽旗作戦は、すべてのユダヤ人に、幼い内から刷り込まれているので、大人になっても抵抗なく行える仕組みなのである。
「ユダヤ人は平気で嘘をつく」といわれ、憎悪の対象になってボグロムという集団虐殺に遭ってきた背景には、こうした旧約聖書の教えがあると考える必要がある。
そのユダヤ人=プーチンを大統領選挙で勝利させたのは、1999年にモスクワで発生した、チェチェン人のせいとした同胞300名を殺した偽旗作戦である。
ロシア高層アパート連続爆破事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E9%AB%98%E5%B1%A4%E3%82%A2%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E9%80%A3%E7%B6%9A%E7%88%86%E7%A0%B4%E4%BA%8B%E4%BB%B6
この事件では、報道されているように、現場の監視カメラに、プーチンがトップだったFSBの車両が写っていて、実行者がFSB工作員であることは確実であるとされた。
しかし、プーチンは、FSBの武力、陰謀を使ってロシアのメディアを操作し、チェチェン人テロリストの仕業に見せかけ、民衆の憎悪感情を、チェチェン人攻撃に向かわせ、あたかも「正義の味方」のようにふるまって、大統領選に勝利したのである。
以来、プーチンは20年以上、ロシアのトップに君臨し続けてきたが、これほど長期の独裁政権を維持するために、FSBを使った恫喝、拷問、殺人、テロを数限りなく繰り返した。最近では反体制活動家ナリヌワイが、その犠牲者となった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%83%AF%E3%83%AA%E3%83%8C%E3%82%A4
プーチンの指示で殺害されたロシアジャーナリストは、アンナ・ポリトコフスカヤを含めて数十名に及ぶといわれている。
https://globe.asahi.com/article/13668764
このようなロシアの体質については、駐ロ大使だった河東哲夫が良い記事を書いているので紹介したい。
ロシア、崩壊の予感――すでに周辺諸国の離反が始まっている 2022年4月27日
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94678
以下全文引用
ロシアという国は、まるでローマ帝国さながら、モスクワ大公国という小さな都市国家から出発して、17世紀にやっとウラル山脈を越え、1860年にウラジオストックとその周辺の沿海地方を清朝から取り上げて、現在の版図を作った存在。
その間、自由と民主主義、市場経済という近代文明が定着することはなかった。いつも力で社会を抑えつけては停滞を強め、その結果戦争で敗北したり、大衆、地方、あるいは周辺衛星諸国の離反を招いて自壊する。
19世紀半ばのクリミア戦争では、産業革命で近代化した英国、フランス軍への劣勢を暴露して、1861年農奴解放令を発布するが、皇帝アレクサンドル2世は革命勢力に暗殺されてしまい、国は再び保守締め付けへと戻った。
1905年2月、日露戦争がロシア劣勢で展開する中、生活悪化に不満を強めた大衆が首都サンクト・ペテルブルクで陳情行進をし、これに軍隊が発砲する「血の日曜日」事件が起こる。これは全国に飛び火し、皇帝ニコライ2世は結局、議会(お印だけの)の創設を認めるのである。
1917年のロシア革命で権力を掌握したレーニンは、第1次世界大戦から足を洗って国内征圧に専念するべく、領土を大幅に譲ってドイツと講和し、極東では1920年から「極東共和国」を独立させて、シベリアに出兵した日本との緩衝国とする。
そして近々では、1991年8月、モスクワでの保守派クーデター失敗を受けて、ソ連の一部に過ぎないロシア共和国の大統領エリツィンが台頭。ソ連の諸共和国には「主権を欲しいだけ取れ」とけしかけ、ロシア共和国の地方には税収を連邦の国庫には送らないようけしかけて、ソ連邦大統領のゴルバチョフ追い落としをはかったのである。
