*この記事はいささか偏向的なように見えるが一面を語っている?昨日、18日のTVでは榊原経団連会長は、安易に設備投資といわれても、人口減少、高齢化社会で将来の採算がとれますか,と、安易な政治家の発言に釘をさしていたように思うが、

*11/5日 Business journal

10月16日に開かれた「官民対話」の第1回会合で榊原定征・経団連会長は、「積極果敢にリスクを取って投資拡大に取り組むよう呼びかけを強化する」と発言した。榊原氏は積極的な設備投資でアベノミクスを支える」という。日本商工会議所の三村明夫会頭は会合後、「設備投資は企業経営者が個別に考えるべきものだ」と述べ、政府の介入に不快感を示した。

  会合の冒頭、甘利明経済再生相は「過去最高の原資があるのに、投資しないのは重大な経営判断の誤りだ」と口火を切った。安倍首相も「今こそ企業が設備、技術、人材に積極果敢に投資すべきだ」と述べた。発言の根拠は、14年度で354兆円にまで積み上がった企業の内部留保。このうち現預金は210兆円を占める。しかし、経済同友会の小林喜光代表幹事は「新産業の創造が不十分で、投資の機会が乏しい」と反論する。安倍首相と甘利大臣の「AAライン」による民間介入発言に対し、経済界から反発も多い。

「海外の設備投資をたたんで、国内に回帰させろと言うけれど、そんなことは1、2年ではできない。設備投資に即効薬はないのだ」(大手化学メーカー社長)

「もし、海外から国内に回帰したとして、その投資に失敗したら、責任を追及されるのは我々経営者。安倍首相が責任を取ってくれるわけではない」(自動車メーカー会長)

「そもそも設備投資のメカニズムがわかっていない。勉強不足だ。計画策定から工事まで3〜4年はかかる。やってくださいといわれても、すぐに新しい設備投資ができるものではない」(電機メーカー役員)

「安倍首相と甘利大臣は経済音痴。トンチンカンな発言に、企業は振り回されてはいけない」(外資系企業元社長)

 また、ある現役の経団連副会長は次のように語る。

「先が見えない現時点で、設備投資を新たにやりますなどと言うのは、経営者として失格だ。榊原さんが積極果敢にやるというのなら一人でやればいい。呼びかけを強化といったところで、経団連でどうこうする話ではない」

 ビールの世界最大手、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)や米デルの巨額M&A(合併・買収)が明らかになった。「リーディングカンパニーは、新興国の経済成長に陰りが見えてきた中で、設備投資で自前の成長を追うよりも、M&Aでシェアを高める戦略に大きく方針を転換している」(欧州投資銀行筋)。15年の世界のM&A総額は07年の4兆ドルを突破して過去最高になる可能性が高い。世界的に見て、「これから設備投資をやる」という発想は時代遅れである。経済界では、榊原氏と経団連元副会長で三菱商事会長の小島順彦氏との対立を指摘する声が強まっている。経団連会長のポスト争いで、小島氏は榊原氏の対抗馬だった。

「榊原さんが無理を言える数少ない経団連人脈は、三井物産の飯島彰己会長(経団連副会長)と三井不動産の岩沙弘道会長(元経団連副会長、現審議員会議長)の2人だけだ」(経団連幹部)

 経済界からは、「榊原氏は安倍首相の小間使い」という辛辣な声もすでに出ている。榊原氏の出身母体である東レは、三井グループの合織最大手。来春の経団連副会長の人選で、三井グループの会長・社長を優遇するといわれている。排斥される格好になる三菱グループはどうするのか。反撃の狼煙を上げることになるのかに注目が集まる。

 現在の経団連副会長の中で、16年に2期4年の任期切れを迎えるのは荻田伍・アサヒグループHDS相談役と石原邦夫・東京海上日動火災保険相談役だ。石原氏はメガ損保で国内首位の東京海上ホールディングスの経営トップを歴任した。同社は三菱グループの中核企業である。また、審議員会は議長の岩沙氏が任期切れ。副議長の伊東信一郎ANAHDS会長も任期切れになる。13年に副議長に就任した伊藤一郎旭化成会長は、旭化成建材の杭打ちデータ偽装問題で辞任の可能性がある?

 いずれにせよ榊原経団連は来年、重量級の副会長を新たに起用できるかが焦点となる。トヨタ自動車は内山田竹志会長が経団連副会長に13年に就任している。あと1年やるのか、次の経団連会長の絶対本命とみられている豊田章男社長にバトンタッチするのかにも関心が高まっている。
(文=編集部)