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田舎暮らし

島根県立美術館開館15周年記念「水辺のアルカディア展」

2014-05-24 21:47:18 | Weblog
開館15周年を記念した企画展「水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界」
6月16日まで開催されています。
ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824~1898年)フランス第二の都市リオンで生まれ19世紀フランスを代表する壁画家です。
イタリア旅行とき、ルネサンス時代のフラスコ画の壁画に感銘を受け画家になりました。
フランスでは湿気が多いため、壁画はカンヴァスに描いた絵画を壁に貼り付ける手法を採用し手がけた壁画装飾は
マルセイユ美術館、パンテオン、リヨン美術館、パリ市庁舎など。
手元に残す目的で縮小版も制作しています。
展示会場では壁画を再現したように実際の壁画の写真とシャヴァンヌ自身が壁画を再制作した油彩画作品や
多数の素描も展示されていました。
自然と人間が調和し生きる理想郷(アルカディア)を描き続け、ゴーギャン、ゴッホ、スーラ、ピカソなど次代の巨匠や
日本近代洋画家の黒田清輝、藤島武にも多大な影響を与えたそうです。作品を観て感じとることができました。

展示内容
Ⅰ.最初の壁画装飾と初期作品(1950年代)
Ⅱ.公共建築の壁画装飾へ(1860年代) アミアン・ピカルディ美術館
Ⅲ.アルカディアの創造(1970~1980年代) リヨン美術館の壁画装飾へ
Ⅳ.アルカディアの広がり(1890年代) パリ市庁舎と日本のへの影響

好きな作品
「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」
1884-89年頃年頃制作、油彩、カンヴァス、93.0×231.0㎝、シカゴ美術館蔵

             ロビーで撮影
日本初公開。シャヴァンヌの最高傑作のひとつとされています。シャヴァンヌが故郷のリヨン美術館のために描いた円熟期の作品。
黄金に輝く夕暮れの光を受けて、山深く静かな湖に三日月が映り、柱廊の前に建築・彫刻・絵画の化身が佇み、
その周囲に芸術に霊感を与えるミューズ(ギリシャ神話で、文芸・学術・音楽・舞踏などをつかさどる女神たち)が
集ってポーズをとっています。牧歌的情景に白く透けるようなミューズを見つめているとホッとする気分になります。

   こども鑑賞ガイドブックより(企画展の入り口に置いてあります) 
悲劇をつかさどる女神メルポメネ、天文をつかさどる女神ウラニア
抒情詩と歌をつかさどる女神エウテルペ、恋歌をつかさどる女神エラト
喜劇をつかさどる女神タレイア、舞踊をつかさどる女神テルプシコル
建築の化身、彫刻の化身、絵画の化身
英雄賛歌をつかさどる女神ポリュヒュムニア、歴史をつかさどる女神クレイオ
叙事詩をつかさどる女神カリオペ、大地の精霊たち
親子で女神たちの名前を確かめるのも楽しいと思います

海辺の乙女たち
1879年頃制作、油彩、カンヴァス、サイズ61.0×47.0㎝、オルセー美術館所蔵
シャヴァンヌ円熟期の具像的様式を代表するものであって、古典的性が最も極まった形で示されています。
水辺に佇む3人の古代風の半裸女性を表し最も伝統的なイメージであるように思われますが、
革新的で非常に特異な作品だそうです。
各々がそれぞれ孤立してお互いに背をむけ、右の女性が上半身、中央の女性は古代の原型を元にしたミロのヴィーナスが
身に着けているような布を巻き長い髪をくしけずりながら立っている姿、左の女性は岩に横たわり夢想に落ちている様子です。
背景が茫漠として広がる海原と水平線を構成、岩に咲く小さな花も、静かにゆったりと流れる時間が3人の女性を引き立てています
(この作品は1996年東京都美術館で開催された“オルセー美術館展”で展示され親友3人で鑑賞した思い出の作品です。)

日本の美術館所蔵の展示作品
○島根県立美術館
  ≪休息≫ ≪聖ジュヌヴィエーヴの幼少期≫
○大原美術館
  ≪漁夫≫ ≪幻想≫ ≪愛国(習作)≫
○東京藝術大学
  藤島武二(模写)ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(原画)≪鶏サンド・ジュヌヴィエーヴ部分)≫ 
  小林萬吾(模写)ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(原画)≪貧しき漁夫≫
○石橋財団石橋美術館
  【重要文化財】藤島武二 ≪天平の面影≫
○石橋財団ブリヂストン美術館
  藤島武二≪縮図帖≫
○国立西洋美術館(松方コレクション)
  ≪貧しき漁夫≫ ≪オーギュスト・ロダン≫ 
○岐阜県立美術館
  ≪慈愛(習作)≫
○東京国立博物館
  黒田清輝 
  ≪昔語り下絵(構図1)≫ ≪昔語り下絵(清閑寺景)≫ 
  ≪昔語り下絵(仲居)≫  ≪昔語り下絵(男)≫ 
  ≪昔語り下絵(舞子)≫  ≪昔語り下絵(男と舞子)≫ 
  ≪昔語り図面稿(手)≫  ≪昔語り図面稿(舞子半身像)≫
  ≪昔語り図面稿(男着衣半身像)≫ ≪昔語り図面稿(男の脚)≫
  ≪昔語り図面稿(手)≫ ≪昔語り図面稿(男裸体半身像)≫ 
  ≪昔語り図面稿(仲居全身像)≫ ≪(仲居半身像)≫
  ≪写生帖10号(京都旅行)≫ ≪写生帖12号(京都旅行)≫
     ※黒田清輝作品は展示替えがありました。

日本の美術館所蔵作品では≪聖ジュヌヴィエーヴの幼少期≫≪幻想≫≪貧しき漁夫≫≪天平の面影≫が印象に残りました。