自然を愛して

田舎暮らし

再興第102回日本美術院展覧会 島根県(西)展

2018-06-12 20:28:57 | Weblog
5月12日(土)~6月3日(日)まで江津市桜江町川戸にある今井美術館で日本美術院展覧会が開催されました。
全線廃止されたJR三江線にある小さな美術館に今年も夫の運転で新緑風景を楽しみながら出かけました。
同人の作品、受賞作品及び入選作品67点が展示されじっくり鑑賞しました。
好きな作品
「早晨氷結する湖」 下田 義弘
富士山を良く描かれる画家は昨年、今年も青色を使い描かれています。
日本一の富士山はどこから見ても素晴らしく、特に山梨県にある富士五湖のなかで最大の面積を持つ山中湖から見る
湖面に映る富士山は一番美しいです。
この作品を観たとき、家族で山中湖を車で通過した時に感動したことを想い出しました。
作者がご覧になった2月の空気は澄みきり一番きれいな時期です。雲の隙間から射す朝日に照らされ金色に輝く霊峰は
氷結した湖面から小さな金色の光の粒がきらきらと光り宙を舞い、ダイヤモンドダストのように輝いて見えたことでしょう。
静寂が満ちた神聖な富士山の空気を十分感じる画です。
新緑の沼 手塚 雄二
画面いっぱいに立ち並ぶ木々。静寂の中の奥には光る水面が見えてきます。
青森県蔦沼の森は広大なブナ林、秋になると色づいた葉が澄んだ水に反射し幻想的な情景が広がるそうです。
芽吹いた新緑林の中を散策したことがないので新鮮でした。そして淡い色彩から静寂を感じました。
「瀕死の白鳥」 西田俊英
バレリーナの方に瀕死の白鳥を踊ってもらい懸命に羽ばたく白鳥の姿が浮かび、やがて迎える切ない白鳥を描いたそうです。
卓越した筆遣いでバレリーナの可憐な白鳥の指先の描き方、湖の白鳥が苦しむ姿が水飛沫などから理解でき素晴らしいです。
「早春譜」 大矢 紀
里山の雪景色は遠くを見渡すと山頂にはまだ雪がありますが、枯れ木の陽だまりの一隅に愛らしい花が咲き傍らに
前年の山あじさいが残っています。田舎住んでいると実際に眺める景色です。
厳冬から芽をふくらませる春の息吹を感じ、画をとおして自然の素晴らしさ改めて感じました。
 内閣総理大臣賞 小さな駅 小田野 尚之
今年3月末に廃止されたローカル線の雪景色です。
この風景は島根県の三江線だと思いましたら、JR三江線の鹿賀駅だそうです。
夏に三江線に乗車したことがありますのですぐ分かりました。
「小さな駅」は残雪の中に見える一本の線路とカーブが繊細に描写、田んぼの広さ、住宅地の位置など構図も理解できました。
作者はよく鉄道の景色を描かれる画家です。冬の静けさと廃線の寂しさを感じました。夫も好きな作品です。
足立美術館賞 「涅槃寂静」 宮北千織
今まで鑑賞した作品は鮮やかな色彩を自在に扱い、新感覚の優れた作者でした。
今回の白い絵の涅槃像は想像がつきませんでしたが、お父様の死によって描かれたようです。
寂静によって重厚さを感じました。
文部科学大臣賞 「備忘録」 国司華
最初に心に残った作品は99回の日本美術院賞・足立美術館賞作品「理」(ことわり)でした。
クチナシ色を中心に人物を描き個性的な画でした。昨年は「もののね」
今年は「備忘録」です。画風は同じですが、題名が変わっていて興味があり説明文を読みました。
日本美術院賞「咲う」(わらう) 山本 浩之
両手を顔の前で開くような形で笑う感情を思わせる仕草。微かに笑っている仕草のやわらかい表情
白い服装もやわらかく画面全体が淡い色彩で描かれ、小鳥、花も目につきました。
日本美術院賞 「槌の音」 高島 啓史
日本の家具修理工房、スウェーデンの家具の製作室、アトリエを組み合わせて描かれたそうです。
壁には木工道具の整頓が良く、道具を大事にされている様子が分かります。
形、全体の色彩(焦げ茶色系)、構図(人物、机の位置)など性格が出ている気がします。
槌の音も楽しんで聞こえてくるようです。

島根県出身者の作品
◆同人 「位相空間」 宮廻 正明
 京都競馬場マイラ―ズカップ。直線手前にあたる第4コーナーで馬群が大きく横に広がり、
 レースの最後の駆け引きが始まる場面です。
 敵の出方をうかがう騎手や、直線に向けて体勢を整える馬の様子など一瞬のうちに生まれる
 細かく素早い動作を的確にとらえています。題名が理論的ですが奥が深いです。
◆「人の心に巣食う也」 川崎麻央 
 華やかな衣装の石見神楽をダイナミックな筆致で、スサノオノミコトの後ろ姿を描いています。明るい色彩で個性的な画家です。
◆奨励賞 「瞬刻の戯」 染谷香理 
 夏でありながら秋の気配を感じさせるようにその場の気温や、風、日光の景色まで感じられるよう心がけたそうです。
 三人の女性の心情や時が揺れる動く様を流れる小川の風景に見立て秋草の浴衣の間と水紋を描かれた帯を配置したそうです。
 よく見ると三人の女性と浴衣帯柄の配置で分かります。
◆初入選 「静かに想う」 永岡郁美
 中国の馬の置物を題材。白と黒の馬を均等に配置することで「陰と陽」「善と悪」など世界の二面性を表現した作品です。
 文化財の修復技術を取り入れたそうで、「静かに想う」題だけあって初々しいと思いました。
再興第103回日本美術院展覧会 日程
足立美術館 島根県(東)展 平成30年10月13日(土)~11月4日(日)
今井美術館 島根(西)展 平成31年4月5日~4月21日
103回も二会場で鑑賞したいと思っています。紅葉の足立美術館、新緑の今井美術館で絵画共に楽しみましょう

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