その年の末になると、連邦諸省庁は職員への給与支払いにも事欠き、幹部は次々にロシア共和国の省庁へと移っていった。その年の12月、エリツィンは自分と同格、ソ連の一部のベラルーシ、ウクライナの首長とかたらって、「ソ連の消滅」を一方的に宣言。ソ連は解体して、今に至るのだ。
つまりロシア人は、一度手に入れた領土は「1センチたりとも譲らない」と、よく凄むのだが、都合が悪くなってくると、領土を取引材料にして愧じない。領土くらいしか、取り引きの材料にできるものがないからでもあるが。
その目で今のウクライナ情勢を見ると、そろそろロシアの方で――ウクライナでではなく――きな臭いにおい、あるいは分裂と崩壊の予感が漂い始めたかなと思う。西側の論壇でもそのことは指摘され始めており、やがて流行のテーマとなり、現実になるかもしれない。どういうことかと言うと――
まずはっきり言って、ロシアのウクライナ作戦は先が見えない。
2月24日攻撃開始時の作戦があまりにもまずかったせいで、ロシア軍は戦車を600両以上、将軍クラスの司令官を10人弱、失っている。ロシア陸軍が保有する戦車は全部で2400両、今回ウクライナに向けた将軍クラスの司令官は20名ほど。
つまりウクライナ方面のロシア軍は、通常の作戦行動が不可能になるほどの打撃を受けている。そしてロシアの工業力では、迅速な補充は不可能だ。
ウクライナ軍は守りに強い装備を持っている。米国などから提供されたスティンガーという「携帯ミサイル」(たった1人で持ち運び、発射ができる)で、ロシアのヘリコプターや軍用機を撃墜し、ジャヴェリンという同じく携帯ミサイルでロシア軍戦車を面白いように狙い撃ちできる。
ウクライナ黒海沿岸に迫ったつもりのロシア揚陸艦は、ウクライナ軍に撃沈されたし、ロシア黒海艦隊の旗艦=司令艦「モスクワ」もウクライナ製ミサイルの餌食になって撃沈された。
第1次世界大戦以来の戦車の時代は終焉を告げているのに、ロシア軍はそれに対応していないのだ。
2010年代前半、5兆円相当も予算を上積みして装備を近代化したはずなのに、将軍たちのマインドは第2次世界大戦での成功体験から離れていなかったし、5兆円の相当部分を自分たちのポケットに入れてもいるのだろう。
ロシア軍はキーウ周辺から引き揚げて、ウクライナ東部の完全制圧--これまでも一部を実効支配――に目標を転じた。戦車がもう効かないから、大砲で集中砲火を浴びせて、都市を「地表から消し去る」作戦に転ずるのだろう。しかし大砲を発射すると、その位置はウクライナ軍が米国からもらったレーダーで探知。ドローンも使ってその位置めがけて長距離砲、あるいはミサイルを発射して撃滅することができる。
だからロシア軍はウクライナ東部を簡単に制圧できないし、悪くすると、これまで実効支配していた地域からさえ追い出されてしまうかもしれない。
仮にウクライナ東部を制圧して停戦に至ったとしても、よたよたの勝利ぶりでは、ウクライナを中立化、武装解除することはできまい。ウクライナ東部と本体の間には山脈も大河もないので、ウクライナ政府軍は東部ウクライナ奪回の動きを止めないだろう。そして西側のロシア制裁は恒久的なものとなる。
バイデンがプーチンに警告していたように、ロシア制裁は「前例のない破壊的な」ものである。ロシアの海外資産差し押さえを含むこの制裁は、宣戦布告一歩手前のものだが、ロシアは自分が不法な戦争を始めた手前、西側をなじる論拠に欠ける。
制裁で主なものはまず、通貨ルーブルの弱体化。つまり米国、日本、西側諸国は、自国の銀行にロシアが預けているそれぞれの通貨(ロシアの外貨準備を様々な通貨でその国の銀行に預けてある)を凍結した。
それはロシアの外貨準備総額の半分に相当する約3000億ドル。これでロシアは、ルーブル下落を防止する介入のための資金を大きく失った。
