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地球人カレッジ 1月

2010年01月25日 | 地球人カレッジ
*と き:12月19日(土)19:00~21:00
*参加人数:12名(ネット中継での参加者含む)
*ところ:吉野川市山川町 さくら診療所デイケア室
*講演者:丸山輝裕さん(halqa-はるか事務局長)
*テーマ:フェアトレード~コーヒー一杯からの国際協力~

フェアトレードはこれまでのように援助に頼るのではなく、
文字通り対等な立場で貿易をすることにより
生産国を支援する新しい国際協力の形です。

毎日のように飲んでいるコーヒーなのに、
それがどういったものでどのような経路をたどって自分のところにやって来るのか、
あまりに無知であったことに気付かされました。


フェアトレード:生産国(概して国民所得が低い)と消費国(概して国民所得が高い)が“公平な”立場で貿易を行うこと。

途上国が援助システムの中でしか生きられないようにしてしまう
従来の“援助ビジネス”の形態でなく、
対等な立場で自立を支援するための手段の一つとして生まれました。



コーヒーベルトは、おおよそ北回帰線と南回帰線の間に位置します。
この帯は、あくまで“生産できる範囲”を意味します。
つい最近地震の被害にあったハイチもコーヒー生産国の一つ。
また、オーストラリアの北部中国の雲南省でもコーヒーが生産されているそうです。
紅茶のイメージが強いインドでも香りのよいコーヒーが取れるとか。

このとき、コーヒーの生豆を見せていただきました。
私たちがいつも見るコーヒーの豆とは違い、白くて匂いも味もありませんでした。
普段、私たちが豆と呼ぶものは、
コーヒーの実(コーヒーチェリーと呼ばれる)の中にある種だそうです。

一般的なコーヒーの流通経路


※コーヒーの価格は二大先物市場(穀物市場);ニューヨーク市場(アラビカ種)、ロンドン市場(ロブスタ種)で決定される。
価格の決定要因は、最大のコーヒー産出国であるブラジルの
コーヒーの出来不出来を受けた投機筋(ヘッジファンド)の動き。
彼らの取引する資金量が、実際の取引量を大幅にしのぐため、
このような現象が起きており、コーヒーの価格が不安定になっている。
例えば5年間の間に、1ポンドあたりの価格が2ドル85セントから45セント(1996~2001年)にまで急降下、これは年収が5分の1になるということを意味する。

※ アラビカ種:喫茶店で出されるようなコーヒーに使われる。
※ ロブスタ種:アラビカ種より安価で品質も劣る。缶コーヒーなどに使われる。

この実体経済と乖離した価格変動から生産者を守るため、
二大市場を通らない流通経路で貿易を行うのがフェアトレードです。
FLO (Fair-trade Labeling Organization)では、買取りの最低価格を保証(1ポンドあたり1ドル20セント)し、国際市場の価格がそれ以上のときは、国際価格プラス10セントで買い取る、としています。



フェアトレードの基準例としては、
1. 労働原価を基準とした適正な価格での買取り(最低価格の保証)
2. 商品代金の前払い
3. 長期的な売買契約
4. 地域住民の社会福祉のためのプレミアム(奨励金)の給付

があげられます。

1の「労働原価を基準とした」というのは、
コーヒー農家だけ儲かって、周囲の農家たちと新たな貧富の差が生まれる、
ということをさけるためで、あくまでその国や地域での経済状況に沿った「適正な価格」で買い取るのだそうです。

4のプレミアムというのは、購入費に上乗せして支払われるもので、母子保健センター図書館学校建設などに使われます。
取引先の現地農協が民主的かどうか(そうでなければせっかくの奨励金が有効に使われないので)、というのも大事なポイントです。

フェアトレードの実施形態には、以下の2つがあります。
1) 支援型(雇用創出型):オルタートレード、ピースウィンズなど
2) 認証ラベル型(倫理調達型):FLOなど(またその認証ラベルを基にコーヒーを調達するスターバックスタリーズコーヒーなど)

フェアトレードに関連した認証ラベルには、以下のようなものもあります。

*商品のトレーサビリティー(生産から消費までの流通経路の追跡可能性)を保証する認証ラベル


*熱帯雨林保護を目的とした認証ラベル



フェアトレード(特に認証ラベル型)は
企業が取り組みやすい一方で、
フェアトレード商品のごく一部のみを取り扱って
企業のイメージアップを図ろうとするため、
フェアトレード本来の目的である「自立支援」が考えられていないという問題もあります。
そのため“フェアトレード”を謳うことで利益が得られなくなれば、
すぐにやめてしまうのではないか、という懸念が常につきまといます。


また、フェアトレード商品が日常的に手に入らない、という問題も。

ほかにもフェアトレード商品は高価なため、なかなか消費に結びつかないようです。
そのためhalqaコーヒーでは、
一般的なフェアトレード商品よりも安価で提供しているそうですが、
そのため利益があまりでないとか。
支援者側の活動継続も考えていかねばならない問題です。

講演の様子(動画)はこちらからご覧になれます。


文責:事務局(瀬戸口)


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