カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

大連

2014年09月07日 | 兵庫
「其の様に、在り続けること。」

真摯なオペラがBGMとして厳かに響く中、同時に其の店内では、大型のプラズマテレビで放送される野球中継の歓声が雑多に空気を濁している。

味は勿論のこと、店の造りも雰囲気も所謂大衆中華、其のものなのだろうと早合点していたのだけれど、実は、然程遠くない時期にリフォームされたのであろう其の店舗の外観というのは、小さいながらもお洒落なビストロ、もしくはバーといった骨格で、だがしかし、おそらくは先代の店舗から使われているのであろう庶民的な看板が取って付けたように店頭に掲げられている。

初夏の頃、平日の夜、もしかすると閉店間際だったからだろうか、其の店内に他の客の姿はなく、まさかプロフェッショナルとは言い難い、そんな老女と青年が、ぎこちなく不慣れに給仕を務めている。事前の知識がなければ、其の様々の奇妙な取り合わせに面食らい、最小限の注文品だけを急ぎ足で平らげ、早々に引き上げてしまっていた、其れが結果であったのかも知れない。

けれども評判通り、じっくりと戴いた其の焼き飯、天津版、そして空揚げは、まったくに満足の行く、真っ当な一品々々であった。蛇足ながらあえて言うのなら、此の店の代名詞である空揚げは、むしろ一般的な中華料理店の唐揚げの風情、其の方向性よりも、西洋風の風味と食感を仄かに湛えているように感じられる。

持ち帰りに追加した酢豚を手に、表に出て、もう一度建物とは不釣合いな其のテントと看板を見上げると、其れでも其れが、大衆中華で在り続けることの矜持、其の顕れに見えないこともないのだから、料理の美味しさ、其の力というのは、本当に不思議なものである。

大連中華料理 / 塚口駅(阪急)塚口駅(JR)
夜総合点★★★★ 4.0



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