制裁発表直後、ルーブルはドルに対して70ルーブル台から120ルーブル超へと暴落する。それでもロシアは金を中心に3000億ドル強の外貨準備を使えるし、今でも続くEU等への石油・天然ガス輸出の収入(禁輸が行わなければ最大で年間3000億ドル強)も得ている。
そして3月末にはルーブルに対して金の交換を保証(金1グラムは5000ルーブルと定められた)。これでルーブルは現在、1ドルあたり70ルーブル台と、ウクライナ戦争以前の水準に近づいた。
しかし、いつまでこれを続けられるかはわからない。EUは年末までにはロシア原油の輸入を停止し、天然ガスも段階的に削減していく方針を公表しているからだ。
抜け道は既にいくつか開発されているが、ロシア原油・天然ガスの輸出量の低下は不可避だろう。おなじく制裁を受けているイランの場合、抜け道を使用しても、原油輸出は制裁以前の半分に減少している。
ルーブル下落が起きると、ロシア国内のインフレは高進する。ロシアは耐久消費財のほぼすべて、そして生産財の一部を輸入に依存しているからだ。
ロシア紙によれば、開戦後、ロシアの輸入額は59%の減少を示している。インフレ率は3月で年率15%。年末には30%になっておかしくない。大衆の実感インフレ率は2倍以上になるだろう。
次に効いている制裁は、銀行間のグローバルな送金・決済を迅速にできる仕組みSWIFTからの放逐だ。
SWIFTから放逐されても、貿易が全部止まるわけではない。しかし、輸出入の送金はそのつど相手の銀行に至る経路を自分で作らないといけなくなり、時間と費用がかかる。
そして、ロシアで操業する外国資本は、ロシアで稼いだルーブルを海外へ送金しにくくなり、外国から入れる商品、部品の支払いも不安定になる。
このために日本の企業も含めて、外国の企業は文字通りなだれを打って、ロシアでのビジネスを停止、あるいは終止。ロシアの議会では、これら企業の操業・雇用を維持するべく、接収と国営化、あるいは一時的な預託を検討している。
しかし企業を経営できる人材はロシアで不足しており、機械・部品を西側から調達することができないので、どうしようもないだろう。
最後のとどめは、ロシアの命綱である石油・ガスを無意味なものにしてしまおうという、西側の企てだ。石油と天然ガスは、それの採掘に対する課税、輸出に対する課税、輸出収入に対する課税などを総計すると、ロシア政府歳入の50%以上を占めてきた。
この富から派生する商業等のサービスも含めて、ロシア経済はやっと韓国に伍する(人口は韓国の約3倍)程度のGDPを維持できている。
EUは、年末までにはロシアの原油輸入を止めると宣言している。風評被害を恐れて、EUの企業はロシア原油の購入を既に控えている。
ロシアは、EUに代わる大口の顧客を見つけることはできないし、買いたたかれることだろう。
天然ガスはドイツが需要の半分近くをロシアに依存しているために、簡単には切れないが、湾岸、米国からのLNG輸入、そしてこれまでの方針を変えて原発、石炭発電を復活させることで、かなりの削減が可能になるだろう。
そして長期的には、再生可能エネルギーが化石燃料にとって代わる。ロシアは化石燃料から「ブルー水素」やアンモニアを生産し、パイプラインなどで輸出を続けることはできるが、細々としたものになるだろう。
現在、プーチン大統領の支持率はなんと90%に迫る。2014年クリミアを併合した直後と同じ。戦争の当初、国民は指導者の周りに結集するのだ。
しかしクリミア併合の場合、ほぼ同時に原油価格が暴落、ルーブルも暴落してインフレが激化。2015年以降は、ロシア国民の実質可処分所得は右肩下がりとなる。支持率も同じで、ウクライナ戦争前には60%強にまで下がっていたのである。
今回も同じことが起きるだろう。「石油依存経済」モデルが無効になりつつある今、ロシアが直面する危機は2014年の比ではない。
2024年には大統領選挙がある。この状況だから、緊急事態を宣言して大統領選を無期延期しろという声もある。
