包丁のトギノン ブログ

トギノン販売有限会社 包丁の製造販売店のブログです

先人達の知恵

2010-04-09 | 包丁について(総合)
-先人達の知恵について-

先日、NET上でショッキングな記事を見つけました。

それは、電子レンジで加熱しすぎたり、温め直した食材に健康被害があるというものでした。
詳しく調べてみると、何度も温め直した物や加熱しすぎた食材は油が酸化しすぎるとのこと。
油が酸化しすぎると「過酸化脂質」となり体内に入ると活性酸素をばらまきガンや動脈硬化などの成人病を併発するおそれが高まるそうです。
*「過酸化脂質」はコレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化された物の総称。

で、昔とどう違うのかと私なりに調べてみると...。
昔は電子レンジなんてありませんから、加熱するのには焼き直しや煮直しなどになります。
結局、今も昔も加熱するのだからどこが違うのか?と思っていたら調理方法に秘密があるそうで、昔は(電子レンジを使わない調理法)暖め直すとき水分やお酒などを追加したりすることで酸化の度合いをやわらげていたのです。
そういえば、揚げ物にレモンや大根おろしなどをかけて食べるのも酸化を防ぐからなんですね。(より酸化しやすい素材が酸化することで防酸化の役割を果たす)

昔の人は経験などからこうした知恵を自然と身につけていたのですね。全てに意味がある!
昔から構造やスタイルが変わらない物って結構ありますが、あれは1つの完成された究極のカタチなのでしょう。
いまさらながら、時代が変わっても変わらない物に先人達の知恵を思い知らされました。

私どもはモノづくりをしております。
目新しい技術だけで作るのではなく、こうした先人達の知恵を活かした新しいスタイルを提案できる商品の開発を目指して行きたいと思いました。


話は変わりますが、日本刀について小話を。
先日、私の友人に日本刀はどうやって研いだりするのか?と聞かれました。

日本刀は曇り取りくらいなら、打粉を付けて拭き上げる方法を取ります。
(刃の部分に白っぽいパウダーをポン、ポンとする。皆さんTVなどでよく見かけたことのあるのではないでしょうか。)
しっかり研ぐときは柄と刃を取り外して研ぎます。
そこで友人が「日本刀の柄って簡単に取り外せるモノなのか?」と。
私は日本刀には「目釘」というモノが柄についておりこれを抜くことで柄と刃をばらすことが出来ると伝えました。

これにより金属部位のみとなった刃は作業性が上がり思う存分に刃先だけでなく刀身全体を研げるわけです。
(刃先だけではすぐ切れなくなりますから、刀身の肉厚を落とすような研ぎが必要。)
研ぐと大量の研ぎ粉や水分などが付着してしまう。柄にそれらが付くと劣化してしまうのを防ぐためもあるのかな?
また刃物自体、古来は柄は悪くなったら交換するモノという意識がありましたよ。
とお話ししました。

刃物のまち関、刀匠の里などと呼ばれる岐阜県関市に在住する友人もよく知らなかったようで驚いていましたね。

それでは、また。