まるでミャンマー。しかし、それは国民の反発、世界からの非難を招くだろう。さりとて選挙を決行すれば、プーチンはもう当選できないかもしれない。昨年9月の下院総選挙では、野党の共産党が生活不満票を集めて勢力を大きく伸ばしている。
因みに、こういう議論をすると西側では必ず、「リベラルで自由・民主主義を標榜する勢力の台頭」に期待するのだが、ロシアではこうした連中は10%もいるかどうか。国民は、1990年代、自由・民主主義と市場経済を標榜したエリツィン政権が大混乱を起こし、結局1998年8月デフォルトで任期途中の退陣――これで現れたのがプーチン――に至ったことを覚えている。リベラル勢力はロシアの主流にはなれないのだ。
そして、国民全体のことを考え、周囲や部下に民主的に接することのできるリベラル指導者などは皆無なのである。たとえ権力をとっても、利権獲得に熱中し、ガバナンスは崩壊するだけ。経済が回っていないロシアでは、エゴの強い人間たちを1つにまとめておくためには、むき出しの力を使うしかないのである。
だから、これまでプーチンの力の基盤になってきたシロビキたち、つまり公安警察や軍の連中は、プーチンに替わる神輿を探すことだろう。
憲法上は、大統領が任期途中に退いた場合は、首相が代行に就任して3ヵ月以内に選挙を行う。
ミシュースチン首相は国税庁長官出身で、配下に税務署という全国ネットワークを持ち、要人の秘密情報も握っている。しかし彼は、税務に経験が偏り過ぎる。国内引き締めを差配できる人物とも思えない。
すると、大統領選挙をめがけて、自薦他薦、様々の者たちがうごめくことになるだろう。一部では、これまで育ってきた「傭兵会社」や、チェチェンなどの暴力組織を使って、政敵を「物理的に除く」動きも出てくるだろう。
国の中央の権力は、1991年末、エリツィン・ロシア共和国大統領とゴルバチョフ・ソ連邦大統領の間の争いで宙ぶらりんの状態になったが、こうした中央権力の弱化がまた露になるかもしれない。
そうなると、ロシア政治の重要な変数であるところの、「地方の動き」が問題になってくる。
具体的には1991年末と同じ、ロシアという植民地帝国に残る異民族の自治共和国たち、あるいは有力州が自己主張を強めて、国家主権に等しい権限を簒奪し、税収を中央に送らないという現象が起き得る。シベリア鉄道など重要な物流の線が、これらの存在によって阻害されると、ロシアは1つの国として機能しなくなる。
ロシアを怖れ、ロシアを見限る周辺諸国
ソ連崩壊後、もともと西欧文明に属していたバルト3国はEU、NATOに入って、ロシアとは訣別したが(それでも国内のロシア系住民は大きな力を持っている)、その他の共和国は時にはロシアに盾突きながらも、貿易ではロシアへの依存関係を続けたし、一部の国にとってはロシア軍が頼りになる存在だった。
ウクライナでさえ、最近までロシアが一番の貿易相手だったし、アルメニア、タジキスタンにはロシア軍師団が常駐して、同盟関係を維持してきた。キルギスにはロシア軍の空軍基地がある。「経済は中国でも、安全保障はロシアが切り札」というのが、中央アジアでは通り相場だった。
それがおかしくなっている。ウクライナ戦争で、「ロシアは武力で侵入してくる恐ろしい国」、あるいは「ロシア軍は弱くて頼りにならない」という意識が広がっていることだろう。
例えば、コーカサスのアゼルバイジャンは、もともとロシア傘下の「ユーラシア経済連合」、「集団安全保障条約機構」にも入らず、それでもロシアとは友好関係の維持に努めていたのだが、2020年10月、領内にあるアルメニアの飛び地「ナゴルノ・カラバフ」を奪還する戦争は、トルコ軍の支援を仰いでいる。
トルコのドローンがアゼルバイジャンの戦勝に大きく貢献したし、軍の指揮は実質的にトルコ軍の将軍が行ったことを小泉悠氏は指摘している。
ナゴルノ・カラバフ戦争の停戦後、ロシア軍はPKOとして停戦ラインを固めているのだが、アゼルバイジャンはこれを邪魔者視している。一方、アルメニアの方も、戦争ではロシア軍が何もしてくれなかった、とむくれている。
「戦争はアルメニア領で起きたものではないから、ロシアに同盟義務はない」というのがロシアの説明。だからアルメニアは今年1月、長年外交関係も結ばずにきたトルコと、外交関係設定の話し合いを開始している。
そして中央アジアのカザフスタン。この中央アジア随一のGDPを持つ大国の足元がどうも定まらない。
ここでは1月に国内暴動が起きて、これをロシアなどからの平和維持軍の派遣を受けて収拾したのだが、カザフスタン政府はわずか1週間たらずでその平和維持軍を追い返す。カザフスタン北部は工業地帯で、ロシア人の住民が多いため、一度ロシア軍を入れると何をされるかわからないという機運が政府内に出たためだろうか。
カザフスタンは以前から他の旧ソ連諸国と同様、ロシアのクリミア併合を認めていない。今年2月、ロシアはウクライナ東部のドネツ「人民共和国」とルガンスク「人民共和国」を国家承認したが、カザフスタンはこれも認めていない(このことは他の旧ソ連諸国も同様)。
そして4月1日には大統領府次長のチムール・スレイメノフがEUに対して、「カザフスタンはロシア制裁の効果を突き崩すようなことはしない」と公言したのである。
つまりEUがロシアへの輸出を禁じた物品が、カザフスタンをトンネルにしてロシアに行くようなことは認めないという意味で、カザフスタンは実質的にロシア制裁という踏み絵を踏んだのである。
こうしてプーチンは、ソ連崩壊の力学をウクライナで止めようとして、かえってロシア崩壊のスイッチを押してしまったのかもしれない。中国、インドなどは当面、ロシアを守っているが、ロシアが沈んでいくにつれて、見放していくだろう。
多極化時代とか無極化時代とか言われるが、自由・民主主義、そして市場経済を基本とする近代文明に浴するOECD諸国は、世界のGDPの半分以上を占めている。そしてウクライナ戦争のおかげで、これら諸国は結束を強めている。
残りの諸国は中国、インド、ブラジル等々ばらばらで、それこそ無極状態にある。OECD諸国を中心に、自由・民主主義の維持、貿易・投資の自由化、集団安全保障体制の強化を進めていけばいいのだ。
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引用以上
長いが,河東哲夫の論説は、ロシアに関して、さまざまな評論があるなかで、もっとも信頼に足ると私は思う。経済に関しては加谷珪一を推す。
河東の指摘は、今回の理由の薄弱な偽旗作戦による軍事侵攻は、周辺諸国、旧ソ連圏の国々の姿勢を硬直化させた。
プーチン・ロシアが、膨張主義に呪われて、現代という時代の制約を見誤って、亡国の侵略戦争を行ってしまったという認識で一致しているとする。
もうロシアには、核兵器や化学兵器による三日天下の勝利はあるかもしれないが、国家滅亡の道以外には残されていない。
プーチンがロシア国民によって支持された最大の理由は、今世紀に入って、中国経済が飛躍的に発展したとき、そのエネルギー供給を行うことで、北朝鮮と同じように軍事絶対優先の愚かな貧乏国でありながら、石油ガス代金で潤い、ロシア民衆の負荷を減らしたことだった。
ところが、今回の愚かな軍事侵攻で、世界中に警戒されて、もはやインドと中国以外にエネルギー供給ができなくなり、インドはアメリカの圧力によって、おそらくモディー首相が排除される可能性が高いので、中国とロシアによる旧東側連合しか残らなくなる。
プーチンは、経済に関して、素人としか思えないと論評されている。
プーチンという人物、その背後のFSBとロシア軍は、結局、核兵器と化学兵器の威力に対する信仰に頼った知的障害国家というわけだ。
だからプーチンは、世界中から追い詰められる。経済は成り立たなくなる。軍事的にも劣勢に向かうしかない。
それが鮮明になるのが5月だと考える。
このとき、プーチンは核生物兵器の使用を命令することしか残されていない。
中国、ロシア連合による第三次世界大戦が勃発すると考える以外、何の平和的手段の可能性も見えないのである。